田井島、30にして婚活に立つ③
そんな訳で田井島は生まれて初めて合コンに参加している。さすがは秋津亜樹夫である。確かにいきなり飲み会だったら、会場に行っても怖じけついて参加もせずに帰っていたかもしれない。
ボーリングをしに行くと思って参加したら、それほど抵抗感もない、参加者もそんなにガツガツしておらず、ちょいと、ボーリングをしに来ました…って感じのゆるい人が多くて、本当にホッとしている。
一ゲーム目が終わり、男性陣は二レーン右へと移動する。このゲームは男女二人ずつのペアでスコアを競うものであり、二ゲームの点数を合計して、男女それぞれのペアの一位から三位を決める。それぞれ二十人ずつ参加しているので、十組が順位を競うことになる。
田井島と一緒のペアになったのは、田吉太一と言う四十歳の男性である。見た感じ、身長一八〇以上ある長身のスラッとした中年だ。背が低い田井島は、それだけで思わず圧倒されてしまう。
同じ独身でも、四十歳にともなるとずいぶん余裕があるのか、それとも開き直っているのかよく分からないが、こう言うイベントにかなり慣れているようだ。ゲームを始める前に、あちらから名乗って来たので、あまり乗り気ではなかったけど田井島も自己紹介した。その流れで年齢も聞かれたので、三十だと言うと、
「まだまだ、これからですよ!」
なんて言われた。余計なお世話である。なんか嫌な感じもしたが、このおっさん以外頼れる人もいない。
今さら、既に結婚している秋津に一緒来てくれと頼める訳もない。まあ、奴はそんなのお見通しだったのか、嫁に頭を下げて協力してやると言ってくれた。しかし、何か間違いがあった時に嫁さんに対して責任がとれないので、それは固く断っておいた。
どうやら、ビギナーラックには恵まれなかったようだ。一ゲーム目の女性ペアは某地銀の行員ペアで今年大学を出たばかりの新人である。
二人とも三十と四十のおっさんには全く興味なさそうであった。ただ、行員とだけあって、礼儀はわきまえていた。いや、二人ともこの一ゲーム限りのお付き合いと割り切っていたのが、すぐに分かった。
表面だけ取り繕ってもすぐに分かる。それが分からないのが、まだまだ学生気分の抜けていない証拠と言えよう。ああ、戻れるなら、もう一度大学を出てすぐの頃に戻りたいものである。
もし戻れるなら、花上夫婦とはさっさと見切りをつけて、二十代のうちから婚活に精を出していることだろう。ああ、もったいないことをしたものである。
二ゲーム目は言い方が悪いかもしれないが、顔がお面のようになっている自称三十歳の中年女性ペアだった。どちらも看護士をやっているとのこと。
田吉とやたらと盛り上がっていたから、どう考えてもアラフォーであろう。ドリフとかコント五五号とかが会話に出ているから間違いない。僕らの世代なら、ダウンタウンとかウッチャンナッチャンである。それで田井島だけ一人だけ浮いた。




