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第八十四話 Frange ruinam
「ルイーナ、起きて!」
「……やばい。今、何時?」
「もう12時よ」
母の声に、私は慌てて布団から飛び起きた。今日は1時から友達と遊ぶ約束だった。
「はい、朝ご飯」
「ありがとう……」
私はご飯を食べながら、ふと母の顔を見た。
「ねえ、前してた話……もっと聞かせて」
「先祖の話ね?」
母は優しく微笑みながら、口を開いた。
「今から1000年くらい前、私たちの先祖は有名な陰陽師っていう、呪術で悪霊を祓う人だったらしいよ」
「……陰陽師」
聞き慣れない響きに、私は少し目を細めた。
「名前は?」
「それは……あ、もうこんな時間よ!」
母は時計を見てそう言った。
針はすでに1時を指していた。
「やばっ!行ってきます!」
私は慌ててご飯を口に詰め込んで、鞄を掴んで玄関へ飛び出した。
日差しが眩しくて、走りながら目を細めた。その時、道の先に、ぼんやりとした小さな人影が見えた。その人影は、私を見て微笑んでいるようだった。
「……?」
私は足を止め、目を凝らしたけれど何も見えなかった。
「ルイーナ、こっちこっち!」
遠くから友達の声が聞こえ、手を振っている姿が見えた。私は微笑み、もう一度前を向いて駆け出した。
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