表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第16章 婚活は所詮、手段に過ぎない?
93/145

婚活は所詮、手段に過ぎない?③

 まさか、そんなにあっさり認めるとは…。もっと、ごまかすのではないかと思ったのに…。田井島は一瞬拍子抜けしたが、すかさず別の質問を畳み掛ける。


「ええっ! それ、すごいじゃないですか! ペンネームは何て言うんですか?」


「田井島…お前、興味のあることにはとことん食いつくんだな…。全く…興味あることと、ないことの差が激し過ぎるぞ…」


 おっさんは急いで、机の上の資料を片付けてから、ネットの「小説家もどきのお部屋」と言うサイトを見せてくれた。田吉は「大所チータ」と言うペンネームにて、趣味の範囲で活動を続けているようだ。まあ、二〇年もやっていると言うだけあって、作品も五十近く発表している。


 長編もあれば、短編もあり、内容も政治モノの固い作品から、夜の街の浮ついた物語まであった。思えば、やけにこった言い回しとか表現をするなあ…と感じることがよくあった。これで全てがつながる。


「ところで、ペンネームは何か由来でもあるんですか?」


「アナグラムだよ」


「アナルラム?」


「ア・ナ・グ・ラ・ム! お前、アナグラムを知らないのか? いいか、俺の名前は田吉太一だろう?」


「はい…」


「それを並び替えると、大所チータになる」


「おお、すげえ!」


「こんなの、物書きの初歩技術の一つなんだけどな…。本当はネットで知り合った人以外にはあまり知られたくなかったのに…。まあ、仕方ない。気が向いたら、暇つぶしに読んでくれ!」


 それにしても、田吉のおっさんは芸達者だなあ…。おっさんの話によれば、結婚する前に仕事しながら、作家養成学校の通信教育を受けていた時期もあったとのこと。そんなものが存在していることすら、田井島には初耳であったけど…。


 そこで「タンデムシートに君を乗せて」で華々しくデビューしたらしい御金持好に弟子入りしないかと言われたらしい。仕事を捨ててまで、小説に打ち込むようなバクチはできずに断ったらしい。  


 断らなければ、今頃は御金持一門で大成した司馬やまとや南風新のようになれたかも…なんて、サラッと言うあたりはおっさんらしいけど…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