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赫蒼の殲滅者  作者: 怪奇怪獣魔爾鴉男
34/39

第34話「犯人はヤツ」

伏線とかもうちょい張るべきだっだろオレ、幾らノリで書いてるとはいえ絶対に許さねぇ!

A.


登校して教室に入ると、クラスの皆が何かの話題で盛り上がっていて何時もより騒がしい。



「おっはよう、みんなー! 」



「おはよう春野さん、今朝のニュース見た?」



三尋木さんが言う今朝のニュースって何だろう、ジャヌーズの誰かがこの街に引っ越して来るとかだと良いなぁ。



「ごめん朝ドラしか見てなかったよ」



あのテレビ局で放送してる番組は朝ドラしか見ない、それで受信料払うのは勿体無いかな?



「私も今日は見てないわね、何かあったの?」



「ええー!零点だよ。ちゃんとニュース見ないと馬鹿になっちゃうよ」



石掘さんが会話に割り込みながら、あからさまに私の方を見てきた。私みたいな馬鹿になっちゃうって言いたいの!?



「ちょっと何で私を見るの!」



「石掘あ、なたも馬鹿でしょ」



三尋木さんが石掘さんにゲンコツを喰らわせた。あなた“も“って私が馬鹿なのは否定してくれないんだ!



「あうう」



「コイツの代わりに教えるよ、実はね、殺人事件が起きたの」



殺人事件....!? 驚いて思わずひよりと顔を見合わせる、これは休み時間に水無ちゃんへ連絡しないと駄目だ。



「しかも隣町で二件、この亜神で十件。一家皆殺し」



じゃあ十二人以上は確実に殺されちゃってるのか、それに一家皆殺しなんて余りにも酷い!!



「はあ嘘でしょ、いくらなんでも多すぎない!?」



「それも昨晩のうちにだからね、信じられないよ」



でも能力者なら不可能なことじゃない、複数で犯行に及んだ可能性だって有ることだし。



「じゃあ未だ来てない子は....」



「きっと被害者だよ、可哀想に」



石掘さんが珍しく悲しそうに手を合わせた、結構な時間を一緒に過ごしたクラスメイトにもう会えないんだから当然だよね。


この間まで笑顔で会話してたのに....クラスメイトの私でも辛いんだから御家族の気持ちを考えるとやりきれない。



「犯人は絶対に許せないよ....」



「私だって犯人には逮捕されて死刑になってくれなきゃ怒りが収まらないわよ!」



「そっか春野さんも御家族を殺されたんだよね」



「バカ!」



また石掘さんが三尋木さんに叩かれた、気を遣ってくれるのは嬉しいけど暴力は良くないよ....って私が言えた事じゃないか。



「有り難う三尋木さん、でも気にしないでいいよ」



「春野さん....」



「貴方たち席に座りなさい」



暗い顔で先生が入って来くるとチャイムが鳴った、何時もなら授業開始の合図が、今日は亡くなった生徒への黙祷を始める合図に聞こえるよ。




第34話「犯人はヤツ」



B.


「ただいまー!」



「お帰りなさい」



帰宅して玄関のドアを開けた途端に水無ちゃんがクールな表情のまま飛び付いてきた、吃驚しちゃうけど猫ちゃんみたいで可愛いから赦しちゃう。



「人目くらい気にしなさいよ」



「嫌だ」



「アンタね....!」



こんな感じの喧嘩をほぼ毎日ふたりはしてる、もうこれ逆に仲良いってことでしょ。



「喧嘩は犬しか食べないよ二人とも! 作戦会議を始めるよ」



「わかった」



「緋美華に対しては気持ち悪いくらい素直な癖に。てか夫婦喧嘩は犬も食わない、ね」



「風見とは嫌、私とふーふになるのは緋美華」



「なっ!」



ひよりの前なのに大胆なプロポーズされちゃった。私はイケメン好きなハズなんだけど、それも良いって最近は思う様になって来た、沢山アプローチしてくれたからかな?



