Ver1.252 (強敵襲来! 忍び寄る首領(ボス)の影!?)
リアル2回目
時間を確認すると何だかんだで午後8時過ぎ・・・しまった・・・
「ディナータイムの放送聞き逃したな・・・」
「そういえば・・・色々ありましたからね」
苦笑する華乃・・・しかしチカを見る目は優しく穏やかだった。
「たははは・・・」
居所が悪そうに笑って誤魔化すチカ。
「それなら問題ないわよ」
腕を組んで薄い胸をそらす温海は得意そうに言い放った。
「どういうことだ?」
「放送の録音と記録を頼んでおいたからよ」
何とも用意が良いもんだ・・・ここに来る前に手元でコソコソしてたのはブラインドでメールでも打ってたのだろう・・・まあ、それで助かってるんだから何も言うまい。
「お嬢様、会長がお待ちです」
温海に促されてホテルに戻る。 ソコに見たとこ30代半ばで体格の良いスーツ姿の男姿を見せた。 そしてオレ達の方に歩み寄ってくると待っていたように頭を下げ出迎える・・・って・・・
「こんばんは~黒崎さん、ご無沙汰してます」
軽く手を上げて挨拶とする。
「!?・・・これは・・・お久しぶりです。 そうですか、あなたでしたか・・・失礼。 会長のところまでご案内します。 こちらへどうぞ」
一瞬驚いたようだが職務を思い出したようで、黒崎さんは案内に戻る。 こころなし表情の硬さが抜けているように見える。
3人がどういうこと?と言う風にこちらを凝視してるので
「あ~言うのを忘れてたんだがな・・・くにさん・・・日野 邦久会長とは昔からのゲーム仲間でな・・・最近は会ってないが・・・この黒崎さんも昔オレと同じ師の下で指導を受けた仲なんだ」
「私を会長に引き合わせてくれた方でもあります」
懐かしそうに黒崎さんは目を細める。
「あん時は信用でき腕の立つヤツを紹介してくれって言われたから、それに答えたら黒崎さんだった・・・それだけだよ」
「ははは、それは光栄ですね・・・しかしもう15年ですか・・・」
「会長とは度々ネットで話してるんだけどね~そっちとはそんなになるか・・・」
昔話に花を咲かせながらエレベーターに乗り込む。
「へえ~ねえ、黒崎さんなら『まっちゃん』の本名知ってるんじゃないの?」
「ええ、存じておりますが・・・わかりました」
オレが指を立てて口に添えるのを見て黒埼さんは面白そうに苦笑する。
「え~~~」
「これはゲームみたいなもんだろ?」
そんな大層な名前でも無いが楽しめるうちはゲームとして楽しむのも一興。
「もう・・・この調子だとおじいちゃんも絶対教えてくれそうに無いわね・・・こういうの楽しむ方だから・・・」
「そりゃ~な・・・」
「その名前を当てるという遊びを最初に始めたのは会長だそうですから」
苦笑したままの黒崎さんの暴露に
「ありそうね」
「ありそう・・・」
「ありそうですね」
3人娘の意見は見事に一致した。
エレベータがVIPルームのある・・・と言うか1フロア丸々貸切の展望レストランより上の最上階に到着した。
バカと煙と金持ちや偉い人は何で高い所が好きなのだろう?(高さだけでなく金銭的に)
そんなバカなことをテンプレ的に考えて案内に従いある部屋の前に来る。
壁横にある端末にカードを通し指紋チェック
扉が開いて中に入ると豪華なたたずまいの大きな部屋・・・絨毯とかフカフカだ。
そんな中に二人の人物がいた。
