イージーモードだった人生が突然ハードモード突入したんだが
焦げ茶の耳にかかる程度の髪
程良く白い肌に切れ長の目
通った鼻に白い歯を見せ笑うとえくぼの出来る頬_
どれを取っても俺は完璧なイケメンだ。
17年間女子に困った事は無く、バレンタインにはいつも両手に抱えきれない程のチョコを貰い、夏には男友達から女子を誘う口実としてプールに誘われ、クリスマスは家族と過ごした事などない。
俺が笑うとその目線の先を女だけじゃなく男も追いかける。
スカウトだって1日2回はお決まりの様なものだ。
__ピンポーン
自室で高校の制服に腕を通し終えた時、丁度インターホンが鳴った。
今日もまた朝から告白か登校の誘いか?
なんて思いながら階段を下り、玄関のドアを開く。
「…はい、どちら様ですか」
そう言いつつ視界を玄関から5m程離れている門に移す。
しかし、そこには何も居なかった。
確かにインターホンは鳴った筈なのに変だなと思いつつ俺は首を捻る。
ふとポストに目をやるとそこには1通の手紙が入っていた。
(なるほど、奥手な女子が恥ずかしくてラブレターを入れた後にピンポンダッシュをしたって訳か)
と納得した俺はポストに手をかけ、手紙を取る。
「城宮 浩志 へ」
ひとまず玄関に戻って宛名を確認したが、シンプルな手紙には間違いなく俺の名前が書かれている
よく妹に借りる少女漫画に出てくるチャラいイケメン達は手紙を貰うだけ貰って読まずに捨てたりしているが俺は一通一通に目を通し、住所が書いていればきちんと断りの手紙を送る
だがパッと見この手紙には名前も住所も書いていないな…なんて思いつつ手紙を開く。
「この手紙を見て、次にドアを開けた時
貴方にはきっと三つの超能力が降りかかる」
そこにはまるで電波ちゃんのような短文な内容が書かれていた
(昔流行ったチェーンメールみたいだな)
なんて思いつつ俺は手紙折り、制服のズボンのポケットに突っ込んだ。
「………まさかな」
B級映画の主人公の様な台詞を吐きながら俺は玄関のドアを引く。
眩い光が俺の目を差し、辺りには一瞬の完全な静寂が訪れる_
訳がない。
さっきと何一つ変わらない景色、現実とはそんなものだ。
…いや、一つだけさっきと違う事がある
門の先には俺と同い年位の女子がいた。
「読んだ様ですね」
無とも怒とも取れる表情を浮かべた彼女は俺に話しかける。
てっきり小学生がこの手紙を書いたと思っていた俺は少し驚き、口を開きかけた
『伏せろ』
彼女の怒号が響いた為、俺は驚き咄嗟に身を屈めた
『やはり聞こえているようですね。
こっちを見てみて下さい、これが貴方に身に付いた能力の一つです』
また話しかけてきた彼女の顔を見ると一切、口が動いていない。
「えっ」
驚いて間抜けな声が出る
これはまるで_
「"テレパシー"じゃないか」
彼女が口を開き俺が思っていた事をそのまま言い放った為、俺は空いた口が塞がらなかった。
「あの手紙に書いている事は小学生のイタズラではなく本当です。
そして貴方は今この瞬間から危険と隣り合わせになっています。
とにかく私と一緒に来てくれませんか?」
動揺し続ける俺に彼女は言葉を続ける
脳の処理は追い付いていなかったが俺は彼女の隠し切れない殺気に恐怖を覚え、首を縦に振った。
__ガチャッ
そんな時、背後の玄関が開き俺は振り向こうとした
『動くな』
また彼女の怒号が響く
驚き硬直した俺の真横を包丁が通り過ぎる
小刻みに震えながら振り返ると、そこには妹の形をした"何か"が立っていた___




