1 終わった・・・と思ったら目の前に美女がいた
ハーレムものが書きたくて・・・ご都合主義なので、苦手な方はご注意を。
よくある話だが、俺は人間関係で苦い経験をした。
まあ、ほんとによくある「皆仲良く」するための共通の敵にされただけの哀れな道化・・・それが俺だった。
特に成績が悪いわけでも、運動が苦手なわけでも、根が暗いわけでも、特別ブサイクなわけでも、デブなわけでも、不清潔なわけでもない。
ほんとに俺が選ばれたのはおそらくたまたまで、きっと誰でも良かったのだろう。
周囲から嫌がらせをされて、無視をされて・・・クラスの連中の「仲良し」のために俺はいじめられた。
教師は面倒なことを嫌いその状況に気づいても無視し、俺の親は・・・まあ、お互いに他所で不倫をしている、いわゆる形だけの夫婦だから俺には何の興味もないらしく、俺に味方はいなかった。
とはいえ、俺はその状況に心を病んでいきながらも学校には通い続けた。
ここで不登校にでもなれば奴等に負けた気がしたという下らないプライドからだ。
毎日、学校で心をすり減らして家に帰っても誰もいない孤独な生活。
そんな状況に日に日に俺は心の闇を深くしていき、同時にこの頃から心を守るために何があっても笑うようにした。
感情を殺していかなる時も笑えるように・・・どんなことでも笑っていられるように。
やがて、当たり前のようにそれが出来るようになった時に俺は気付いた。
ーーー笑うことしか出来ないことに
悲しくても涙は出ない。
怒りたくても感情の出し方がわからない。
単純なことのはずなのに、いつの間にか「笑う」という仮面が外れなくなってしまった。
それが彼らのせいだとは言わないが・・・それからだ。俺が人間不信でコミュ障気味になったのは。
どんどん人は信じられなくなり、俺は二次元の世界に逃げた。
ゲームやアニメ、ラノベなどの幸せな世界に心を馳せて現実から少しでも目をそらした。
なかでも、異世界転移という現象は俺にとって夢のような出来事だと思えた。
ーーー人間のいない世界に行きたい
獣人でも妖怪でも人外の存在でもいい・・・とにかく人間がいなければ俺は幸せに感じるだろう。
そんな妄想まで抱いてしまった。
とはいえ、もちろんラノベのようにトラックに引かれたら異世界に行けるとか、ある日突然勇者召喚されるとか思ってはいなかった。
ただ、逃げたかったのだろう。いや・・・人間に心底失望したのだろう。
もちろん全ての人が悪とは言わない。しかし、それでも俺は人を信じられない。
とはいえ、何かにすがりたいという気持ちもあった。
だから、俺はありもしない二次元の幸せな世界を楽しんでそれだけで現実の厳しさに耐えていた。
この先もずっとこんな生活が続いていくのかと絶望しながら・・・
だからかな?
「危ない!」
遠くから聞こえてきたそんな声と俺の目の前に迫ったトラックを見たときに恐怖よりも安堵した。
ーーーああ、やっと終われる
体に物凄い衝撃が伝わり、俺は宙をまった。
意識は途切れて最後に見えたのは血に濡れた地面と、たまたま助けた女性の姿。
必死にこちらになにかを呼び掛ける女性の声を聞きながら・・・俺の一生は幕を降ろした・・・
はずなのに・・・
「なんで生きてるの・・・俺?」
気づくと俺は見知らぬ森の中にいた。
トラックにひかれて血まみれなはずの体はどこにも異常はなく、まるで夢でも見ていたような気分だが・・・
「どう考えてもこっちが夢にしか思えない・・・」
空には見たことない生物・・・ってか、あれファンタジーによく出る竜とかじゃね?
おまけにさっきからこちらを木に隠れてちらちら見ている兎・・・兎なのか?なんか羽がはえてるけど・・・
「どうなってるんだ・・・一体・・・」
「うーん・・・端的に言えば君は異世界に転移したんだよ」
「えっ・・・・?」
まさか返事が返ってくるとは思わず驚いて俺は振りかえると・・・そこには美女がいた。
短めの青い髪と澄んだ海のような青々とした瞳の美女。
女神と例えるのが相応しいその美女は俺に笑いながら言った。
「こんにちは。僕はシークドラ・アクアスティード。一応君たちにとっては神様になるのかな?」