一人はスーツを着た女性でスラリとした・・・というか鋭利な刃物・・・日本刀のようなというか美人なのに触れると斬られるという雰囲気? ・・・美人だが・・・どこかで・・・横を見て納得いったチカに似ている。 姉か身内なのだろう。
もう一人は・・・言わずもながら三光グループの会長等多種多様な肩書きを持つ首領日野 邦久厳格な雰囲気を持った・・・これで70代の老人に思えないほどの威圧感を放っている。 顔に刻まれた皺の数が彼の激動の人生を物語るよう。 だが歳の割りにソファに座った体躯は飾られた武者鎧のように体勢をしっかり保たれている。 人によってはこの人にあったときかなり気圧されるだろう。 しかし・・・オレにとっては歳の離れた友人くにさんである。
ため息をはきつつ『よっ』と手を軽く敬礼風に弾ませる。
「くにさんおひさ~」
「まっちゃんしばらく~♪」
『ズルッ!!』
周りから一斉に脱力する音が聞こえた気がした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何故か絨毯の部屋から畳の間に通されくにさんとオレは対面に向かってあぐらをかいている。 その横にはくにさんの横に温海、チカ、華乃と並んで正座。 襖戸の両端には黒崎さんと、改めて紹介された護衛の月森 百香が控えている。 百香さんはやはりチカの姉だったのだが・・・雰囲気がここまで違うというのも珍しい。
「いやいや・・・こうして声意外で会うのは何年ぶりかの~♪」
「さっき黒崎さんとも話してたんだが15年ほどか・・・くにさんは相変わらず元気そうで何よりだ」
オレの言葉に『ほっほっ・・・』と笑うくにさんはいつものボイスチャットと変わらない。
「ところでまっちゃん・・・先日チャットで見たときよりエラク痩せとりゃせんか? 夏バテにしちゃあ・・・元気そうだしのう?」
「ちょ・・・おじいちゃん!?」
温海が小声で諌めるてる?
そういやあ筋肉痛であまり気にせんかったが桐生さんが4キロほど減ったとか言ってたな。 昨日からバイキングで無料だからと3食共にバカ食いして。 食うときはやたら水分を取るからピッチャーを一個飲み干してるから・・・単純に計算して2キロほど減ってる。 明日から首の信号遮断を少し強めると言ってたが・・・あまり効果は無いだろう。
冗談でモルモットと言ってたがそこら辺の心配をしてはくれるようだ。 オレはウェイト調整し出すと最初は一気に落ちるタイプのようで一週間で7kg減って1日おきの断食とプロテイン飲料の継続で1ヶ月続けた時は結局14kgまでしか減らなかった。 3日目ぐらいからペースも落ちるだろう。
「折角、気にしてるみたいだから体重関係の事を話題にしなかったのに!」
「そうですよ・・・空気を読んで下さい」
「え?え!? そうなの?」
「そうか? よく自分でネタにするから気にしとらんと思うっとった」
「いや、実際気にしてねえから・・・減量は慣れてるしやろうと思えば3ヶ月もありゃ20~30は落とせる。 気にしてりゃ~ここでバカみたいにタダメシ食ってねえよ?」
オレのセリフに
「ほらの、気にしとらん」
「え~でも、偶に自分のおなか見て真剣に見てたから・・・」
「ええ・・・思いつめたような目をしてました」
何気に二人ともよく見てらっしゃる・・・多分そろそろダイエットしようかとか思ってた時か?