「ってダメダメ今は殺人鬼についての話をしなきゃ」



という訳で玄関じゃ何だから私の部屋で会議をすることに。いつも以上の真剣さで挑まないと....!



「とにかく犯人を探す方法を見つけるべき」



「そうね、動機とか緋美華の御両親を殺したのかとかは捕まえて問い詰めれば良いんだし」



「じゃあその方向で!....探す方法って街のみんなに聞くとかじゃダメなの?」



「遺族は話す気分じゃないと思う」



そっか水無ちゃんも御家族を誰かに殺されてたんだよね、私のバカ人の気持ちを考えないと駄目じゃん。



「ごめんね」



「いいの。緋美華は仇かも知れない相手に焦ってるんだよ」



水無ちゃんが私の頭を撫でてくれる。確かに私は大切な人たちの命を奪った奴が近くに居ると知り、早く捕まえて罪を償わせたいって思ってた。



「でもさ、あれだけ派手にやらかしてたら証拠の一つでも残すハズじゃない?」



「それが指紋も検出されず....鋏で殺害されたまでは判明しましたが川に捨てられて居ましたわ」



あわわ、これまたビックリいつの間にかひよりの背後に金城さんが現れた。転移能力って便利だなあ、好きな人のところへ直ぐに向かえるんだから!



「いきなり現れるんじゃないわよ!」



「不法侵入で訴えても金の力で揉み消しますので」



金城さん現れるところに椋椅さん有り....! あと不法侵入って認めちゃうんだ。



「ちょっ椋椅さん!?」



「冗談です」



冗談と聞いてひよりはホッと胸を撫でた、椋椅さんが冗談を言っても本気に聞こえちゃうからドキドキしちゃうよ。



「ワタクシが風見さんから搾り取るなんかしませんので安心して下さいまし」



「心臓に悪いわね....こほん、会議を再開するわよ」



「では私から情報を、街中の監視カメラを調べさせていただいたところ怪しい人物が映っていました」



凄い、十分な手掛かりになるよ!



「どんな人物が映っていたんです?」



「ピエロの仮面を被った黒ずくめの服装でした」



....これ偶然じゃなくきっと必然、イワンの言うとおり因縁の敵は私の近くに、この亜神にいるんだ。



「それって私が夢の中で見た殺人犯と同じ格好だよ」



「何ですって!?」



ひよりと金城さんは同時に驚いて水無ちゃんも目を丸くした。だけど一番驚いたのは私かもしれないね、鳥肌立っちゃってるし。



「顔は見えませんでしたが、身長は百六十センチほどです」



「身長が分かれば結構ラクになるわね」



ひよりの言う通り、同じくらいの身長の人を探せば見つかるかも知れない....!!



「この情報は警察に教えてますし、あとは任せれば良いではありませんか?」



「能力者かもしれないから駄目。警察の人も危ないし」



「一夜で十件も一家惨殺なんて、能力者でもない限りは無理だもんね」



まあ全部ひとりの人物がやったとは限らないけど、手口や殺害方法、冷蔵庫が漁られてることは共通してるし同一人物の可能性が高いってニュースで言ってたらしいんだよね。



「警察にも能力者はいないのかな?」



「かつては凄腕が何人か居たらしいですけど、みな戦死したそうですわ。それもただ一人の相手に殺されたそうで」



凄腕の能力者を一人で殺しちゃうなんて、強敵はまだまだ居るってことだよね....戦いの日々はいつ終わるんだろう?



「そいつ相当ヤバいじゃん!」



「しかもソイツはまだ捕まってないとか」



「今回の犯人とソイツは同じ奴の可能性あるかも」



「とにかく私達で捜査するしかないですわわっ!?」



金城さんがビックリしたのはピンポーンとチャイムが鳴ったから。お客さんかなと思いながら玄関に向かってドアを開けると、息を切らしている石掘さんと三尋木さんの姿が!



