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Second Life 19

ブクマ評価感謝です。

 エレナさんと約束した時間までもうすぐだが、今はポーション作成に精を出している。

 ポーションを卸しすぎて数が少ないため時間が許す限りポーション作成をしている。



「数を作ろうとすると質が下がるな」


 速度を重視して作ると、今作れる最高品質のポーションが中々完成しない。

 質はどれもNPCから買える程度の物ばかりだ。NPCから買うよりは安いが作成時間とかを考えると、±0だ。



「こんくらいでいいか」



 数も十分になり、ポーション作成を切り上げる。


 時間を確認すると約束した時間も迫ってきていた。

 持っていくものなんて殆ど無いけど、必要最低限の物を整理して、装備も確認する。

 ポーションの売り上げで、初期の剣から少しばかり攻撃力の上がった剣を買った。


 準備も完了し、約束の場所に行こうとした時に丁度エレナさんからフレンド通信が繋がる。



「どうしたんですか?」


『今どこにいるかな?』


「今北の方の大通りの近くです」


『なら今からそっちの向かうからちょっと待っててくれるかな?』


「集合場所は南の門ですよね?正反対ですよ」


『ユホちゃんのいる所らへんに用事があってね』


「そうゆう事なら待ってますよ」


『じゃあまたね~』



 陽気な声を最後に声が途絶える。


 もう時間までそんな無いけどいいのかな?

 でも、そんな急いでいるようには聞こえなかったから大丈夫だろう。


 




「やっほーーー!」


「こんばんわユホ」


「こんばんわエレナさん。それにマロンも。でも、ハルアさんはどうしたんですか?」



 俺の元に来たのはエレナさんとマロンだけ。

 どこにもハルアさんの姿が見えない。



「ハルアは今用事があってね。まだ来るまでに時間が掛かりそうなのよ」


「そうですか。じゃあどうしますか?まだ時間が掛かるならどっかで時間潰しますか?」


「それもありだけど。もう向かう所は決まってるのよ」


「どこに行くんですか?」


「ふふ~ん。それはね着いてからのお楽しみよ」




 それだけ言ってエレナさんは踵を返し歩き始める。



「え、ちょ、エレナさん!?」


「気にはなるとは思うけど、我慢してエレナについていこう。ボクもまだ教えてもらってないからさ。大体予想はついているけどね」


「それなら教えてくれてもよくないか?」


「ダメだよ。合ってるかも分からないし、合ってても先に分かってちゃ面白くないでしょ?」



 マロンは、ニシシッと笑いながら歩き始める。

 俺も納得は行っていないが、言われるがままエレナさんの後を追った。




 エレナさんが止まったのは、歩き始めた所から南東に位置する建物だった。



「ついたよん。待たせたねユホちゃん」


「どこですかここ?ここにこんな建物ありましたっけ?」



 建物は他の店と同じくらいの大きさをしている。

 けど、明らかにNPCが経営している店とは違った。

 NPCが経営している店は、大体同じような見た目で、NPCが経営していると言う模様が看板に記されている。

 けど、今俺達が前にいる建物の看板にはその模様がない。

 とゆうことは、ここはプレイヤーが経営している店と言う事になる。

 『メイスプルー』。これがこのお店の名前だ。

 中を覗くと、色々なプレイヤーが利用している。



「ここはね、公式プレイ初のプレイヤーが経営している中型のお店だよ」


「そうだったんですか」



 公式サービスが始まりまだあまり時間は経っていないが、小さめの店を出すプレイヤーは少なくない。

 店を出すのは皆βテスターだ。βテストの時に貯めた金を使い店を開いている。

 でも、NPCが経営している店と同じ大きさの店を開いているプレイヤーはまだいなかった。



「この店を作ったのはね、ハルアなんだよ。今日以降に開店させるつもりだったらしんだけど、やっぱ待ちきれなかったらしくてね。それで今絶賛繁盛中で、抜け出せないらしいのよ」


「そうだったんですね。凄いですねハルアさん」


「ハルアはあんなんでも真面目さんだからね」


「そうよね。あの子とっても真面目よね」



 

 あんな調子でもハルアさんは生産職の中では真面目らしい。

 その努力の結果がこの早めの開店なんだろう。



「でもなんでここに?忙しいなら逆に迷惑じゃ」


「最初に来るならお客で来たかったけど、今回はお店の手伝いよ」


「……え…?」


「さっ!行くよマロン。ユホちゃん!」



 エレナさんに手を引かれ、『メイスプルー』の中に俺とマロンは引き込まれた。



◇◆◇◆◇◆




「 3人とも来てくれたのねぇ。嬉しいわ」


「ハルアおめでとう」


「ハルアよかったね」


「ハルアさんおめでとうございます」



エレナさんに店の中に連れ込まれ、流れで完全に店の手伝いをする事になってしまっている。

 別に嫌なわけではないのだが、人の前に立つのが苦手だ。



「俺たちは何をすればいいんですか?」


「3人には接客をやってもらいたいかな。料理は【料理】スキル無いとダメだしね。服は裏にあるから好きなのを選んでねぇ」




 3人で裏に行き、服を選んでく。


 数分後、様子を見にハルアさんがやってきた。



「うん。私は大丈夫よ」


「ボクも選んだよ」


「「でもユホ(ちゃん)が………」」



 2人は早々に着るものを決めたようだが、俺は未だに決められていなかった。


 決められなかった理由は迷ったからじゃない。



「なんで女性用しかないんですか!」



 服は様々な種類があった。

 でも男物の服が1つも無かった。



「エレナさんから聞いてませんでしたか?俺見た目こんなんでも一応男ですからね?」


「聞いたけどぉ……信じれれないよぉ」


「信じれなくても俺は男ですからね!」


「でも胸あるよね?」


「……………男物はどこにありますか?」



 ジト目で3人から見られるが、それの視線を無視する。



「ま、いっか。残念だけど男物はないよ」


「………どこですか」


「ないよ♪」



 一瞬で崖の底に落とされた瞬間だった。





 結局………選択肢も無くなり、2人と同じように女性用の服を着ることになった。



「なぁ……なんでマロンは女装に抵抗とか無いのか?」



 この疑問は着替える時からずっとあった。

 だってマロンも男だ。女装に抵抗が無いわけがない。



「う~ん。あんまり無いかな。別に嫌いじゃないしね。それに、こうゆう時にしか出来ないから」


「こういう時の体験はリアルじゃ出来ないからね。体験しといた方がいいよユホちゃん。それにハルアは滅多に男用の服は自分からは作らないよ」


「なんでですか?」


「「おっさんだから」」


 マロンとエレナさんが即答をする。

 この答えを聞いてからハルアさんを見る。



「……寒気がしてきた」


「ハハハッ。大丈夫よユホちゃん。ハルアは中身がおっさんなだけで、ちゃんと女の子だから。それにVRゲームじゃネカマは出来ないよ」



 俺の反応を見て、ハルアさんはニコニコと見てきている。


「見る印象が変わりそうですよ」


「そんなひどいこと言わないでよ~」


 

 いつもと変わらない感じに苦笑しながらも、覚悟を決める。






「接客のしかたも大丈夫そうね。じゃあ忙しくなってきてるし、頑張っていこぉ~」


 ハルアさんはゆったりとした掛け声を掛けるが、顔は真剣だ。

 ゆるいながらも気合をいれ、接客(戦場)へと足を踏み入れた。

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