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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第7話

登場人物



三神凌牙


LOOP世界へ送り込まれた一般男性。

クロガミへ「一人で全部背負うな」と叫び、彼の本心へ踏み込む。



クロガミ


何百回ものLOOPを一人で維持してきた観測者。

世界崩壊を止めるため、自分が犠牲になる覚悟を抱えている。



セラ


何度も死を繰り返してきた存在。

三神の中で記憶と因果が完全同期し始める。



ポセイドン


海神。

クロガミを助けるため戦場へ介入する。



カグラ


未来視とLOOP感知能力を持つ少女。

崩壊寸前の世界でも諦めずに戦う。



エドワド4世


海上帝国を統べる王。

王として最後まで戦う覚悟を示す。



ヨーダン


圧倒的な海神の力を持つ存在。

セラを守るため管理者へ立ち向かう。



管理者


LOOP世界の異常を排除しようとする超越存在。

クロガミ抹消を開始する。



用語


LOOP維持


クロガミが行ってきた世界線の保持行為。

崩壊した未来を何度も繰り返し修復してきた。



管理者の処刑光


管理者が対象を完全消去するための超越攻撃。

空間・存在・記録そのものを消滅させる。



セラ同期


三神凌牙へセラの記憶と感情が流入する現象。

LOOPを重ねるごとに進行している。

第七話


―三神 VS クロガミ―


崩壊した海。


割れた空。


止まりかけた世界。



巨大な“目”が空を覆っていた。



管理者


その存在だけで。


現実が軋む。



海上帝国は半壊。


空間はノイズ化。


神々ですら沈黙していた。



その中心。


黒翼を広げる男。



クロガミ


彼は空を見上げていた。


笑っていない。


今までと違う。



離れた場所。


三神凌牙 は拳を握る。


ずっと疑問だった。



なぜ自分なのか。


なぜセラなのか。


なぜクロガミは笑っていられるのか。



三神が叫ぶ。


「お前は何なんだ!!」


静寂。



クロガミは振り返る。


疲れた顔。


それでも。


いつもの軽い笑みを作る。



「観測者」


「管理人」


「黒幕」


「好きなん選べや」


三神。


「ふざけるな!!」


怒声。



「何回人を死なせた!」


「何回LOOPさせた!!」


「セラは何回苦しめばいい!!」


世界が揺れる。



クロガミは黙って聞いていた。


反論しない。



三神が前へ出る。


「お前が全部仕組んだんだろ!」


その瞬間。


クロガミの笑みが消えた。



「……違う」


空気が変わる。


重い。


圧倒的に。



「ワシかて止めたかった」


その声は低かった。


初めてだった。


クロガミが本気の声を出したのは。



三神。


「だったら!!」


クロガミが叫ぶ。



「止まらんかったんや!!」


轟音。


黒い力が吹き荒れる。


LOOP空間が軋む。



「世界は壊れる」


「管理者は修正する」


「セラは死ぬ」


「何回やってもや!!」


静寂。



三神は息を呑む。


クロガミの目。


そこには。


無数の絶望があった。



「ワシは何百回も見た」


「助からん世界を」


「壊れる未来を」


「セラが死ぬ瞬間を」


クロガミの身体が崩れ始める。


ノイズ。


砂みたいに。



三神。


「……お前」


クロガミは笑う。


弱々しく。



「LOOP維持も限界なんや」


空が悲鳴を上げる。


管理者の“目”が開く。



TARGET:KUROGAMI

ELIMINATION START



三神。


「ッ!」


クロガミは振り返らない。


ただ空を見る。



「ほらな」


「ワシがおる限り」


「管理者は止まらん」


三神。


「逃げろ!!」


クロガミ。


「無理や」


静かだった。



「だからお前を呼んだ」


三神の瞳が揺れる。



「セラを終わらせるために」


世界停止。



三神。


「終わらせる……?」


クロガミ。


「救うには」


「LOOPを壊すしかない」


その瞬間。


黒い光が空から落ちる。


管理者の処刑。



クロガミが黒翼を広げる。


最後の力。



「来いや」


「管理者」


空間爆発。


世界崩壊。