「二人とも良く見てたもんだ・・・まあ減量するときは目標決めてその間は誘惑に負けねえ様に意志を硬くするもんだからそれでだろ?」
「それで何キロ痩せたの?」
「4kgちょい」
「「!?」」
「ほえ~何したら1日でそんなに減らせるの?」
「それがだな・・・」
説明シーンは割愛。
ただ平均体重に戻すのに3週間ほどだといったら女の子連中に『師匠!』と真剣な顔で改めて言われた時はその迫力がオレでも怖かった・・・あまりこの手の話はしないほうが良かろう。 成長期の大事な身体にボクサー風の減量方はあまり宜しくないだろうしな。 4人のブーイングは聞こえないフリをしよう。
「・・・何故、おねえちゃんまで・・・師匠?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「しかし、孫娘が男を連れてくると聞いてどこの馬の骨かと思うとったらどっかで見たおっさんが現れたから肝を抜いたわ」
そう笑いながら膝をたたく。
「正にド肝を抜いた意外さだったようだな・・・」
皮肉げに挑発するようにニヤリと笑う。
「ああ、一本とられたわ! しかも孫娘まで取られるとは思わなんだぞ」
かかと笑い飛ばすくにさんにちょっと待ったと声をかける。
「待て! くにさん・・・あんた温海にナンテ聞いてるんだ?」
「んお? 将来を誓った男を紹介するから、後押しをよろしく頼むと聞いとるが・・・その様子じゃと違うようじゃの・・・」
二人で当の温海を見ると『ぴゅるひゅ~・・・』とワザとらしく下手な口笛を吹いて誤魔化そうとしている・・・それはお前の癖なのか? しかし横で一緒に静かに笑ってる華乃の圧力に向けられた温海以外に真横のチカさえ怯えてる。 流石にくにさんは笑って動じてなかったが華乃の視線に込められた「余計なことをすれば・・・」という無言の忠告に額に汗を流してる・・・この人にそんな反応させる華乃はここでのヒエラルキーでは一番上のようだ・・・恐ろしい子!
とりあえずかいつまんでくにさんに今までの経緯を話してやる。
話の途中に百香さんが目を見張っていたが・・・そりゃ~妹が一回り強も離れた男に懸想してるともなりゃあ驚くだろうさ。
そんな感じで話を終える。
懐から扇子を出すと、くにさんはニヤリと笑い。
「ほんに・・・まっちゃんお主らしいの~・・・しかし!」
畳に扇子の先をトンと突いて
「なんで手を出さんのだ・・・勿体無い・・・」
『ガタ!』っと百香さんが脱力して態勢を崩している。 20代前半のようだが・・・まだまだこのじいさんを理解かってない・・・これから苦労するだろうな・・・と憐憫の目で見てしまう。
「大体、3人も別嬪さんを侍らせて手をつけんとはお主それでも男か?」
「出会って2日、付き合っても無い女・・・しかも年齢的に自分の子どもぐらいの歳の娘においおいと手を出せるか・・・子供はいないけど・・・」
「わし等孫くらいの嫁さんもらっとるわ」
「そういえばそう聞いたな・・・くにさんも元気だな・・・おめでとうさん」
「ありがとよ。 それこそわしゃ~生涯現役じゃ! 昨日もしっかりお勤めを・・・」
「そこお! 孫娘の前でなんちゅう話をしようとしとるか!?」
「おお、スマンスマン・・・お前さんがいるといつものチャットの調子が出てのう」
てへっって感じで舌を出すじいさん・・・それぐらいにしておかないと百香さんや孫達の目が転がり落ちるぞ・・・主に目を見開きすぎて・・・
「ホントにその調子はいつものあんただよ・・・何にしても今すぐに3人に恋人気取りで接する気は全く全然これっぽっちもねえ! 口から先にはいた言葉のとおり対等の女として接するがソコから先に行くかはオレにもわからんからな・・・ただ手当たり次第に食って弄ぶなんて外道なことはせんから期待すんなよ?」
「ちっ!」
