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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第14章 家仕舞い
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家仕舞い⑤

「こら、遥斗。おじいちゃん達の邪魔をしたら、ダメでしょう!」


「お、遥斗じゃないか。華、お母さんは?」


「お母さんは台所の手伝いに入ったから、私が遥斗を見てる」


「富子さんには、悪いことをしてしまったな…。それにしても、華さん、思ったより早く着いたね」


 義父は思ったより早く着いたと思ったようだが、実際はマンションで別れてから一時間ほど経っている。義父は作業に夢中になるあまりに、時間の経過を忘れていたようだ。


「そうですか? 昼間は道路が空いていますから、思ったよりも早く着いたようですね。お義母さんが上で春樹さんの遺品の片付けをやっていると聞いた物ですから…」


「華さん、ありがとうな。村上春樹の本だけ残すとは…。さすがは春樹の妻だな…」


「そ、そんな…」


「今、ちょうど、道夫さんと話していたんだ。この本のことや、春樹君の名前の由来とかね…」


 ここでしばらく二人の話を聞きながら、華も片付けを手伝うことにした。もちろん、遥斗が部屋から出て行かないように、ドアを閉めることも忘れずに行う。会話が落ち着くと、二人はまた作業の続きを再開した。華は遥斗の様子を見ながら、二人の手伝いをする。


 これは天国の春樹が望んだことなのか? それとも偶然? ありのままを受け入れようとしたが、華はやっぱり受け入れられない…。


「ごはんですよ。降りて来て下さい」


 義母の声が下から聞こえる。義父と父は作業を止めた。華は遥斗をつかまえて、二人の後からゆっくりと階段を降りる。あっ、しまった…。遥斗の離乳食を忘れてしまった。母が持って来ていたような気もするけど…。


 台所でさりげなく、母に確認するとちゃんと用意して持って来たとのことだった。今では私よりも離乳食に詳しいかもしれない。華は母の学習能力の高さにびっくりさせられる。歳の割にはかなり柔軟性があるなあ…。母だけでなく、父も、義父母も。

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