三神は叫ぶ。


「クロガミィィィ!!」


その瞬間。


セラの記憶が完全流入する。


炎。


死。


仲間。


絶望。


LOOP。


全部。



そして。


最後に見えた。


何百回も。


たった一人で戦い続けるクロガミの姿。



三神の目から涙が落ちる。



「……何で」


クロガミは笑った。


いつものように。



「主人公やからや」












―お前は主人公にはなれない―


崩壊する空。


砕ける海。


LOOPそのものが悲鳴を上げていた。



黒い光。


管理者の処刑攻撃。


それが。


クロガミ へ降り注ぐ。



クロガミは笑っていた。


いつものように。


軽く。


ふざけたまま。



「主人公やからや」


その言葉。


だが。


三神は叫んだ。



三神凌牙


「違う!!」


轟音。



クロガミが目を細める。


三神は震えていた。


怒り。


悲しみ。


全部混ざった顔。



「お前は主人公じゃない!!」


空気が止まる。



「主人公なら」


「全部一人で背負うな!!」


クロガミの笑みが少しだけ止まる。



三神は前へ進む。


崩壊する世界の中を。



「セラの死も!」


「LOOPも!」


「世界崩壊も!」


「全部お前一人で抱え込んで!!」


叫び。


涙。



「何百回も繰り返して!」


「それで笑って!」


「ふざけて!」


「平気なフリして!!」


黒い雨が降る。


世界が軋む。



クロガミは黙って聞いていた。


反論しない。



三神が拳を握る。



「お前は主人公になれない」


静寂。



「だってお前」


「最初から」


“自分が死ぬ役”だと思ってる」


その瞬間。


クロガミの表情が止まった。


完全に。



管理者の光が迫る。


空間を焼きながら。


だが。


クロガミは動かない。



三神。


「セラを救いたいんだろ!?」


「世界を終わらせたくないんだろ!?」


「だったら――」


叫ぶ。



「助けを求めろよ!!」


轟音。



その瞬間。


クロガミの中で何かが崩れた。



無数の記憶。


何百回ものLOOP。


誰にも言わなかった。


言えなかった。


絶望。


孤独。


後悔。



クロガミが小さく笑う。


だが。


その声は震えていた。



「……今さらや」


三神。


「今さらでもだ!!」



管理者の光が目前まで迫る。


その時。


海が割れた。



ポセイドン


「クロガミ!!」



空から炎。



カグラ


「まだ終わらない!!」



蒼い斬撃。



エドワド4世


「余を忘れるな」



巨大な海神気。



ヨーダン


「セラを泣かせるな」



次々現れる。


今までの仲間。


敵。


LOOPで失った者たち。



クロガミの瞳が揺れる。


信じられないように。



三神が笑う。


涙目のまま。



「お前一人で戦うな」


静寂。



その瞬間。


管理者の光へ。


全員が同時に飛び込んだ。



空に響く。


クロガミの声。


今までで一番。


弱くて。


人間らしい声。



「……助けろや」


その瞬間。


世界が光に包まれた。

―三神凌牙、一言―


静かな海辺。


夕焼け。


珍しく平和。



三神凌牙 が座っている。


その横。


缶コーヒー。


疲れ切った顔。



三神は遠くを見る。


崩壊しない空。


静かな海。


それだけで感動していた。



「……普通って偉大だな」


しみじみ。


本当にしみじみ。



その瞬間。


背後から声。



クロガミ


「次のLOOP行くで」


三神。


「台無しだよ!!」



さらに。


海から。


ポセイドン


「特訓だ」


空から。


カグラ


「未来また壊れた」


遠くから。


エドワド4世


「国が半壊した」



三神。


「平和どこ行ったぁぁぁ!!」



クロガミ爆笑。


ララガミ呆れ顔。



ララガミ


「もう慣れなよ」


三神。


「慣れるか!!」



その時。


空にうっすら巨大な“目”。



全員。


「あ」



三神凌牙。


人生三十七年。


普通の会社員。



現在。


世界崩壊常連。



彼の一言。



「転職したい……」

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