第四十八話:
クロガミ ホット一息 ~何とかチューバー編~
♪テテテテーン♪
白都の空。
突如として現れる謎の四角い枠。
右上には赤い文字。
LIVE
その中央に映る男。
黒パーカー。
サングラス。
首からぶら下がる謎カメラ。
もちろん。
クロガミ
「はいどーも皆さん!」
「クロガミチャンネルのお時間やぁぁ!!」
セラ、即座に頭を抱える。
セラ
「何始めたんだお前」
「時代は配信や!」
「どこの時代だ!」
⸻
クロガミ、謎カメラを向ける。
「今日はな!」
「崩壊寸前の白都から生配信やで!」
背景。
マジで崩壊中。
兵士が走ってる。
城壁壊れてる。
空裂けてる。
最悪である。
⸻
コメント欄っぽい何かが流れる。
・世界終わってません?
・草
・管理者おるやん
・逃げろ
セラがツッコむ。
「誰が見てるんだよ!」
クロガミ真顔。
「知らん!」
知らんのかい。
⸻
そこへ 鳥羽姫 登場。
「……何をしているのですか」
クロガミ即答。
「案件配信や!」
「案件?」
「白都観光復興プロジェクト!」
「今それどころじゃないでしょう!」
正論である。
⸻
クロガミはカメラをぐいっと向ける。
「こちら現在の白都!」
「崩壊率なんと七十三パーセント!」
「笑顔で言うな!」
セラがキレる。
⸻
そこへ 焔牙
なぜか焼き鳥を食べている。
クロガミ大喜び。
「おっ、飯テロ枠!」
「うまい」
「自由すぎるやろ!」
⸻
突然。
空の裂け目が開く。
低い声。
「――不正電波を確認」
全員静止。
クロガミ、小声。
「うわBANされる」
「違うだろ」
⸻
空に巨大な目。
管理者。
白都全域が震える。
コメント欄っぽいものが爆速で流れる。
・来た
・終了のお知らせ
・逃げて
クロガミ、なぜかカメラへ向き直る。
「はい皆さん!」
「今回のボス戦はこちら!」
「実況するな!!」
⸻
その瞬間。
管理者の圧力が落ちる。
ドゴォォォォン!!
配信画面ブレブレ。
クロガミ吹っ飛ぶ。
「うわぁぁぁ画角ぅぅ!!」
セラが翼で防ぐ。
鳥羽姫が呆然。
焔牙だけ焼き鳥を守っていた。
⸻
煙の中。
クロガミはカメラを持ち上げた。
「……まだ映っとる?」
ど根性である。
セラがため息。
「お前、本当に何なんだ」
クロガミは笑った。
「配信者や」
「違う」
⸻
画面がノイズ混じりになる。
管理者の目が近づく。
世界の終わりが迫っている。
だがクロガミは、なぜか笑っていた。
「ほな皆さん」
「今回も最後まで――」
ニヤリ。
「生き残っていこか」
その瞬間。
画面が暗転する。
接続中………
そして物語は、再び本編へ戻る。
第四十八章:セラ間一髪
―崩壊の白都―
白都が崩れていた。
空は裂け、
城壁は文字へ変わり、
大地そのものが“削除”され始めている。
兵士たちは逃げ惑う。
「南区画が消えた!!」
「人が……!」
「存在ごと消えてる!」
悲鳴。
絶叫。
混乱。
そして空の上。
巨大な“目”。
管理者
その視線だけで、世界が軋んでいた。
⸻
白都中央。
瓦礫の中を走る男。
黒翼を広げる。
セラ
「まだ生きてる奴を先に!」
叫ぶ。
兵士たちが動き出す。
だが次の瞬間。
空から黒い文字が降った。
不要
修正
削除
ドゴォォォン!!
街が吹き飛ぶ。
セラが翼で民を庇う。
「ぐっ……!」
腕が裂ける。
血が飛ぶ。
それでも立つ。
⸻
その姿を見ていた。
屋根の上。
黒コートを翻す男。
クロガミ
「……あほやなぁ」
小さく笑う。
「ほんま主人公や」
⸻
その時。
白都全域に声が響く。
「――最終修正を開始」
空が開く。
巨大な黒い槍が現れる。
都市サイズ。
兵士たちが絶望する。
「無理だ……!」
「避けられない!」
鳥羽姫が顔を青ざめさせる。
鳥羽姫
「あれが落ちれば……白都ごと……!」
焔牙が冥炎を纏う。
焔牙
「止める!」
だがセラが前へ出た。
「俺が行く」
⸻
クロガミが眉をひそめる。
「おい」
「それ、死ぬで」
セラは空を見る。
巨大な槍。
絶望そのもの。
だが。
「ここで逃げたら」
「全部終わる」
黒翼が広がる。
⸻
セラが飛ぶ。
轟音。
白都の空を一直線。
槍へ向かう。
兵士たちが叫ぶ。
「戻れぇぇ!!」
「セラ様ぁぁ!」
だが止まらない。
⸻
空の上。
管理者の声。
「――無意味」
巨大槍が落ちる。
セラが剣を構える。
「うおぉぉぉぉ!!」
激突。
ドゴォォォォォン!!!