「あ、あの、これを渡せって言われて」



石掘さんが持っていた封筒を震える手で渡してくれたので中身を見てみると手紙が入ってた。



「手紙?」



「犯人からだよ、さっき襲ってきたから戦ったんだけど凄く強くて。とどめ刺される前に緋美華の名前を呼んだら、知ってるならこれを渡して来いって言われて」



震えるのがやっとな石掘さんに変わって三尋木さんが何が有ったかを説明してくれた。どんな声だったか聞けば更にヒントになるんじゃ!?



「そしたら命だけは助けるからって、ごめんなさい」



謝る必要は無いよって言おうとした時、不機嫌そうな声が聞こえてきた。



「なんでコイツの名前がそこで出るのよ!」



ひよりが何時の間にか降りて来てた。あ、もしかして犯人が来たんじゃないかって心配してくれたのかな?



「もう死んじゃうって思ったら勝手に名前を叫んでたの。大好きな友達だから」



い、石掘さん....わたし感動しちゃった。持つべきものは良き友達だよ!!



「本当に怖かったよ!」



「もう大丈夫だよ、私が守ってあげるからね」



石掘さんが泣きながら抱き付いてきた、凄く怖かったんだね。よしよし、私が倒して安心させてあげないと!



「何て書いてあんのかさっさと読みなさいよ」



私は何故か不機嫌なひよりに言われるまま手紙を広げて、内容を読み上げる。



「えーっと....“待ちくたびれちゃったから招待してあげる、教会にて待つ。貴方の両親の仇より゛だって!」



これで二人に質問する必要も探し回る必要も無くなった、恐怖を....トラウマを乗り越える時が来たよ。



「あからさまに罠じゃない!」



「そんなの私でも分かるよ、けど行かなきゃ」



「はぁーあ。アンタにはいくら言っても無駄よね」



流石は幼馴染で一番の親友、よーく私の事わかってくれてる。



「わたくしが付いてる限りは死なせませんから、安心して下さいまし」



金城さんがひよりの肩に手を置いてそう言った、今回も助太刀してくれるんだ。



「任せたわよ」



「....行こう」



水無ちゃんと深い口付けの儀式を終えて町外れにポツンと建つ教会へと私は向かう。両親や今回殺された人々の仇を討つ為に、平和を取り戻す為に、トラウマに打ち勝つ為に....!




C.


手紙に書いてあった教会へと私達はやって来た。薄暗い森の奥にあって気味の悪い雰囲気だよ、こんな場所で良く結婚式とか挙げるられるね亜神の人達。



「私も将来ここで結婚式を挙げるのかな」



「私と挙げるの」



もう水無ちゃんってば気が早いんだから、けど大きくなったら私よりも好きな人とか出来るよきっと。



「残念だけど、そんな将来は潰してあげる!」



殺意のこもった声が聞こえてきたかと思うと、青空が灰色の雲に覆われて雨が降り始めた。



「きゃっ、冷たっ....!」



「さっきまで快晴で天気予報も降水確率はゼロパーセントと言ってましたのに!」



それより今の声はまさか!



「これで因縁の敵との決着に相応しい雰囲気になったね、我ながら百点!」



教会の中から、ピエロの仮面を被り、手に鋏を持ち、神父服に身を包んだ、百六十センチほどの犯人の特徴と一致する人物が現れた。



「ひいっ、生で見るとより気味悪いですわ!」



「ひどいなー殺人鬼っぽいコスプレ頑張って考えたよ?八十点くらいは有るでしょ!」



仮面をしててもコイツが誰か声と喋り方で分かる、友達として長い付き合いしてきた人間のものだから。



「石掘さん....貴方が犯人だったんだ」



「確かに良く聞いてる声ですわ....って何ですって!?」



「確かに身長も百六十くらいですね」



「そしてあの手紙は自分で書いたもの」



水無ちゃんの言う通り、私たちが自分の元へなかなか辿り着かないから痺れを切らして、自分で手紙を書いて誘き出したんだ。襲われたなんて嘘まで使って!!



