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「ベランダ」
窓の扉を開き、サンダルを履いて、ベランダに出る。
初夏の真夜中のベランダは少し肌寒い。
この場所は昼下がりには灼熱の場と化すのに。
風呂上がりのタオルを首に巻いて、少し冷たい風を浴びる。
眼前の先には黒色の「モノ」と化した建造物が立ち並んでいる
昼間に響いていた車と電車の騒音はもう聞こえない。
そこには、ただ
「静寂の間」
があるだけだった。
ベランダの電気をつける
暗闇の空間に一本の蝋燭が灯るように
明るい場所が生まれる。
ベランダに椅子を立て、古びたカバンから本を取り出す。
「愚者の書記」
その本の名前はそう書かれていた。
作者の激しい自己主張が多いことで、知られている。
本を開き、書かれている文章を読む。
ぱら、ぱらっ
三十秒おきにページをめくり、四ページ読み進めたところで、本の真ん中にしおりを挟む。
そして目を閉じる。
先ほど読んだ本の内容を思い浮かべる。
パソコンで文字を打つかのように、内容が書き出される。
そして、五分後。
椅子を片付けて、窓を開ける。
電気を消し、
サンダルを脱いで、部屋に入った。