「今、舌打ちしたな!? どうせアンタのことだからまた、ある事無いことひっくるめて強引にくっ付ける気満々だったろう!」
「ぴゅ~ぴゅるう~♪」
誤魔化し方まで似た一族だな・・・ほんとに・・・
冗談はさておき・・・人間やったことには責任を負うもんだ人一人をどうにかしてその先を想像するでも千差万別。 因果ともいうか・・・傷をつければ恨まれて、施したなら慕われる。 人を殺めリャ身内が恨み 人を助けリャ身内が喜ぶ。 風が吹いたら桶屋が儲かる・・・みてえなもんだ。
人一人でも一回関わっただけじゃすまねえのに一生3人の面倒なんてみれる訳ねえ。
リアルに1人養うのにどんなけか・・・稼ぎに伴う生活費に人間生活だけでなく娯楽もいるもんだ。 ソコに子供ができりゃあ養育費に学費等金銭だけでこれだ。
そこに夫婦の感情入れても、仕事だけしてほったらかしじゃ甲斐性もねえ。
仕事が終れば男女のアレコレな話が無くとも、夫婦の時間というのを取らなきゃ何ねえ。
自分がその時間にハマッテルならともかく恋愛感情込みでそういう時間は義務であり権利だと思う。 ここにまた子供がいたら父としての時間も必要。
偶に夫婦の関係が不仲だとぼやく奴がいるが・・・果たしてそいつは仕事で稼ぐ以外に家の中での必要な時間をつくっているのか?いたのか? と問うて考えてもらいたい。
女の側でも同じだが・・・夫、妻の時間、父、母の時間、男、女の時間、ちょっと考えただけでこんなけ出るのにオレは夫として義務を果たしている。 私は妻としてちゃんとできてる。 100%ホントにできてますか? できてない%の分相手は不満を持ってたり、逆に一つが突出しすぎても辟易されてるかもしれない・・・。 無論そこに感情や惚れた晴れたの要素によって補えるもんではあるけどな・・・熟練夫婦はそういったものを凌いできて・・・その内老けて相手を見ながら茶を飲み、ふと・・・「ああ、この人だったんだな」と思えるのが理想だと思う。 一般がそうかどうかは知らん・・・主義主張は色々あるが、今の題材がオレのこの先な訳だからでもあるからだ。 まあこれで人数増えて「皆平等に愛してるからOK、足りない分は愛で補う」といえるハーレム主義はできないしできそうにもない。 大体その愛ってどんなもの? 肉欲で補うにしてもオレには体力持ちません!
リアルな消去法は大人の汚い逃げ道のようだが、道理でもあるしオレがそれを求めてるのだからそれが今のオレだ。 オレだって人間、これから先に何があるかは分からんから考え方が変わるかも知れないがな? 初志貫徹できると大言壮語はけるほど完璧でも無いしな
それが気に入らないならやはり縁は無い・・・
そんな心境を吐露するに・・・
「男女関係になるとお主はかたくなになるのう・・・硬くするのはま「はい下ネタはストップ!」」
「性分なんだ・・・察してくれ。 オレも男だし欲もあるからないいよられて悪い気はしねえよ。 でもな恋人から切り離していくって言うのはいただけねえ。 だからお友達から・・・ってことさ」
「まあ、お主らしいといえばお主らしい・・・小さくても一軒屋・・・」
開いた扇子で口元を隠して目で笑う・・・まずい・・・くにさんの人を弄るときの癖がでやがった。
「おい?」
「できれば庭付き、犬を飼って、隣に愛する妻、子供は二人だったかの?」
「絵に描いた様な家族像だけど・・・おじいちゃんそれがどうしたの?」
「まっちゃんが若い頃に言ってた将来の夢じゃ」
「「「「「・・・・・・・」」」」」
「な、なんだよ・・・なんでそんな目で見る?」
凄く周りの視線があったかいというか生あったかい・・・
「悪いか・・・?」
娘さん達が少し黙ってなんか考えてる・・・流石に女々しい夢と思ってるんだろう。
「・・・いいとおもうな」
「・・・いいですねえ」
「・・・いいなあ・・・」
「・・・理想ですね・・・」
