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義務教育にはハマりません。  作者: juri


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番外編 香苗視線 野次馬精神

 「おいしそー」

 

 正統派プリン。形の良いプリンの上には生クリームが絞られ、真っ赤なさくらんぼが彩っていた。そんなプリンは半分食べられた状態で香苗のすぐ横に置かれている。


 「ちょっと食べないでよ?私、お手洗い行ってくるから」


 涼花はハンカチを口に咥えながら、半分食べたプリンと香苗を交互に見る。どれだけ信用がないのか、流石に香苗だって人がいぬ間につまみ食いはしない。


 しかも、香苗の前には自分で注文したさっくりとしたクッキーと紅茶のセットが置いてある。自分のクッキーと紅茶を差し置いて涼花のを盗み食べたりしない、手違いでさくらんぼを食べてしまうぐらいだ。


 涼花は何度も後ろを振り返りながらトイレへと入っていく。姿が見えなくなるのを見届けて香苗は頬杖をつき、絢斗に目をやった。


 絢斗はジーパンに黒いシャツとこの前あった時とほぼ同じ服装だった。それでも様になっているのはなんでだろうか。元の良さを感じさせる。

 

 (見た目もかっけーけどさ、それよりも、こういうさり気ないところがかっけー通り越してキュンとするよね)


 香苗は涼花の前に置いてある半分食べられた固焼きプリンに目を移した。絢斗が先に来て注文したらしい。


 「奢りだから食べて」と言われた涼花は「悪いよ、自分で払う」と言い最終的には折れた。ただ、幸せそうに食べていた涼花を絢斗は幸せそうに見ていたので、絢斗としては大満足だろう。


 別にその二人のやり取りはお好きにして良いのだが、独り身の香苗は糖分過多で倒れそうだ。紅茶をすすって、頭をシャッキリさせると、香苗は絢斗に悪い笑顔を向ける。


 「涼花ちゃん照れてたよねー。そう思わない絢斗くんー?」


 そう言われた絢斗は、そっと香苗の悪い笑みから視線をずらす。


 「ねえー?ねえ、そう思わない?」

 「・・・・・」


 無言を突き通されて、打つ手無しになった香苗に、絢斗は勝ったとばかりに紅茶をすすった。

 香苗は涼花とお揃いの星座のネックレスを触る。体温で温められ、生ぬるい。


 「ねえ、絢斗君。桜木ちゃんと仲良かった?」


 絢斗は紅茶を飲む手を止める。そして、そっと目を伏せた。言葉の地雷を踏んだ後の気まずさなのか、不思議な空気が2人の間にたちこめる。


 香苗が絢斗と会うのは2回目だ。そして、仲がとてもいいというわけじゃない。


 だが、会ったのがたった2回目でも見えてくるものがある。彼は誠実だ。そして、柔軟性もある。自分の中の正義が相手の正義でないことをよくわかっているのだろう。


 それは、とても難しい。自分の中の正義が柔軟な人を香苗は尊敬している。


 だか、その性格とルックスが合わさった彼は運が悪い。その性格だったら、顔が並でもモテよう。


 周りがよく見える彼には妬みと嫉妬が、うるさかっただろう。


 「友人だったんじゃないかな」


 絢斗はそう言うと牛乳を紅茶に注ぐ。それ以上は何も言わない。向こうから聞こえてきた涼花の靴音に気付いたようだ。


 「ただいま。食べてないよね?」

 「さあ?」

 

 香苗はいたずらっぽく笑顔を浮かべる。だが、涼花はスルーしてプリンを食べ始める。そして、手をふと止めた。


 「桜木さんとここの喫茶店で話すことにした」


 ここの喫茶店が大活躍している。実は香苗は涼花と絢斗と来た2回以外にも何回か来店したことがあり、一緒に来た母もとても気に入っていた。客層も気取っておらず少し話をするには丁度いいし、値段も良心的だ。


 香苗は紅茶とセットになっていたクッキーを口に運ぶ。バターの全てをどうでもよくさせる破滅的な香りとザクザクとした砂糖が美味しい。クッキーを食みながら香苗は疑問を口にする。


 「そういえばー、絢斗君は話し合いに参加するのー?」

 「涼花がいいと言うなら」


 絢斗は涼花の顔色をうかがった。その露骨なうかがい方が涼花はいいのだろう。お互いに気を使っているが使っていない。それが絢斗と涼花の関係性だ。


 (この2人を見てると、恋人欲しくなるねー。そこら辺にいい人いないかな)


 道端に落こってないだろうか。 

 

 「絢斗にも香苗ちゃんにも来て欲しい」


 香苗は自分の名前が出されたことに驚いた。ここからさきは関係ないものだと思っていたので呑気に道端に落ちている男のことを考えてしまっていた。

 

 来てほしいなどと、素直に言えるようになった涼花は成長がいちじるしい。ますます、可愛くなってしまう。


 「予定があるんだったら、あわせる必要はないんだけど」

 「ついて行っていいの?行く行く!」


 香苗は何事にも首を突っ込む精神なので、誘われたものには積極的に先人を切って行く。


 「目が輝いてるよ?野次馬になってますよ」


 涼花は呆れたように叶えを見た。野次馬精神が見事にバレてしまった。


 「では、やっぱり開催場所はスイーツパラダイスにしましょー」

 「「却下」」


 残念なことに、お二人仲良く却下を押した。

─────────────────────────

【あとがき】


ご拝読ありがとうございました!!今回のお話はいかがだったでしょうか?

最近、更新ができてなくてすいません!!でも、きちんと完結させるつもりですのでご安心ください!

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