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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第15章 春樹が残してくれたもの
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春樹が残してくれたもの②

「俊夫さん、富子さん…。ちょっとね、主人とも話していたんですが、八日が最初の月命日になるから、今日御経を上げてもらっておこうと思っているんです。夕方からのご予定はいかがですか?」


「母さん、何かあったかね…。何もなかったよな…」


「ええ、何も無かったでしょう。美冴さん、急にで悪いけど同席させてもらってもいいかしら?」


「もちろんですよ。こちらこそ、連絡が遅くなって申し訳ありませんね」


「お義母さん、田井島君にも声をかけてもいいですか?」


「もちろんですよ。田井島君がいらっしゃったら、春樹も喜ぶでしょう」


 そんな訳で、夕方からは春樹の最初の月命日に合わせて、お坊さんを呼んで御経を上げてもらうこととなった。


 本来であれば、八日に行うべきだろう。しかし、八日は火曜日である。義父母が学校長をしているため、この日にすることは不可能であった。そこで五日の土曜日に保険金の件でちょうど集まっていたこともあり、その流れで御経を上げてもらい、故人を偲ぶこととなったのである。


「もしもし、あ、田井島…。今、電話、大丈夫?」


『ああ、大丈夫だけど…』


「よかった。あのさ、もうすぐ春樹の月命日でしょう? 春樹の母さんが、それに合わせて御経を上げてもらうことになったって言っているの。もしかしたら、もうすでに予定が入っているかもしれないけど、もし何もなかったら、夕方から花上家に来ない? 春樹の親も、うちの親も田井島君も誘いなさい…って言うのよ」


『そうか…。この週末は田吉のおっさんが珍しく土日に仕事が入っていて、何も予定が無かったんだよ。ちょうど、よかった。ところで何時から?』


「確認するからちょっと待って!」


 華は、義父母にお坊さんが来る時間を確認する。義母が


「五時からの予定よ」


と言うのでそれを田井島に伝えた。田井島は


『分かった』


と言って、電話を静かに切る。持っている人は亡くなってもなお、持ち続けているのだな…。春樹はあの世に行ってもなお、幸運に恵まれているようだ。


 そして、その幸運を周りにも分け与える。華はそんなの、いらないからずっとそばにいて欲しかった…と天を仰ぐ。全く、どこまでも自分勝手な奴だ。

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