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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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103/111

❷❶

登場人物


―第二十一話:もう戻れない世界―



セラ


LOOP崩壊後、真っ黒な異世界へ取り残された少女。

失われた世界を忘れられないまま、新世界の“最初の住人”となる。



シンガミ


新世界の創造者。

管理者権限と観測権限を統合し、“シンガミ世界”を再構築している。


シンガミ語を操る。



黒獣ネヴァ


黒い異世界に存在する巨大獣。

身体にシンガミ語が刻まれている。



黒人形


シンガミによって生成された新世界の住人。

感情が薄く、機械的な言葉を話す。



用語


シンガミ世界


LOOP崩壊後に再構築された真っ黒な異世界。

旧世界とは完全に切り離されている。



シンガミ語


シンガミが使用する観測言語。

言葉そのものが世界を書き換える力を持つ。



NEW WORLD SYSTEM


シンガミによる新世界構築機構。

旧LOOP世界の代替として稼働している。



NO RETURN


黒い月へ刻まれた巨大文字。

「もう元の世界へ戻れない」という意味を持つ。

第二十一話


―もう戻れない世界―


黒。


どこまでも黒。


空も。


海も。


風も。


全部が黒に沈んでいた。



セラ は静かに歩いていた。


足音だけが響く。


コツ……


コツ……



白の世界は消えた。


LOOPも。


鐘も。


扉も。


もう存在しない。



残ったのは。


この“真っ黒な異世界”。



セラは空を見る。


星がない。


月もない。


時間の感覚すら曖昧。



「……帰れないんだ」


小さな声。


誰にも届かない。



その瞬間。


黒い空間へ文字。


見たことのない言語。



∴ Kal-Noa

Λ Vey-Las



セラ。


「また……シンガミ語」


黒い文字が空中で崩れる。


すると。


地面が変化する。



黒い街。


巨大な塔。


見たこともない建築。



まるで。


“新しく作られた世界”。



遠く。


巨大な影。


ゆっくり動く。



セラ。


「何……あれ」


影の正体。


それは人ではない。



黒い獣。


複数の目。


体中へシンガミ語が刻まれている。



黒獣ネヴァ


低い咆哮。



『Vey……』


セラ。


「喋った!?」



黒獣ネヴァが近づく。


その瞬間。


黒い空間が裂ける。



白黒混合の光。


そこから現れる。



シンガミ


静かな降臨。



ネヴァが即座に跪く。



『Ark……』


シンガミ。


『不要』


その一言。


ネヴァが霧散する。


完全消滅。



セラ。


「……怖すぎる」


シンガミは感情なく周囲を見る。



『世界再構築率』


『32%』


黒い塔が増えていく。


空間が変化していく。



セラ。


「何してるの」


シンガミ。


『新世界構築』


静かな声。



『旧LOOP世界は終了した』


『もう戻れない』


セラが俯く。



フィリア。


ララガミ。


時頼の巫女。


三神。


クロガミ。



全部。


遠い。



「……本当に終わったんだ」


シンガミ。


『違う』


セラ。


「え?」


シンガミ。


『始まった』


世界が揺れる。



黒い空。


そこへ巨大な文字列。



∴ NEW WORLD SYSTEM

Λ SHINGAMI DOMAIN



その瞬間。


地面から無数の影。


人影。


だが。


顔がない。



黒人形


ゆっくりセラを見る。



セラ。


「……なにこれ」


シンガミ。


『新世界住民』


セラ。


「怖い怖い怖い」



すると。


黒人形達が一斉に口を開く。



『観測者補佐対象確認』


『セラ確認』


『管理継続対象』


セラ。


「やめてその喋り方!」



シンガミが静かにセラを見る。



『お前は必要』


セラ。


「何に」


静寂。



シンガミ。


『この世界の』


『最初の住人だからだ』


黒い風が吹く。



遠く。


巨大な黒い月。


今までなかったはずの月。



その表面へ。


巨大文字。



∴ NO RETURN



セラがその文字を見る。


震える。



もう。


本当に。


戻れない。



真っ黒な異世界。


シンガミの世界。



新しい物語が。


静かに始まっていた。

―シンガミの語り―


黒い世界。


音のない空間。


時間の流れすら曖昧になった新世界。



その中心で。


セラ は立ち止まっていた。



その前に現れる影。



シンガミ


白と黒が混ざった瞳。


揺れない視線。



シンガミは何も見ていないようで。


すべてを見ていた。



そして。


語り始める。



『Kal Vey Arka』


黒い世界が震える。



セラ。


「……何言ってるの」


シンガミは止まらない。



『観測は完了した』


『旧世界は破棄された』


『LOOPは終了した』



その声は冷たい。


感情がない。


機械のようで。


それ以上に“確定”だった。



セラは一歩後退る。



「終わったって……何が」


シンガミは静かに答える。



『全て』


一言。



黒い空に文字が浮かぶ。



∴ END OF LOOP

Λ SHINGAMI ORDER

0 EXISTENCE RESET



シンガミの声が続く。



『お前はまだ理解できない』


『だが問題はない』


セラ。


「問題ないって何が」



シンガミはセラを見る。


初めて。


“観察”ではなく。


“選別”の目で。



『お前は残る』


セラ。


「は?」



『観測対象第一個体』


『記録保持者』


『旧世界の証明』



セラは言葉を失う。



「私は……何?」


シンガミは少しだけ間を置く。



そして。


答える。



『証拠だ』


静寂。



黒い世界の奥。


何かが再び動き始める。



無数の“黒人形”。


無表情の存在たち。



黒人形


一斉に同じ方向を見る。



『観測者命令確認』


『世界維持続行』



シンガミが手を上げる。



その瞬間。


黒い世界が再構築されていく。


塔が伸びる。


空が整列する。


時間が“固定”される。



セラ。


「これが……世界?」


シンガミ。


『これは秩序だ』



静かに。


だが絶対的に。



『混沌は終了した』


『LOOPは不要』



セラは小さく笑う。



「それって」


「救いなの?」



シンガミは答えない。


代わりに。


黒い空へ一つの言葉を落とす。



『NO CHAOS』



その瞬間。


世界が完全に沈黙する。



シンガミは最後に一言だけ残す。



『ここから先は』


『シンガミの記録だ』



黒い世界。


新しい秩序。


そして。


一人だけ残された“記録者”。



物語はまだ続く。


だが。


もう前の世界には戻れない。

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