世界が白く染まる。
⸻
白都。
爆風。
城壁崩壊。
鳥羽姫が吹き飛ばされる。
焔牙が地面へ叩きつけられる。
クロガミだけが空を見ていた。
煙。
何も見えない。
数秒。
静寂。
⸻
そして。
空から、何かが落ちてきた。
ボロボロの黒翼。
セラだった。
「セラ!!」
鳥羽姫が駆け出す。
セラは地面へ激突。
血まみれ。
片翼消失。
呼吸も弱い。
⸻
焔牙が膝をつく。
「……そんな」
鳥羽姫の手が震える。
「死なないで……!」
その時。
空の裂け目が、さらに開いた。
管理者の目。
白都全体へ向く。
「――対象:セラ」
「最終削除を実行」
黒い光が集まる。
完全に終わりだった。
⸻
クロガミが帽子を深く被る。
「……しゃあないな」
一歩前へ出る。
だが。
その瞬間。
地面へ倒れていたセラが、指を動かした。
クロガミが止まる。
⸻
セラは、立とうとしていた。
血だらけで。
翼を失い。
全身が壊れかけながら。
それでも。
「……まだ」
立ち上がる。
兵士たちが目を見開く。
鳥羽姫の瞳から涙。
焔牙が拳を握る。
⸻
セラは剣を支えに空を睨んだ。
「まだ終わってねぇ……」
管理者の圧力が増す。
だがセラは笑った。
ボロボロの顔で。
「……上等だ」
その瞬間。
黒い空に、小さな火が灯る。
一つ。
また一つ。
それは。
白都の人々の想いだった。
消えたくない。
生きたい。
守りたい。
その感情が、セラへ集まる。
⸻
クロガミが小さく笑った。
「……ほんま」
「とんでもない主人公やな」
管理者の目が、初めて揺れる。
「――理解不能」
セラは剣を握る。
「理解しなくていい」
黒い炎が再び灯る。
片翼だけで立つ。
「俺は――」
風が吹く。
そして。
「生きる」
その言葉と共に。
白都の夜が、再び燃え始めた。
登場人物
―第四十八章:セラ間一髪―
セラ
世界の崩壊に立ち向かう主人公。
白都を守るため、“管理者”の巨大槍へ単身突撃する。片翼を失いながらも最後まで立ち上がり、「生きる」意志を示す。
クロガミ
物語の観測者。
崩壊していく白都を静かに見守りながらも、セラの生き様に強い期待を抱いている。危機の瞬間、自ら動こうとする。
鳥羽姫
白都を支える姫君。
瀕死となったセラを必死に支え、その死を拒む。彼への想いが強く描かれる。
焔牙
セラの右腕。
白都防衛のため戦い続けるが、圧倒的な“管理者”の力を前に苦戦。それでも最後までセラを信じる。
管理者
世界そのものを修正する絶対存在。
白都を“不要”と判断し、巨大な黒槍による最終削除を実行する。
⸻
人物関係
セラ × 管理者
反逆者と支配者。
セラは「生きる」という意志だけで管理者へ抗う。
クロガミ × セラ
観測者と主人公。
クロガミはセラの“不可能へ立ち向かう姿”を認めている。
鳥羽姫 × セラ
強い絆で結ばれた関係。
鳥羽姫は瀕死のセラを前に涙を流し、その生還を願う。
焔牙 × セラ
信頼で結ばれた主従。
焔牙は絶望的状況でもセラの背中を信じ続ける。
管理者 × クロガミ
修正者と異常存在。
クロガミは管理者の理屈へ反発し続けている。
⸻
この章の位置づけ
第四十八章は、
**「主人公の覚悟」と「生への執念」**を描く極限章。
セラ は、
“管理者”という絶対存在を前に片翼を失いながらも立ち上がる。
「生きる」というシンプルな意志が、
世界そのものへ反逆する力へ変わり始める重要な転換点となる。




