Second Life 20
ブクマ評価感謝です。
更新が遅れてしまって申し訳ございません。
次回の更新は諸事情により三月に入ってからになってしまいそうです。
ご迷惑お掛けします。
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俺達が働き始めてから30分程経った頃、人の入れ代わりのスピードが上がっていた。
店の混みようは最初の方に比べると一目瞭然だ。
エレナさんとマロンも最初は余裕を見せていたが、今では額に汗を浮かべながら働いている。
「なんかどんどんお客増えていってませんか?」
「こんなに繁盛するとは予想外ねぇ……」
「混んでいる理由は絶対にユホだと思うよ」
「なんで俺なんだよ……説明してくれ」
「これ見てみて」
マロンが送ってきたのは、SLOプレイヤーが経営しているニュースサイトだった。
『生産トッププレイヤーの一人ハルアの店に美少女が!?』
何これ……
記事には店の写真と、俺たち4人の顔写真が載っていた。
「何なんだこれ」
「SLOプレイヤーが経営しているニュースサイトだけど」
「それは理解してるよ。ハルアさんの店の事を掲載しているのも分かっている。けど、なんで顔がどアップで載ってるんだよ」
「ユホが可愛いからじゃないかな?」
「俺は男だぞ……」
「ユホちゃんの場合そんな事言われても誰も信じないよ。それに声とかだけじゃ女の子としか認識のしようがないからね」
はぁ……皆見た目で判断のしすぎだ。
「まぁ、忙しいに越した事はないわぁ」
「それもそうだね。暇よりも忙しい方がやりがいあるしね」
「私もマロンと同じ意見ね。この時間から狩りも無理そうだし、最後まで頑張りしょ」
「そ、そうですね」
皆働くのが好きなんだな。
だから生産職を続けられているのかもしれない。俺も働くことは嫌いじゃない。実際、高校に入ってからバイトもしていた期間もあったし、進級してからもたまあに手伝いでバイトをしている。
でも、自分のせいで忙しくなった状況で仕事を楽しめるかと言われればNOだ。
罪悪感が込み上げてくる。
「すいません俺のせいで」
「だ~か~ら~、そんな事言わないで。ワタシ達は生産職なのよぉ?お客さんが来てくれなきゃ意味が無いの。どんな理由でもお客さんが来てくれればワタシは嬉しいのよぉ」
「ハルアの言う通りよユホちゃん。お客さんあっての生産職よ」
「どんな理由でも自分の店に来てもらえばいいんだよ」
「ありがとうございます。マロンもありがと。でもマロンの場合捉え方によってはいけない商売のように聞こえるぞ」
マロンのダメ出しに対して、マロンを含め3人とも苦笑している。
下がっていた気分も元に戻り、自分の持ち場に戻る。
「おっ、やってるなユホ」
声がする方を向くと、リュークが店へと入ってきた。
「なんだ来たのか」
「こんばんわユホ君」
「こんばんわルル。SLOでは初めてだな。皆そっちに座っててくれ。水持っていくから」
リュークと一緒に来店したのは、ルル、ミカン、ユーリンのIGOメンバーだ。
リュークはSLOが始まってから他の人とパーティーを組んでいるため、このメンバーは珍しい。
他の3人は、3人でパーティーを組んでいると言っていた。
「はい水。注文決まったら呼んでくれ」
「もう決まったから頼む」
「了解だ」
「アタシはツルーラビットのステーキ」
「私もミカンさんと一緒のでお願いします」
「私はサラダと、このハルア特製パスタをお願いします」
「俺は、ツルーラビットのステーキを2つと、サラダ、ハルア特製パスタ、最後に看板娘ユホのスマイル」
「了解だ………はっ!?なんだよ最後の!」
リュークが持っているメニューを取り上げる。
メニューには最初に見た時には無かった、『今日の看板娘ユホちゃんのスマイル』とあった。
「なんだよこれリューク」
「しらねーよ。ハルアさんに聞いとけって」
「ちょっと待ってろ。聞いてくる」
俺は厨房にいるハルアさんの前に向かった。
「どうしたのユホちゃん?」
「あのメニューに追加されていた『今日の看板娘ユホちゃんのスマイル』って何ですか?」
「それは私が追加した訳じゃないわぁ。多分それエレナよぉ」
「聞いてきますね」
「ワタシが言った上げるわ。ちょっと待っててねぇ」
数分後厨房にはエレナさんを連行してきたハルアさんがやってきた。
「エレナぁ~。何であんなの追加してのかしらぁ?」
「ちょっと待ってハルア!説明するから!」
ハルアさんの手つきが怖い。
今から何をする気なのか……
「で、なんでかなぁ?」
「ユホちゃんが罪悪感を感じてたから羞恥心があればそんなの消えるかなーって思ったの」
「その気遣いは嬉しいですけど、流石にこれは無理ですよ」
「え~。絶対いけると思うんだけどな」
「それはワタシも思うけど、本人の許可無しにはダメよ?」
「分かったわ。ごめんねユホちゃん」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「じゃあ、これについては話もついたし、メニューに乗せて良いかな?」
「ハルアさん………今何の話をしてたか分かりますか?」
「許可無しにメニューに乗せちゃいけないってことだよね?」
「はい、そうです。けど、なんで今の流れから話を持ってこれるんですか?」
「だって~、絶対お金とれるもん」
「そうだよユホちゃん!マロンはもうやってるよ?」
エレナさんに言われ、厨房からホールのほうを覗いてみると、笑顔を振りまいている。
「あいつなんであんなに慣れてるか聞いてみてもいですか?」
「βテストの時もよく手伝ってもらってたからね。あれくらいはもう恥らい無く出来るんだよ」
「まぁ……最初から恥じらいなんてなかったけどねぇ」
あいつは何を目的としてやってるんだろうか……
「注文お願い!ユホも何やってるのさ!恥ずかしがってたらやっていけないよ!」
注文をとり終え、厨房へと顔を出すマロンに呆れてしまう。
「はぁ……なんでお前そんな恥じらい無く出来てるんだよ」
「そんなの割り切っちゃえば余裕でしょ?」
「俺そんなメンタル強くないぞ……」
「そんなのいいからさ、早くホールに出てきてよ。一人じゃ無理があるから」
「分かったよ……でもスマイルなんかやらないからな」
「じゃあ……やってくれたらお姉さんが良いことをしてあげるわ」
「じゃあ私もしてあげようかな」
「何ですかそれ……怖いですよ」
「何か知りたいならちゃんと働いてからだよ?」
「そうだよユホちゃん……どうするのやるの?やらないの?」
「………やります」
「よしよし。じゃあ頑張ってきてね!」
変な好奇心に負け、不安と羞恥心を捨てきれないまま俺はホールへと向かった。