なんだろう・・・今度は夢見心地な目を向けられてる。 後ろの百香さんはなんか乙女な表情で黒崎さんを見てる・・・残念なのは黒崎さん・・・気付いてあげて~職務に忠実なのもなんですよ? 同僚の秋波に気付いてないっぽい。
「ふむ、まっ好きにせい! わしは今回なんもせんと誓おう・・・じゃが孫は一押しじゃ・・・と義理で言っとこうかの」
「おじいちゃん! もっと言って」
「「はは・・・」」
そんなこんなでちょっとした笑劇場は幕を閉じた。
「それで頼んでたものは?」
「おお、これじゃ」
温海の問いに、くにさんがDVDのケースらしきものを取り出すと音も無く黒崎さんが傍により、恭しくうけとった。
渡された物を持って片膝で後ろに半歩下がる。 スッと立ち上がると同時、百香さんが流れるような動作で襖を開けた。 それを何も言わず目礼だけして和室を出て行く。
何とも阿吽の呼吸というか・・・二人の動きに無駄が無い。
「ではモニターのあるシアタールームに行こうかの」
それを見送った後を追うように立ち上がったくにさんが言う。
シアターって・・・VIPルームにはそんなもんまであるのか・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そこは緩い坂になった部屋だった。
入ると右手の壁一面いっぱいのモニターは5m四方の大きさ。
左手には登りで緩い坂になりモニターが視界に無理なく入るような位置から席が並んでいる。 ゆったりとした間隔が空き1列6席×5の30人が視聴しやすくゆったりと中心に向かって弧を描く配置になっていた。
口には出さんがあるとこにはあるもんだ・・・と思うのは仕方ないことだろう。
「好きに座るが良い」
そう言ってくにさんは真ん中に座ると思ったが・・・何故か前列の奥、端に座る。
なんかそのニマニマした不思議な国にいそうな猫みたいな笑みが気になるが今から流す映像がそんな楽しいものかオレ達を驚かすモノなのか・・・と、割り切って続くように隣に座ろうとすると・・・クイッと腕を引かれて立ち止まると引いた温海が座ろうとしてた席に納まってしまう。
「政さんは真ん中ね♪」
そう言ったところで、後ろから『ジャンケン~!・・・』とか残った二人りの声が聞こえるがあえて口を出すことでもないか・・・すでにくにさんのお楽しみは始まっていたらしい。
結局勝ったのは華乃らしく、涼しげな顔でオレの隣に陣取っている。 その影で「むう・・・」と唸りながら悔しそうに己の拳・・・否、敗因の『グー』を睨んでいるようだ。
「それでは流してくれ」
モニター横の黒崎さんが一礼して操作をすると、証明が薄暗く落ちていきモニターに光が灯る。
特に編集されたものでなくレストランに配置されたモニターからビデオ録画したようなものだった。
しげさんがまず出てきて参加者全員に初日テスト参加終了の労いと成功に対しての感謝の意が軽く語られる。
その後の流れは明日のテストが午前中10時から始まり午後の20時までで10時間。 無論連続稼動はするが各自の休憩はテスト中は自由。 最高5時間で強制ログアウトが行なわれるが30分の待機時間の後ログイン可能。 その間
「戦闘中等に強制ログアウトが起こるとキャラはソコに10カウントは残されます。 その為その間、死亡や最悪そこからデスペナルティと、さらに10LV以上の方は装備やアイテムがランダムドロップされます。 テスト協力で強制ログアウトを体験されるとこちらとしては貴重なデータになります。 ですが一人のゲーマーとしてはテスターのその協力にはプレイヤーのマイナスにしかなりませんし補償も無いと先に申して起きます」
と、のセリフに苦笑が巻き起こったと黒崎さんの説明もあった。
