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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第五十二話:

登場人物


―第五十二章:炎哭の王―


アポローン


炎哭の火居館を治める当主。

“太陽”を操る超越者であり、六居館の中でも屈指の破壊力を持つ。


圧倒的熱量を纏い、その存在だけで周囲を燃やす。

かつて“冥炎”の使い手を弟子にしていた。


⸻


焔牙


セラの右腕。

炎哭の火居館で、自身の冥炎のルーツに触れることになる。


アポローンから“過去の継承者”について知らされる。


⸻


クロガミ


半消滅状態ながら行動を続ける観測者。

アポローンとも古い知り合いであり、“煉獄丸”という名に強い反応を見せる。


⸻


鳥羽姫


白都の姫君。

炎哭の火居館の圧倒的熱量に驚きながらも、六居館の真実へ近づいていく。


⸻


煉獄丸


かつてアポローンの弟子だった男。

“世界を燃やしかけた”と語られる危険な存在。


焔牙と同じ冥炎を扱っていた。


⸻


管理者


六居館への干渉を強める絶対存在。

炎哭の火居館にも侵食を開始する。


⸻


用語


炎哭の火居館(えんこくのひやかた)


六居館の一つ。

炎と怒りを司る灼熱の居館。


火山地帯の中心に存在し、常人では近づくことすら不可能。

歴代当主は強大な炎の力を継承している。


⸻


冥炎


通常の炎とは異なる黒き炎。

魂すら焼く危険な力とされる。


焔牙と煉獄丸が扱う特殊な炎。

第五十二章:炎哭の王


―炎哭の火居館―


世界の北端。


山脈すら溶ける灼熱地帯。


空は赤い。


地面は割れ。


炎の雨が降っていた。


その中心に存在する巨大な居館――


炎哭の火居館(えんこくのひやかた)


六居館の一つ。


怒りと炎を司る戦の領域。


⸻


その門の前へ。


焔牙 が立っていた。


熱風が吹き荒れる。


普通の人間なら立っているだけで焼け死ぬ。


だが焔牙は笑った。


「……悪くねぇ」


炎が好きだった。


戦場が好きだった。


そして。


この場所には、自分と同じ“炎”がある。


⸻


隣には 鳥羽姫 。


汗を流しながら呟く。


「暑すぎます……!」


その後ろ。


半透明状態の クロガミ 。


「わい溶けそう」


「幽霊みたいな見た目のお前が言うな」


⸻


巨大門がゆっくり開く。


ゴゴゴゴ……


その瞬間。


熱風が爆発した。


白都兵たちが吹き飛ばされる。


炎柱。


爆音。


まるで火山が怒鳴っている。


⸻


そして。


炎の奥から、一人の男が現れた。


黄金の長髪。


褐色の肌。


赤い外套。


その背後には、“太陽”が浮かんでいる。


圧倒的熱量。


誰も近づけない。


アポローン


彼が歩くたび、大地が燃えた。


⸻


焔牙が目を細める。


「……強ぇな」


アポローンは焔牙を見る。


その瞬間。


空気が爆ぜた。


炎と炎がぶつかる。


周囲が震える。


鳥羽姫が後退る。


「な、何ですかこの圧力……!」


クロガミが笑う。


「炎属性同士の威嚇や」


⸻


アポローンは低く言った。


「久しいな、クロガミ」


「元気そうやな太陽男」


「貴様は消えかけているがな」


クロガミ真顔。


「それ言う?」


⸻


アポローンは焔牙を見る。


「お前か」


「冥炎を継いだ者は」


焔牙が眉をひそめる。


「知ってんのか」


アポローンは静かに頷いた。


「その炎」


「かつて我が弟子が持っていた」


空気が止まる。


⸻


焔牙が驚く。


「弟子?」


その瞬間。


炎哭の火居館内部に巨大な炎紋章が浮かぶ。


そこに映る、一人の男。


黒髪。


大剣。


そして蒼炎。


焔牙に似ていた。


⸻


アポローンが静かに言う。


「名は――」


「煉獄丸」


炎が揺れる。


クロガミの笑みが消える。


「……そいつの話はやめとけ」


珍しく低い声だった。


⸻


鳥羽姫が不安げに問う。


「何者なのですか」


アポローンは空を見る。


「世界を燃やしかけた男だ」


炎が一瞬、黒く染まる。


⸻


その時。


炎哭の火居館全体が揺れた。


ゴゴゴゴ……


天井に巨大な亀裂。


そこから黒い腕が伸びる。


時間の歪み。


そして。


聞こえる声。


「――観測領域確認」


管理者


来た。


⸻


アポローンが笑う。


灼熱の笑み。


「ようやくか」


その背後。


巨大な太陽が出現する。


白都兵たちが震える。


焔牙ですら息を呑む。


「……化け物かよ」


クロガミが肩をすくめる。


「せやで」


⸻


アポローンは腕を広げた。


「管理者」


「太陽に焼かれてみるか?」


その瞬間。


炎哭の火居館の空が、“昼”になった。

―ポセイドンとアポローンの雑談会―


場所。


なぜか炎哭の火居館の露天風呂。


溶岩風呂。


意味が分からない。


⸻


ポセイドン


「熱ッッッ!!」


秒で飛び出す。


「なんやここ!!」


「海の神殺す気か!!」


⸻


対面。


溶岩風呂で普通にくつろいでいる男。


アポローン


「ぬるいぞ」


「お前の基準で喋るな!!」


⸻


そこへ。


桶を持った クロガミ 登場。


「ええ湯やな〜」


ポセイドン即ツッコミ。


「お前半分消えてんのに風呂入れるんか」


クロガミ真顔。


「雰囲気や」


⸻


アポローンが腕を組む。


「ポセイドン」


「何や」


「お前、昔より丸くなったな」


沈黙。


ポセイドン眉ピク。


「喧嘩売っとる?」


「物理的に」


「燃やすぞ太陽野郎」


⸻


クロガミ大笑い。


「ギャハハハ!!」


ポセイドンが睨む。


「お前は笑うな」


「すまんすまん」


全然反省してない。


⸻


アポローンは少し笑った。


「昔のお前なら、今ごろ海ごと吹き飛ばしていた」


ポセイドンは黙る。


少しだけ真面目な顔。


「……まぁな」


「守るもん出来たからやろ」


空気が少し静かになる。


⸻


そこへ。


なぜか魚を持った トリートーン 登場。


「父上ー!」


ポセイドン。


秒で親の顔。


「おおトリートーン!」


アポローン、吹き出す。


「露骨すぎるだろ」


⸻


トリートーンがアポローンを見る。


「誰?」


「太陽のおっちゃんや」


「雑紹介やめろ」


⸻


クロガミが湯船に浮きながら呟く。


「神様も父親すると普通なんやなぁ」


ポセイドンが即返す。


「お前は?」


クロガミ沈黙。


「……」


「お前まさか」


「やめろ」


アポローン笑う。


「図星か」


⸻


クロガミが立ち上がる。


「ほな帰るわ!」


「逃げたぞ」


「逃げたな」


クロガミは去り際に叫ぶ。


「わいにも色々あんねん!!」


その瞬間。


足を滑らせる。


ドボォン!!


溶岩へ落下。


⸻


ポセイドン絶叫。


「アホーーーー!!」


アポローン爆笑。


トリートーン拍手。


そして炎哭の火居館には、しばらく笑い声が響いていた。

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