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Frange ruinam   作者: S
魂編
18/39

邁進

最近忙しいので、文字数が少なくなるかもしれません。毎日投稿を心掛けるので読んでくれると嬉しいです。

私達はインフェリア領へと続く荒野を歩いていた。


「この危機的状況、ハデスは知らないの?」


私は前を歩くネブラに問いかけた。


「知らないと思うぞ」


ネブラは振り返らずに答える。


「あいつは天啓によって冥界に縛られている。自らの意思で魔界や人間界に干渉することはできない」


淡々とした声だったが、その言葉にはわずかな苛立ちが混じっていた。


やがてネブラが足を止めた。


「着いたぞ」


その先には、一人の女の姿をした悪魔が立っていた。その悪魔はどこか気だるげな雰囲気を纏っていた。こちらに気づくと、悪魔は口元に笑みを浮かべた。


「ネブラじゃん。元気してた?」


軽い調子の声だった。


「お前か……」


ネブラは露骨に嫌そうな顔をし、溜息をついた。


「知り合いなの?」


モラが小声で尋ねる。


「昔のな」


ネブラはそれ以上語ろうとしなかった。悪魔は私達を順番に眺め、納得したように頷いた。


「それで、闘技イベントに参加ってことでいい?」


「あぁ」


ネブラが短く答える。


悪魔は今度は私とモラを興味深そうに見た。


「へぇ……人間なんて珍しい。ここの参加者は魔ばかりだけど、大丈夫そう?」


「あぁ、問題ない」


ネブラが即答する。


「何でネブラが答えるの……」


モラが不服そうに頬を膨らませた。


悪魔はくすりと笑った。


「まぁいいわ。開催は三日後。忘れないでね」


そう言うと、悪魔は一歩近づき、自然な動作でネブラの肩に腕を回した。


「ねぇ、この後二人で良いことしない?」


「黙れ」


ネブラは即座にその腕を払いのけた。その目は冷たく、明確な拒絶を示していた。悪魔は一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに肩をすくめた。


「相変わらずつれないなぁ」


「……用は済んだな」


ネブラはそれ以上相手を見ようともしなかった。


「えっと……じゃあ、また三日後に」


空気を和らげるように、モラが間に入って言った。


「えぇ、楽しみにしてるわ」


悪魔は笑みを浮かべたまま、手をひらひらと振った。


「行くぞ」


ネブラは背を向け、そのまま歩き出した。私達は顔を見合わせた後、慌ててその後を追う。


しばらく歩いたところで、モラが口を開いた。


「……二人って、なんかあったの?」


ネブラの背に向けて、探るように問いかける。

ネブラはすぐには答えなかった。ただ、前を向いたまま、低く言った。


「あいつは、魔に色仕掛けをして命を奪う」


その声には、わずかな嫌悪が混じっていた。


「我が言えたことではないが、あいつは卑劣で悪辣な悪魔だ。」


モラが小さく息を呑むのが分かった。


「……三日間は、宿に泊まるとしよう」


ネブラはそれだけ言うと、地面を蹴った。身体が浮き上がり、そのまま空へと飛び上がる。


「ちょ、待ってよ!」


モラが慌てて続く。私も、空へと飛び上がった。紅に染まる空の中を、ネブラの背を追って進む。その背中は、ただ前だけを見据えていた。


三日後――インフェリア領の闘技場で、私達は更なる力を求めて戦うことになる。


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