更に説明は続き明日のバージョンアップが宣言される。 変更点は詳しくは部屋付けの端末から連絡掲示板を参照してくれとのことだ。 大まかな説明はLVキャップ(LV上限)の30までの開放。 インスタンスダンジョンとインスタンスフィールド開放とそれに伴う局地クエストの実装。 明日からの第二陣ベータテスター100人の来訪と3日目からの参加を発表。 つまり明後日から200人になるということか・・・
あと、追加としてゲーム内に掲示板が街等の各区画に設置されるらしい。
PT募集やギルドの募集等の呼び込み等が口だけと言うのは面倒でプレイの妨げになると要望があったためネット等の掲示板ではなく本当に紙を張る掲示板が有料でゲーム内時間1日で100cで1枚張り出せるとのこと。
1時間だと10cとか一週間だと500cとか割引感が出たお値段だな。 機会があれば覗いてみよう。
最後に賞金がかかってる事は周知の事実なのだがここでサプライズとしてその日1日のプレイでのポイント制上位5名にマネーカード1万円分が贈られると宣言。 その時ビュッフェ内は大いに盛り上がったとのこと。
その5名は毎日ポイントが0クリアされる中から選ばれるため上位が独占されることはなく、LVが低くても行動によってポイントが加算されるし減点もありえる。 善行だけが高ポイント等では無く、如何にクエストをこなしたか、PCやNPCとの駆け引き等も対象とされる。
そして上位3名はプレイダイジェストプロモーションが作成され毎日有線番組で流されるとのことだった。
それからは上位5名がキャラネームで発表される。
低い順から発表され4位に知ってる『ガルム』が出てたので驚いたが二位でちょっと驚く・・・最後の1位発表で・・・
くにさんの笑みが深くなった!? 何か来る!?
「輝ける第一回1位獲得者は・・・キャラクターネーム『政十郎』さんです!」
『ぷぴっ!?』
おっと・・・思わず驚きに鼻水が出るとこだった・・・ティッシュ、ティッシュ・・・『チーン!』
鼻をかみ改めて回りを見ると3人が詰め寄ってきて
「やっぱり私が見込んだとおりやってくれたわね♪」
「政様・・・流石です」
「師匠はやっぱり凄い!」
「いや、ゲームでの話だろうに・・・」
悪い気はしないが大げさすぎる・・・賞金は嬉しいがな。 くにさんの笑いの元はここら辺だったか・・・
「1位獲得おめでとうさん。 丁度ここでプロモが見れるから見ていくかい?」
普段見せない好々爺な笑みでくにさんがすすめてくる。
「あたりまえ!」
「見たいです!」
「見る~!」
まあ、見る気満々だわな・・・オレも気になる・・・が、しげさん・・・事前に連絡くらい・・・ビュッフェで声をかけてきたのはそのためだったかも? 携帯を見るとメールがあり、中身は事後承諾になるがプロモーションに関することだった。 他の2名はモデル料を支払い納得済み、オレは強制的に宣伝部からの要請で既に決まったとあった。 ・・・モデル料が無いのは・・・まあ、仕方ないか・・・
モニターの画面が変わり提供等の『三光グループ』や丸や直線で会社のロゴがアニメーションで表示される。
ブラックアウトしたところで一気に明るくなり始まりの街の広場が映る。
周りは今しがたログインしたばかりの周りをキョロキョロするPC達。 その中で巨漢の男が皮鎧姿で現れる。 その直後数人が指を指し何かを叫びながら走り出した。 男もそれを追うように走り出すと、回りもつられる様に走り出し大通りを駆け抜ける。
男が横等を見たりするたびに他のキャラが何かにぶつかったりつまずいたりして男の前から後ろに過ぎ去って行った・・・いま・・・屋台を踏み台にしたのってエイシャだったような・・・
そのまま男が障害に当たることなく門を抜けた辺りで、視界が広がり広大なフィールドが眼前に広がる。 それを見た男が感動したように立ち止まりまわりを見渡し・・・瞳を閉じる。 何を考えるのか・・・何を思うのか・・・数秒の後、目を見開いた男が走り出し背中に何か背負うような仕草。 その瞬間手に大きな両手剣が出現し野犬に斬りかかるところでフェードアウト。
