第二十一話:
この章の真相
* 黒翼の都地下に封じられていた王朝の亡霊が復活
* スケルトン兵団 黒翼骸兵 が都を襲撃
* 王朝最後の王 骸翼王グラウス が復活
* 忘れられた王女 レア が現れ、現王家と対立する過去を示唆
* セラたちは神との戦いを終えた直後、今度は国家の闇と向き合うことになる
第二十一章:黒翼王朝の亡霊
―骨の王と、忘れられた少女―
黒翼の都に夜が落ちた。
だが、それはただの夜ではない。
太陽は空にある。
それでも光は届かない。
都の中央塔から噴き出す闇が、空そのものを塗り潰していた。
鴉天狗たちは翼を震わせ、古老たちは地に額をつける。
「王朝の亡霊だ……」
「封じられていた罪が戻ってきた……」
石畳が割れ、地下から無数の腕が伸びる。
白骨の指。
錆びた鎧。
朽ちた羽。
スケルトン兵団だった。
黒翼骸兵
かつて王朝に仕え、処刑され、都の礎として埋められた兵たち。
死してなお命令に縛られ、今よみがえったのだ。
「うわあああ! 本当に骨だ!」
小鴉 が屋根の上で叫ぶ。
「聞いてないよこんなの!」
「私も初見だ」
烏羽姫 が剣を抜く。
「総員、防衛線を張れ!」
セラは空牙と焔牙を背後へ下がらせる。
「前に出るな」
「父さん、僕も!」
空牙 が叫ぶ。
「まだ早い」
「毎回それ言う!」
焔牙が笑う。
「親父、あいつ根性あるぜ」
「お前は黙ってろ、問題児一号」
「じゃあ俺が長男で」
「誰が決めた」
その時だった。
地下深くから、巨大な骸骨の手が塔を砕いて現れた。
黒き王冠。
六枚の骨翼。
空洞の眼窩に蒼い炎。
骸翼王グラウス
「我が国は……まだ終わっておらぬ」
その声だけで兵たちが吹き飛ぶ。
烏羽姫が歯を食いしばる。
「先祖の恥……!」
セラは剣を構える。
「倒せばいいだけだ」
「簡単に言うな!」
グラウスが腕を振るうと、街区ごと崩れた。
「生者どもよ」
「再び我が王朝の礎となれ」
絶望が広がる。
その時――
闇の裂け目から、一筋の白光が差した。
骸兵の群れが次々と吹き飛ぶ。
白い羽根が舞う。
現れたのは、小柄な少女だった。
銀髪。
片翼だけ白い羽。
古びた王家の装束。
「……やっと、見つけた」
彼女は杖を構え、グラウスを睨む。
レア
「おじいさま。もう寝る時間です」
都中が静まり返る。
小鴉がぽつり。
「誰?」
烏羽姫が目を見開く。
「まさか……初代王家の血族……」
レアはセラを見る。
「あなた、強そう」
「急だな」
「手伝って。あれ、私ひとりじゃ面倒」
焔牙が吹き出す。
「親父、女難の相がすげぇな」
「黙れ問題児二号にするぞ」
レアは空牙の前にしゃがみ込む。
「泣き虫顔してるけど、芯は強いね」
空牙がむっとする。
「泣いてない!」
「そういうとこ可愛い」
セラが頭を抱える。
「増えるな……」
骸翼王グラウスが咆哮する。
「レアァァ!!」
「王朝を裏切るか!」
レアは杖を掲げた。
「違うよ」
「あなたたちが、未来を裏切ったの」
白光が闇を裂く。
骨の軍勢が迫る。
セラは剣を握る。
空牙は拳を固める。
焔牙は笑う。
烏羽姫は翼を広げる。
黒翼の都、亡霊との戦いが始まる。
登場人物
セラ
本作の主人公。
神々との戦いを終えた直後、今度は黒翼の都に眠っていた王朝の闇へ巻き込まれる。
血筋に翻弄されてきた男だったが、今は家族と仲間を守るために戦う父として立っている。
第ニ十一章では、亡霊王すら「倒せばいい」と言い切る揺るがぬ覚悟を見せる。
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空牙
かつてカイオスと呼ばれていた少年。
本当の名を取り戻し、セラの実子として生き始めた。
まだ幼さは残るが、父の背中を追い、戦う意志を強くしている。
第二十一章では初陣を望みながらも、守られる側と戦う側の狭間で揺れる。
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焔牙
セラに育てられた青年戦士。
血の繋がりはなくとも、父子同然の絆を持つ。
豪快で明るく、重い空気でも笑い飛ばす胆力の持ち主。
第二十一章では空牙に兄貴分のような立場を見せる。
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烏羽姫
黒翼の都を治める現王家の姫。
誇り高く民を守る統率者であり、空牙の母でもある。
しかし第二十一章では、自らの王家が過去に封じた罪と向き合う立場になる。
国家の長として、母として、厳しい決断を迫られている。
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小鴉
機転が利き、口達者な少女。
緊迫した戦場でも騒がしく、読者目線のリアクションを担う存在。
第二十一章ではスケルトン兵団の出現に誰より驚き、場の緊張を和らげる役目も果たす。
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黒翼骸兵
地下に封じられていた黒翼王朝の亡者兵。
生前は王朝に仕えながら処刑され、死後も命令に縛られている悲しき兵たち。
都襲撃の主戦力として蘇った。
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骸翼王グラウス
黒翼王朝最後の支配者。
巨大な骸骨の姿で蘇り、都そのものを踏み潰す圧倒的存在感を放つ。
過去への執着と王権への妄念に囚われ、生者たちを再び支配しようとする。
現王家にとって最大の恥でもある。
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レア
突如現れた白翼の少女。
黒翼王朝の血を引くとされる謎多き存在。
小柄で飄々としているが、亡霊王グラウスに対して一切怯まない。
第二十一章では都の未来を左右する鍵として登場した。




