婚活は所詮、手段に過ぎない?②
「ちょっと、待って下さい」
『ん? 何だ?』
「すぐに終わる用事なので、少々遅れるかもしれませんが、ぜひ一緒に行きましょう!」
『おっ、珍しいな…。田井島がそんなに食いつくなんて…。分かった。では、四時にいつものジョイフルな。英会話は五時からだから…。まあ、それまで洗濯とか、掃除とか、熱心にこなすこったな。じゃあ、また後で!』
それにしても、どうしてはっきりと見透かされているんだろう…。そんなに単純な奴に見えるんだろうか? 田井島は自分の底浅さに意味も無くがっかりしてしまう。まあ、仕方ないか。これからもっと深みのある人間になれるように頑張ろう。
おっさんに言われた通りに、とりあえず家のことを急いで済ませよう。ああ、これがしがない独り身の悲しい現実だ。家に帰ると、田井島は急いでのり弁当をかき込み、洗濯とか掃除などを急いで済ませる。まあ、土日しか家のことをできないから仕方ない。
全てを終えて、四時前にジョイフルへ着くと、田吉のおっさんがドリンクバーを飲みながら、パソコンへ向かっていた。電車の運転手がパソコンに向かって何をしているのか?
机の上にはよく分からないプリントやら、資料やらが散乱しているではないか。かなり夢中になっているようで、田井島が近づいても全く気付く気配がない。声をかけても全然気付かない。
画面を見ると、ワードを開いて何かを必死になって打ち込んでいる。もしかして、小説でも書いているのか? えっ、おっさんが小説? 全然、似合わない。
「おい、驚かすなよ。来たなら、コソコソせずに一声かけろ!」
「いやいや、声かけましたよ。でも、田吉さんが必死になって何かしていて、全く気付かなかったんでしょう?」
「ああ、そうか…。それは悪かったな…」
それにしても、電車の運転手がこんなにたくさんの書類を仕事で書く必要があるとは到底思えない。こんなにたくさんの始末書を書かされる前に首になるだろうし…。
「で、ところで何をしていたんですか? もしかして、田吉さん、密かに小説家を目指しているとか…」
「そんなんじゃねえよ…。まあ、下手の横好きでもう二〇年近く書いているんだよ。そして、インターネットで駄作を細々と公開しているけどな…」