場面が変わって森の中。
木々がまだらに生えた場所を進む男が、何かに気付いた様子で歩みを止め抜剣・・・このときは鉄製の鎧に変わり、両手剣もプレイヤーメイドの物に変えていた。
その後前からゴブリンの群れが現れ襲い掛かってくる3匹を剣の横一閃で叩ききる。 それを見たリーダーらしき体格の良いゴブリンが雄叫びを上げると男の周りに多数のゴブリンがPOP(出現)する。
男はそれを見て不敵に獰猛な笑みを浮かべゴブリン達を蹴散らしていく。
乱戦の末ゴブリンを全滅させて男は森の中息を弾ませ両手剣を杖にして身体を支えている・・・周りを見下ろし・・・静かに拳を突き上げ勝利を確信する男に木漏れ日が祝福するように彼を包み込んで終る。
次に現れたのは細面の優男・・・『白いヤツ』さんだった・・・
野犬を討伐中に拾ったテイムアイテムで、ハスキーによく似た野犬をテイム成功したところから映像は始まっていた。
そこで波浪と名付けた犬とじゃれあう姿は本当に犬好きなのだろう。 素の彼の姿が出ていて少し和んだ。
その後森を進む彼はあの時見たタワーシールドと鉄製のフルプレートに身を包み背中に二本の長剣を携帯し一本は抜剣した状態で進む。 あえて何も言うまい・・・
その内横に控えた波浪が茂みに向かい吠え立てると、彼も戦闘体勢に入り身構えた。
茂みからでてきたゴブリンの群れに向かい『挑発』して自分に注意を向けたところで波浪の噛み付きが炸裂! ペットのLVも結構上がっているのだろう一気にHPゲージが減少し首筋に噛み付いた波浪は身体を回転させ噛み千切ったところで1匹のゴブリンが倒れた。
それを見た奥の体格の良いゴブリンが雄叫びを上げる前に彼がジャンプ! 前のゴブリンを踏み台にして更に高所からの落下ダメージ攻撃に雄叫びは中断される。
後は堅実な戦いだった。 盾で『シールドバッシュ』して取り巻きを転倒させれば波浪が止めを刺し。 確実に盾で攻撃を防いで相手の隙を突いた攻撃か態勢を崩して波浪との連携で数を減らしている。
そして群れを一掃しリーダーのゴブリンを倒したところで画面変更・・・あのリーダー・・・ガグの兄弟なんじゃ?
更に剣が『ゴブリンリーダーの剣』に変わった彼は森を進むと木漏れ日の照らす幻想的な泉を見つける。
コンコンと水の湧く泉にはそこに不釣合いな大きな獣の足跡があった。
それを調べている彼に伝えるように唸り出す波浪。
その睨む先の方角から木々の折れる音が響き出すと1匹の巨大な狼が現れた。
それを見て『神聖方術』の祈りを初めて見せる彼の体にエンチャント系の光が集まる。
その戦闘は実際は長引いたのかも知れないが映像では沈み行く夕日が映り時間の経過を表わす演出の後戦闘にもどる。
波浪との連携で長期戦ながらも巨狼のHPゲージが半分になった時、巨狼は踵を返し逃げ出した。 ある程度ダメージを与えれば逃げることができれば逃げたというわけか・・・逃げ道塞いで自分で難易度上げてたってか?
そこで上空から巨狼に稲妻のような光が落ちくずおれていく・・・
見上げた彼の視線の先にはフィーに似た女が一人樹上に立っていた。 女のアップになり閉じた瞳をゆっくり開き赤い目向ける先には巨狼の中から出てきたヒビだらけの黒い玉。
その玉が不可視の力で女の手に入る前にヒビが広がり砕ける。 その欠片は飛び散りその一部を手にした女は舌打ちをして日の落ちた森の闇に消えて行く。
その残された欠片を一つ拾い女が消えた闇に目を向ける彼の姿でフェードアウト。
街に戻った彼は門の前で出会った老冒険者と談笑・・・そして街の闇に片手を挙げ消えていく背中、見送る老冒険者ことオレの視点で終った。




