黒神田昴による授業
本編へ戻る前に、少しだけ寄り道を。
笑って、騒いで、殴られて、推理して。
学園という不思議な舞台で、彼らは本編では見せぬ顔を見せてくれた。
セラ は眠そうな高校生となり、
鳥羽姫 は美人の先輩となり、
クロガミ はパン屋のおっちゃんになった。
何一つ意味が分からない。
だが、それでよかった。
戦乱の前に笑いがあり、
陰謀の前に日常があり、
宿命の前に、ほんの少しの青春があった。
これはそんな、夢のような寄り道の記録。
それでは最後に――
もう少しだけ、騒がしいおまけをどうぞ。
スピンオフ総まとめ
黒神田昴による授業
ガラガラガラ――
教室の扉が勢いよく開く。
白帽子。
口ひげ。
エプロン姿。
片手には食パン。
もう片手にはチョーク。
現れたのは――
黒神田昴
「はいはい着席ぃー!」
「今日の特別授業!」
「三神凌牙の事件簿・総まとめ講座やで!」
後ろの席で 神谷拓也 が拍手する。
「待ってました!」
窓際では 三神凌牙 が寝ていた。
「帰りたい……」
⸻
黒神田は黒板に大きく書く。
一時間目:この世界とは何やったんや
「まずこの学園世界!」
「本編の激しい戦乱とは別の、寄り道世界や!」
「せやけどただのオマケやない!」
「本編キャラの別の顔が見られる、貴重な空間やったんや!」
凌牙がぼそっと言う。
「迷惑空間の間違いだ」
⸻
二時間目:主人公について
黒板に似顔絵。
三神凌牙
「こいつは本来――」
チョークでバッテン。
セラ
「やけどこの世界では、眠そうで面倒くさがりの高校生やった!」
神谷が手を挙げる。
「でも毎回解決してました!」
「せや!」
「嫌々ながらも事件を解く!」
「これぞ主人公補正や!」
凌牙が目を開く。
「努力を雑に言うな」
⸻
三時間目:事件を振り返ろう
黒神田は黒板に一覧を書く。
* 消えた答案用紙
* 放送室の告白
* 消えた給食プリン
* 閉ざされた図書室の手紙
* 学園中に広がる告白騒動
* 本編へ戻る扉
「なんやかんや色々あったな!」
神谷が立ち上がる。
「プリン回好きです!」
凌牙が即答。
「俺は嫌いだ」
「なんで!?」
「無駄に疲れた」
⸻
四時間目:ヒロイン枠について
黒板にハートを書く。
月城沙耶
「卒業した美人先輩!」
「せやけど正体は――」
バン!
鳥羽姫
神谷が感動する。
「すげぇ!」
「殴る威力がそのままでした!」
凌牙が遠い目をする。
「思い出したくない」
⸻
五時間目:わしについて
黒神田は自分を指差す。
「わしはパン屋のおっちゃん!」
「そして――」
帽子を取る。ひげを外す。
クロガミ
「全てを見て楽しんでた黒幕や!」
教室ざわつく。
神谷が聞く。
「結局なんで関西弁なんですか?」
クロガミは胸を張る。
「作者の趣味や!」
全員納得した。
⸻
六時間目:後書き界の戦争
黒板に小さく名前が並ぶ。
* チャック
* プリン丸
* ブックル
* ラブック
「後書きだけで何人出てくんねん!」
教室爆笑。
その時、窓から チャック が飛び込んできた。
「レギュラーは僕やぁぁ!」
クロガミがうなずく。
「一番出たな」
チャック号泣。
「公式認定やぁぁ!」
⸻
七時間目:この物語が残したもの
教室が静かになる。
クロガミは珍しく穏やかな声で言った。
「戦いだけが物語やない」
「笑いも」
「寄り道も」
「アホみたいな事件も」
「全部あってこそ、本編が光るんや」
凌牙は少しだけ笑った。
「……たまにはまともなこと言うな」
「たまにはて何や」
⸻
終業式
チャイムが鳴る。
クロガミはパンを掲げた。
「これにて授業終了!」
「次の舞台は本編や!」
神谷が泣く。
「学園終わるの寂しい!」
凌牙は立ち上がる。
「十分だ」
チャックが手を振る。
「また会おなー!」
黒板には最後にこう書かれていた。
スピンオフ完結。でも記憶には残る。
⸻
おまけ
学園世界・通信簿発表会
放課後の教室。
黒板の前に立つのは、スーツ姿の 黒神田昴
「えー、本日は!」
「学園スピンオフ通信簿発表会や!」
拍手はない。
代わりに 神谷拓也 が机を叩く。
「待ってました!」
窓際では 三神凌牙 が寝ている。
⸻
一人目
「三神凌牙!」
凌牙が面倒そうに前へ出る。
クロガミが読み上げる。
* 推理力:95点
* やる気:12点
* 人気:92点
* 愛想:3点
神谷が爆笑する。
「愛想3点!」
凌牙が無言で席へ戻る。
⸻
二人目
「神谷拓也!」
神谷が元気よく登壇。
* 騒がしさ:100点
* 助手力:78点
* 空気読む力:8点
* 出席率:なぜか皆勤
「皆勤って何だよ!」
「毎回勝手に出てきたからや」
⸻
三人目
「月城沙耶!」
教室の扉が開く。
月城が入ってくる。
* 美貌:100点
* 破壊力:100点
* 告白騒動:特A
* 拳圧:測定不能
凌牙が顔をしかめる。
「嫌な記憶が蘇る」
⸻
四人目
「チャック!」
天井から落ちてくる。
「こんちわー!」
* 元気:100点
* 出番欲:100点
* 安定感:34点
* レギュラー性:審議中
チャック絶叫。
「まだ審議中なん!?」
⸻
最後
クロガミが自分の紙を出す。
* 黒幕力:100点
* 迷惑度:100点
* 関西弁:100点
* 真面目さ:0点
全員うなずいた。
「納得やな」
⸻
後書き
こうして、学園世界は幕を閉じる。
事件は小さく、騒動は大きく、
犯人はだいたい身近にいて、
後書きは毎回うるさかった。
だがその全てが、確かに物語だった。
もしまた別の世界で、別の教室で、別の事件が起きたなら。
その時また、三神凌牙 はため息をつきながら言うだろう。
「……犯人は君だ」
するとどこかで、チャック の声がする。
「こんちわーーーっ!」
……たぶん、うるさく再会する。