「流石は津神さん。それに引き換え今まで気付けなかったなんて五点だね、ひーみか」



「ずっと騙してたんだ、私や皆のこと」



「そそ、自分の家族を殺した仇を友人として接する君は見ていて凄く楽しかったよ」



一緒に勉強してた時も遊んでた時もずっと心の中で私のことをそんな風に思ってたんだ。



「なんて下衆な....赦せませんわ」



「やりましょうお嬢様」



私も大切な家族の命を奪って今また罪のない人達の幸せと未来を奪い嗤うコイツは絶対に赦さない!



「良い死に様だったよ、君の御両親。百点あげちゃうレベルにさ」



「お前えええええええ!!」



自分でも信じられない程の激しい怒りに突き動かされた私は今まで友人と呼んでいた者に殴り掛かる。



「落ち着いて緋美華。相手の思う壺だよ」



水無ちゃんが何か言ってるけど怒りに呑まれた私に聞く耳はなかった、自分でも冷静さを欠いてることは分かる。分かってても怒りが私の体を勝手に動かす!



「赦さない、お前だけは赦さない!!」



「怒りによってパワーはアップしてるけど、スピードやキレは落ちてるなー。これじゃお姉さんに勝てないよ?」



私のパンチを全部よけた石堀は右腕を振り上げると、雷が落ちてきて私に直撃した。



「きゃあああああああっ!」



「くっ、緋美華....」



....全身大火傷を負った私はその場に倒れた、体の至るところからプスプスと煙が上ってるのが分かる。



「私たちも助太刀しますわ!!」



「生き地獄で償わせます」



石掘は転移能力で背後に回った金城さんに羽交い締めにされ、腹部に椋椅さんの投げたナイフが刺さり血を流す。



「いったーい、仕事の邪魔しないでよ!」



「きゃああああああ!」



石掘がハサミを持った手を回転させると竜巻が発生し金城さんと椋椅さんを巻き込み空中へ放り上げた。



「この高さから落ちたら死にますね」



「落ちなきゃ良いんですわ」



「あ....」



金城さんが椋椅さんをお姫様抱っこして転移、落下を免れ呪文を詠唱してる水無ちゃんの背後にふわりと降り立つ。



「詠唱完了。深淵螺旋海砲....!」



「あー?当たったら死んじゃうじゃん、あっぶないなー!」



超極太高圧水流に対して石掘は突き出した掌から瞬時に猛吹雪を発生させて凍結させ、連続で雷を落とす事で破壊してしまった。



「何て奴ですの!」



「馬鹿だと思ってたけど、中々頭キレるみたい」



「誉められちゃった、嬉しーい!」



ぴょんぴょんと跳ねる石掘、仮面を被ったままだから分からないけどきっと凄く嬉しそうな顔をしてるんだろう。



「あ、忘れてたから自己紹介しまーす」



「はあ?必要ありませんわよ今更!」



「まーまー聞いてよ今までの普通の女の子の私じゃなく、本当の私の自己紹介なんだから」



「せっかくだから聞いてやる」



水無ちゃんが石掘を睨みながら、私に駆け寄って小さな肩を貸してくれた、焦げ臭いのにごめんね。



「あーあー、私こそが春野 紅鴉 様を守護する七翼の一人であり彼女に依頼され君の両親を殺した犯人である石掘です!」



「緋美華の姉が?!」



「うそ....」



「信じられません、精神攻撃に違いないですわ!」



「嘘だと思うなら証拠の動画を見せよーか、そんな依頼した覚えねーしって報酬払おうとしなかった時の為にその時のやり取り撮影してたし!」



ああ....彼女の眼を見れば分かる、嘘は吐いてない。信じられないし信じたくもない真実を知った私は膝から崩れ落ちる。


憎み怯えてきた両親の仇の正体が友達である石掘、そのうえ彼女に私の両親を殺すよう依頼したのがお姉ちゃんだったなんて!!



つづく



殺害動機は理由のない悪意ではないです、たぶん

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