第48話 絶望
本日は一挙2話投稿です!
第一章ラストスパートとなります!
どうかお付き合いください!
(まだだ・・我は・・まだ・・ッ!!)
真っ暗な意識の中、かつて女王と呼ばれていた女性は暴れ苦しんでいた。
(まだ・・足りない。 あの方に振り向いてもらえる美貌が、まだ足りないッ!!)
もう顔も思い出せない初恋の男を暗闇の中で思い出す。
優しく手を握ってくれる感触。
囁くように耳元で聞こえる声。
しかし、思い出すその感覚はすべて自分に充てられたものでない事に女王は気付き雄叫びを上げる。
(何故・・何故なのです!! 我は! 私は! 貴方に振り向いてもらえるように更なる美貌を手に入れたというのに・・・何故・・・)
女王はその昔、一目ぼれした初恋の男性の為に自身の身体を捨て、男性が求める身体を手に入れた。
子供も授かり順風満帆な人生を手に入れたと思っていた。
しかし、そんなある日の事。
2人目の子供が生まれた年に男性は愛した女性が別人である事に気付いた。
いや、違和感を感じていた事がようやく明白となった。
だが、それが何なのかは女王は理解できなかった。
『君は誰だ! 白雪を何処にやった!!』
まって、そんな目で見ないで。
『一体いつから・・いや、違和感を感じたのは姫が命を落としたあの日から・・』
置いて行かないで。
私を見て・・。
『何故すぐに気づかなかったんだ。 彼女が僕との思い出を忘れる筈なんてない筈なのに』
貴方が好きなのは私でしょ?
だって、貴方の為に手に入れた身体なのよ?
『だれかッ?! 誰かいないかッ!! この女を捕えて白雪の居場所を探ってくれッ!!』
なんで・・なんでそんな怖い目で私を見るの?
貴方の為にすべてを捨てて、私はさらなる美貌を手に入れたのに・・
何故・・なぜ・・ナゼ・・な・・ぜ・・
「あぁ・・まだ、美貌が足りなかったのか」
◆ ◇ ◆ ◇
「アンナッ?! 離れろッ!!」
急に大声で叫ぶ正樹に由紀達は視線を正樹に集中させた。
正樹が見ていた場所は崩壊した地下へと繋がる地面だ。
そして、全員が正樹が見ている方向へ視線を向ける。
「なに・・あれ?」
「まさか・・」
「・・・女王ッ!!」
地下から昇ってくる謎の物体を前にして、カガミは再び拳を握り絞め、女王と叫んだ物体を睨みつける。
『ァア~・・カラダ・・我の・・ビボウ・・永遠の・・アぁ~』
人間の原形はすでになく、不規則に蠢く何かからは老婆の声だけがあらゆる所から呻き声のように聞こえてくる。
「さっき消滅したんじゃなかったっけ?!」
「そのはずです! アンナ様の賢者の石は神の能力でさえ無効にする力があるはずなのです! あれで死なないはずがッ!!」
状況が理解できていないのはカガミも同様で正樹に対する返答に余裕がない。
「兎に角アレをアンナ様に近づけてはなりません! マリーさんの身体も加護と一緒に消滅するまで時間を稼がなくてはッ!!」
「稼ぐったって、一体どうやって・・・って由紀ちゃん?!」
1番最初に動いたのは由紀だった。
影から黒いオーラを出した由紀は一気に上空へと飛び移り上から黒いオーラで攻撃を仕掛ける。
しかし、由紀の攻撃はすべて当たることなく通過していき地下の地面を貫いた。
「由紀ちゃんの攻撃が効かない?!」
「恐らくあれは魂そのものです! どういう原理かは分かりませんが魂が具現化してあの用に暴走しているのでしょう」
「じゃあどうする? 魂っていうなら物理攻撃とか効かないんじゃない?!」
「~~~~ッ!!」
徐々に昇ってくる女王だった物体を前に、カガミは横目でアンナの方を見る。
ケースは3分の2が消滅し終えているが、中で眠っているマリーの方はまだ足元も消滅していない。
恐らくあの物体の狙いはマリーの身体だ。
このままではいつ身体を乗っ取られてもおかしくない状態だ。
そこでカガミは禁忌目録の不死身の魔術書を開いた。
「今からあれの魂を再び女神像と同調させて不死身にします!」
「え?! あれを不死身化させるの?!」
「禁忌目録で不死身化させればもう1度アンナ様の賢者の石で消滅させられるはずです! 物理攻撃も効かないあの状態では手の打ちようがありません!」
カガミは地面に片手をつくと足元から黒い魔術式が現れ赤く光っていく。
そして魔術書に書かれてある文字を読もうとしたその時だった。
不規則に蠢く物体の一部がカガミが持つ禁忌目録を覆いこんだ。
「~ッ!! これはッ!!」
「禁忌目録が・・・」
蠢く物体に覆いこまれた禁忌目録はまるで賢者の石で消えた老婆の時と同じように灰となった消滅した。
『カラダ・・・永遠の、美貌・・ッ!!』
消滅した事により発動しかけた不老不死の魔術式は消えてしまうと、それを見越したかのように蠢く物体は液体のように地下から流れ出てきた。
「正樹さんッ! 逃げてッ!!」
「カガミッ!!」
「~~~ッ!?」
上空に浮かぶ由紀の叫びに正樹はケースの傍にいるアンナを肩に抱きかかえ逃げる。
一方、カガミは蠢く物体が近づくギリギリまでその場に立っていたが、どうする事もできない事に悔やみながら素早く離れた。
蠢く物体はそのまま消滅したケースの間から中へと入り込み、マリーの身体を覆いこむ。
そして、しばらく覆いこんだ状態が数秒続くとまるで吸収されるように姿を消した。
「クソッ・・一体、どうして・・。 こんな結末は占いには・・ッ!!」
血が滲み出るほどの力を拳で握り絞めカガミは怒り震えていた。
千年間もの間、老婆に乗っ取られないように見守ってきたはずのなのに。
まさか・・こんな事になるなんて・・ッ!
すでに半分ほど消滅したケースの中から人影が起き上がってきた。
それは、さっきまでケースの中で眠っていた美しい美貌を持つ1人の女性。
「・・マリーさんッ!!」
千年前、カガミと共に暮らしていたマリーの姿だった。
しかし違う。
あれは、マリーではないとカガミは断言する。
起き上がったマリーは笑顔だった。
だがその笑顔には光のような神々しさも優しい顔つきなのではない。
目の前に起き上がったマリーの姿をしたそれは、まるで悪魔のような不気味な笑みを浮かべていた。
『あぁ・・ようやく手に入れた。 我の・・永遠の美貌が!!』
最後まで読んで頂きありがとうございます!
第一章は残り2~3話で終了予定ですのでどうか最後まで読んで頂けると幸いです。
それではまた次回ッ!




