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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第10章 婚活の狂気が冷めた朝
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婚活の狂気が冷めた朝②

「よし、遅い朝食を食べに出かけるか! 田井島、お前、今日の予定は?」


「いや、特に何もないですね…。田吉さんは?」


「あるか! 何もないから、聞いているんだ。お前なあ、少しは会話の行間を読め!」


 そう言って、田吉は朝の身支度を始めた。その合間に、田井島に洗いたてのタオルを渡す。口は悪いが気遣いはできる人なんだよな…と思いながら、台所で顔を洗う。


 おっさんは、シャワーを浴びに浴室へ行ってしまった。顔を洗った後、既に付けてあったテレビをぼんやりと眺めながら、田吉を待つことにする。


「おい、田井島、お前も入ったらどうだ? 二日酔いの体がさっぱりするぞ!」


「いや、いいですよ。そんな…」


「遠慮するなよ。一緒に寝た仲じゃないか…」


 明らかに誤解を招く表現である。このおっさんの口は悪いを通り越して、はっきり言って下品だ。田井島は着替えがないことを理由に丁寧に断った。田吉も、


「まあ、そうだな…」

と言って、それ以上は何も言わなかった。


「よし、日曜の街へ二人でくり出すか…」


「はい…」


「とりあえず、そばでも食べに行くか。やっぱり、飲んだ日の翌日はさっぱりしたものが一番だな…」


 それにしても、田吉のおっさんはよくしゃべる。田井島はさっきから「はい」とか「ええ」とか「ああ」しか話していない。二日酔いで頭がうまく回らないのだ。


 それに気分が悪くて、話すのがおっくうだ。おっさんも頭が痛いと言っていたのに、まあよくしゃべるものだ。シャワーを浴びてすっきりしたのだろうか…。


「あ、コンビニでウコンの力、買ってもいいですか?」


「ああ、いいけど…」


 そば屋へ行く途中、コンビニがあったので寄ることにする。行きたい時に目の前にコンビニがあれば、セブンでもローソンでもファミマでもサンクスでもデイリーでも別に構わない。コンビニに対するこだわりは特にない。


 飲み過ぎた翌朝、田井島は必ずウコンの力を飲むことにしている。飲むとその後が全く違う。プラシーボ効果でウコンの力自体には何も効果がないと言う人もいるが、鰯の頭も信心から…と言うではないか。おっさんは、コンビニでは特に用もないらしく、雑誌をパラパラと眺めるだけだった。


「田井島、お前、酒弱いのか…」


 確か、昨日何回もそのような話をしたような気がするが…。案外、田吉も酒で記憶を飛ばしているのかもしれない。

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