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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第15章 春樹が残してくれたもの
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春樹が残してくれたもの③

 その後、田井島はなぜか黒スーツに黒ネクタイで花上家に現れて、みんなをびっくりさせた。華は田井島が全く融通の利かない固い奴であることをすっかり忘れていた。


 田井島は御経を上げると聞いたもので…なんて言って、周りをなごませている。そして、華に対してはどうしてきちんと教えてくれないのかな…とやんわりと抗議した。


「いやいや、その格好の方が田井島君らしくていいよ。その方が、春樹も喜ぶだろう。何だったら、私も着替えてようか?」


「先生、それは申し訳ないです」


「田井島君。それなら、春樹の私服があるから、それを着たらいい。五時まであと十五分もあるぞ!」


「いやいや、それはもっと申し訳ないです…」


 義父と田井島の掛け合いを聞いている他の人々は、ただ苦笑いである。まあ、こんなことができるのも、田井島が学生時代からの付き合いで、みんな顔見知りだからできることだ。


 結局、田井島は上着を脱いでから、黒ネクタイを外すことで周りとのバランスを取ることにしたらしい。十月になっても、まだまだ暑い日が続くのでちょうどよかったかもしれない。仕事帰りのサラリーマンみたいだ。


 やがて、住職さんがやって来た。簡単な挨拶も早々にさっそく御経を上げ始める。困ったことに遥斗が、木魚の音に合わせて手拍子を始めてしまった。すぐに止めさせた。しかし、手拍子を止めると、今度は華の膝の上で踊り出す始末…。


 おかしいな…。葬儀ではいい子にしていたのに…。あれは夜だったからか? それとも違う場所で知らない人達がたくさんいたからか? よく分からないが、これでは厳粛な雰囲気がぶち壊しである。前列にいる義父母と父母はまだ気付いていないが、隣にいる田井島は笑いをこらえるのに必死だ。


 これでマドンナのライク・ア・バージンが流れたら、完全に「笑ってはいけないシリーズ」の世界となる。遥斗が男でよかった…じゃない! 夫の月命日に御経を上げているのに、何て不謹慎な妻なんだろう。隣にいる友人もずいぶん不謹慎な奴だな…。

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