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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第十一話:

登場人物


セラ


本作の主人公。

海神の子として育てられたが、その正体は神々の思惑と人間の魂が交わって生まれた特異な存在。

前世は三神凌牙。孤独な人生を送りながらも、最後は他人を助けて命を落とした。

第十一章では自らの出生の真実を知るが、それでも「今を生きる」ことを選ぶ。



アルテミス


月と狩猟を司る女神。

冷静で誇り高いが、セラに対してだけ感情が揺れる。

かつてセラを愛していたが、神々によって記憶と関係を断たれた。

第十一章ではついに本心を告白する。



ポセイドン


海の王。

セラの肉体を生み出した存在であり、トリートーンの父。

威厳ある支配者だが、愛情と所有欲の区別が曖昧。

セラを拒絶しながらも、その存在を手放せずにいる。



ハデス


冥界の王。

セラの魂の根幹に関わる神。

三神凌牙の魂を取り込み、神界を揺るがす駒としてセラを誕生させた。

静かで理知的だが、根底には強い執着を持つ。



トリートーン


ポセイドンの純粋な実子。

セラの弟として育った青年。

父に愛され、後継者として育ったため誇り高く、兄への嫉妬心も深い。

セラ排除のため暗躍している。



リナ


ルナ村の少女。

明るく真っ直ぐで、セラに人の温もりを教えた存在。

トリートーンとの形式上の契約に縛られていた過去を持つが、心は一度も従っていない。

第十一章では療養中ながら、セラの周囲に増える女性陣へ複雑な感情を抱き始める。



イネ


猫族の村出身の少女。

昔、セラに村を救われた恩を返すため彼を追って現れた。

匂いでセラを探し当てる嗅覚の持ち主。

明るく人懐っこく、距離感が近い。

「未来のお嫁さん候補」を自称し、場をかき回す新ヒロイン。



三神みかみ 凌牙りょうが


セラの前世。37歳、独身。

恋愛にも恵まれず孤独だったが、最後は見知らぬ子どもを助けて死んだ。

その優しさと諦めきれない心は、今もセラの中に生きている。

第十一章:月神の告白


―月に照らされた出生―


 


夜は静かだった。


 


戦いの傷跡が残るルナ村。

焼けた倉庫の木材は片づけられ、村人たちは重い沈黙の中で眠っていた。


 


リナは村長の家で治療を受けている。


 


命は助かった。


 


それだけで、セラには十分だった。


 


 


丘の上。


 


一人座るセラの前に、月光が降りる。


 


白銀の粒子が集まり、一人の女神の姿を形作った。


 


長い銀髪。

冷たい瞳。

だが今夜だけは、その瞳に迷いがあった。


 


アルテミス。


 


 


「……来ると思っていた」


 


セラが言う。


 


「でしょうね」


 


彼女は素っ気なく答え、少し距離を置いて立つ。


 


 


「話せ」


 


「何を」


 


「全部だ」


 


 


月風が吹いた。


 


アルテミスは目を閉じる。


 


やがて、逃げずに言った。


 


 


「あなたは、ポセイドン の子ではない」


 


「それは知った」


 


「でも、他人でもない」


 


 


セラの眉が動く。


 


 


「あなたの器を作ったのはポセイドン」


 


「魂を宿したのは ハデス」


 


 


夜が凍る。


 


 


「……どういう意味だ」


 


 


「神々の宴の時代。二柱は一時だけ、互いを欲した」


 


「海の王と冥府の王」


 


「誰にも言えない関係だった」


 


 


セラは無言で聞く。


 


 


「その時、二柱は戯れ半分に“生命”を創ろうとした」


 


「肉体は海。魂は冥府。」


 


「そこへ偶然、死にたての人間の魂――三神凌牙が引き寄せられた」


 


 


「それが……俺」


 


 


アルテミスは頷く。


 


 


「あなたは愛の証ではない」


 


「罪の証拠でもない」


 


「ただ、神々の身勝手から生まれた命」


 


 


セラはしばらく空を見上げた。


 


怒るべきか。

嘆くべきか。


 


分からない。


 


 


「……くだらん」


 


 


アルテミスが目を見開く。


 


 


「出生なんてどうでもいい」


 


「今ここで何をするかの方が重要だ」


 


 


その答えに、彼女は少し笑った。


 


 


「本当に、変わったわ」


 


 


「お前のおかげかもしれん」


 


 


沈黙。


 


月だけが二人を照らす。


 


 


「もう一つある」


 


アルテミスの声が震えた。


 


 


「昔……私はあなたを愛していた」


 


 


セラの瞳が揺れる。


 


 


「神々がそれを許さず、私たちの記憶は消された」


 


「あなたを異世界へ落としたのも、その一因」


 


 


「……そうか」


 


 


セラは胸の奥の痛みの理由を理解した。


 


会った瞬間から、失っていたものだったのだ。


 


 


「今も?」


 


 


アルテミスは視線を逸らす。


 


 


「……嫌いなら、もっと楽だった」


 


 


その時だった。


 


草むらが激しく揺れる。


 


 


「みゃああああああああ!!」


 


 


茶色い影がセラへ飛びついた。


 


 


「ぐっ」


 


 


胸元へ顔を押しつけ、猛烈に匂いを嗅ぐ少女。


 


猫耳。

尻尾。

小柄な体。

金色の瞳。


 


 


「いたにゃ!!」


 


「この匂い! 間違いないにゃ!」


 


 


セラは固まる。


 


 


「……誰だ」


 


 


少女は顔を上げ、満面の笑み。


 


 


「猫族のイネにゃ!」


 


イネ


 


「昔、うちの村を救ってくれた英雄セラ様を探してたにゃ!」


 


 


アルテミスの眉がぴくりと動く。


 


 


「……誰?」


 


 


イネはセラの腕に抱きついたまま答える。


 


 


「未来のお嫁さん候補にゃ!」


 


 


「は?」


 


アルテミスの声が低くなる。


 


 


「恩返ししに来たにゃ!」


 


「毎朝起こす! 魚焼く! 一緒に寝る!」


 


 


「離れなさい」


 


 


「いやにゃ」


 


 


月光が冷たく強まる。


 


イネの毛が逆立つ。


 


 


「この女こわいにゃ!」


 


 


セラは深くため息をついた。


 


 


「……面倒なのが増えた」


 


 


丘の下、村の窓からリナがその光景を見ていた。


 


 


「……何あれ」


 


 


回復しかけた少女の額に、青筋が浮かぶ。


 


 


こうして、神々の秘密が明かされた夜。

同時に、新たな修羅場の幕も上がった。

この章の真相


* セラは ポセイドン と ハデス の関係から生まれた特異な存在

* 肉体は海神の力、魂は冥府、そこへ三神凌牙の魂が融合した

* トリートーン はポセイドンの純粋な実子

* アルテミス は昔からセラを愛していた

* 新ヒロイン猫族少女 イネ 登場

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