魔法を覚えるその前に
2匹目の“名前持ち”決定ー。
私は垂れ“犬耳”の女の子。名前はミリー。チャームポイントは小さめな巻き尾。ちょっと落ち着きが無いのが玉に瑕だって良く言われてたりする。そうなのかな?今日も村の子どもの世話役さんの所に遊びに来ている所だったりします。ここは“クエスト”やれば泊まっていけたりもするから楽しいな。
さっきからここに引き取られたって言うちょっと変わった毛色の“犬耳”のあの子が部屋の隅で魔法を使う為の解説の絵本を睨めっこしてうんうん唸ってるから気になるんだけど。
あれは超初心者向けの絵本なのに何を悩む必要があるんだろ。
・・・あ。なんか『ポン。プシュー』とかいう音がして頭から白煙が上がった。面白い事出来るね?
「そもそも子どもの内は魔法を教えては貰えないんだよ?」て教えてあげたら不思議がってた。
共通語の呪文書?あれは魔法を覚えれる訳じゃないから使用許可が出たみたいだったけど、
魔法の呪文書の場合はそうは行かないんだから。
「・・・だって小さい内から火とか水とかの魔法気軽に教えて貰ったら絶対使いたくなるじゃん。」
そう言ったらその子「それもそっかー。」て感心した様に言ってた。そんなんで大丈夫かな。
「そうだ。魔力の操作の方法は知ってる?」て聞いたらそれも知らないみたい。
・・・え。その気配は食い気とかの類いだよ?お腹減ってんの?やだよ。私は食べ物じゃないよ。
「いい?よくこの私の手を見つめてから目を閉じて気配を探ってみて?」と私の手を彼女の前にかざす。
「そしたらその気配の中に流れる様に動く物が観えてくる筈。」目を閉じて気配を探る彼女の耳がピコピコ動いてる。可愛いw。「余り気配で探らなくていいよ?無理すると頭痛くなってくる筈だし。」
「・・・なんか手に集中して集まってくるモノが浮かんで観えてきたよ?」そうそう。それが魔力だよ。
・・・あれ?既に魔力を操る技の初歩を身に付けてるんじゃないの?それ。
「その手に集中させてるそれがあなたの魔力その物だよ。凄いね。後はコツさえ分かれば自由に魔力を操作出来る様になる筈だよ。」って言ってあげたら目をぱちくりしながら手に集まった魔力を直接目で観ようとしてた。“魔眼”とかいう物でも無いと直接は魔力は見えないと思うんだけどな。
「教えてくれてありがとー。」て骨っこくれたからお返しに私も骨っこ交換!いいよね。骨っこ。
「後で大事に食べるよー!」て言ったら向こうも「うん、私も後で食べるねー。」てニコニコしてた。
私より尻尾が太くて立派で何か飛び付きたくなってくる。余りパタパタと動いたりはしないみたいだけど。
なんかこの子“犬耳”っぽくないんだよね。かと言って“猫耳”でもない。どこか不思議な感じさえする。
うずうずして我慢できなくなって来たから二人してぐるぐると尻尾の触りっこしちゃったw
名前付けって結構難しいね。主人公?まだ後で。ね。