第9話 帰路
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森に入った一行はレントを囲むような陣形で進んでいる。
「ゴブリンが二体来るよ」
「多分100mくらいかな」
「よし俺が先制攻撃を仕掛ける」
「後はみんなお願いね」
シンが先行しゴブリンを目視出来る所まで近づいていく。
ヒュン、ヒュン
二体のゴブリンへ向け矢を放った。
シンの放った矢は二体のゴブリンにそれぞれ命中した。
一体目は頭に当たり倒せたが二体目は身体に当たり倒すまでには至らなかった。
「任せろ」
矢が当たった事で棒立ちになっていたゴブリンにドルグが横薙ぎに一閃する。
「ふぅ」
「シンの腕も上がってるな」
「いや、まだまだだよ」
「一体は狙いがズレちゃったし」
「それにしてもレントのそれは便利なスキルだな」
「見た目もいい感じだしな」
「嫌だよこれ」
「なんか角短いし」
「まぁでもヒヨリは気に入るんじゃないか」
「ホーンラビットとか好きだったし」
「あぁ・・・出来るだけヒヨリの前で使わないようにしよう・・・」
「良いスキルなんだから使わないと宝の持ち腐れだぜ」
「まぁスキルは便利だけど戦いには使えるもんじゃないけどね」
「これ使ってたら戦力的には落ちちゃうし」
警戒・・・広範囲の気配察知が可能になる 。常時発動型。ホーンラビットの魔石で使用可能となる。
「でもそれがあるだけで大分危険が回避出来てるからな」
「斥候だったらこれはいいスキルだな」
「次は俺が戦うよ」
「シンにばっかりいいとこ持っていかれたくないし」
「次はレントとナークで頼む」
「念の為レントはトラーゲンは使わずにいてくれ」
「この辺の魔物にはオーバーキルだろうし帰りの道中でその『警戒』は使えた方がいいからな」
「分かった」
「剣だけで戦うよ」
「サポートは任せろ」
「ナークさんよろしくね」
「剣の事も教えてよ」
「剣のスキルはまだ一つしか覚えてないんだ」
「なんだ一つだけなのか」
「って言っても俺も2つしか使えないけどな」
「どんなスキルが使えるの」
「まぁ次に戦闘になったら見せてやるよ」
「あー早く出て来ないかなー」
「あっ」
「これはホーンラビットか」
「四体もいるよ」
「ホーンラビットくらいなら大丈夫だろ」
「よし、行くか」
「とりあえずレント、お前が仕掛けろ」
「あとは残ったやつに俺が行く」
「最悪俺が前衛で耐えるからお前が攻撃してくれ」
「分かった」
「二体は倒せるようにするよ」
「ナークさんあとは頼んだよ」
レントとナークはホーンラビットのいる方向へ駆けていく。
ホーンラビットも警戒により二人の接近に気付く。
魔物にも前衛や後衛があるのか二体が前に出てきており、残り二体が後ろに下がっている。
レントが仕掛けるより先にホーンラビットが突っ込んでくる。
角を突き刺すように突っ込んで来たため角に剣を当てて躱す。
躱されたホーンラビットは無防備になっていたため、後ろから斬り掛かる。
ホーンラビットは振り返る事無く倒れた。
倒れた事を確認してもう一体のホーンラビットの方へ向き直す。
向き直ると同時にホーンラビットは突っ込んでくる。
ホーンラビットの接近に合わせてスキルを使用する。
「閃刃」
横薙ぎの一閃でホーンラビットは倒れる。
「ナークさんお願いします」
「やっと俺の出番だなっと」
後ろに控えていたナークが前に出る。
後衛にいたホーンラビット達は先に倒された二体を見ていたため二体同時に出てくる。
「やっぱりそう来るよな」
「レント見とけよ」
ナークもホーンラビットへ向けて駆け出していく。
二体のホーンラビットの真ん中辺りに位置取りスキルを使用する。
「回転斬り」
自分のいる場所を中心に回転し二体のホーンラビットを斬りつける。
ホーンラビットは二体とも両断されて倒れた。
「凄い!」
「初めてナークさんを尊敬したよ」
「初めては余計だ」
「どうしたらそのスキル使えるようになれる?」
「俺の時は今みたいな状況になった時にスキルが使えるようになったな」
「前々から同時に攻撃出来ないかって練習してたからな」
「それも要因かもしれん」
「そうなんだ」
「また練習してみるよ」
「まぁその前に安全に倒せるようにならんとダメだな」
「無理してそんな状況を作り出したりするんじゃないぞ」
「分かったよ」
「ナークの戦いがタメになったみたいだな」
「うん」
「もっともっと鍛えないと」
「まずはナークさんに追い付くんだ」
「言うじゃねぇか」
「まぁ剣だけならまだまだだな」
「帰ったら木剣で相手してやるよ」
「約束だよ」
「まぁその前にこの帰り道を乗り切らないとな」
「そうだな、見た感じレントとシン何とかなりそうだから荷物は俺達が持とう」
「ナークはレントのやつを持ってやれ」
「はいよっ」
「後はお前達に任せたからな」
「じゃあ俺が斥候していけそうならその前遠距離で倒そう」
「ダメだったらレント頼むよ」
二人で魔物を倒しながら村へと進んで行った。
数体の魔物との戦闘し村に近づいた頃初めて見る魔物と遭遇していた。
「なんか可愛いやつだね」
「あの魔物はなんて言う魔物なの?」
「お、珍しいな」
「あれはスライムだな」
「スライム系の魔物はあまり出会わないんだ」
「なんで?」
「弱そうだし逃げてるのかな?」
「そういう訳でも無いんだ」
「スライム系は結構厄介者が多い」
「あのスライムでも特殊な攻撃はしてこないが軟体で物理軽減のスキルを持ってるんだ」
「普通に剣で切ったりしても倒れない事が多い」
「魔法で倒すのが効率がいいんだけどな」
「魔法なんて使えないよ」
「まぁそうだな」
「それ以外はそのスライムに合わせた属性攻撃スキルでも倒せる」
「普通のスライムだったらスキルを使わなくても火を使えば倒せない事はないぞ」
「あ、着火草か」
着火草とは根元から擦りあげると火が着く草のこと。
一般的に広く使われており、火属性魔法を使えない冒険者達は必須なアイテム。
「正解だ」
「あんまり持ってきてなかったが野営をしてないからな」
「出来れば松明を作った方が倒しやすいんだが・・・」
「これでいいか」
ドルグは落ちていた枝に布を巻き付けて布には酒を染み込ませる。
「よし、あとは着火草で火をつければ松明になる」
「普通のスライムは動きが遅いからな」
「動きを見ておけば火をつけるだけなら簡単に出来る」
「ただ不用意に近づくと襲いかかってくるから気をつけろ」
「動きに注意していくよ」
レントはドルグの作った松明を持ってスライムに近づいていく。
スライムはレントの接近に警戒しているのかプルプルと震えている。
レントはその姿を見て安心したのか更に不用意に近づいてしまう。
後一歩で手の届くという距離に来た時スライムが飛びついてきた。
レントは咄嗟に剣で防御するが剣をスライムに飲み込まれてしまった。
「くっ」
「油断した」
スライムの後方に回り込み(スライムの形状から後方であるのかは定かではないが・・・)松明で火をつける。
火をつけるとスライム全体に広がっていき、レントの剣だけが残されていた。
「うわー、ボロボロになってるよ」
「油断するからだ」
「うぅごめんなさい」
スライムは有機物は消化出来ないが無機物は消化する事が出来る。(特異個体は除く)
レントの剣は一般的に使用されている剣であり耐久力もそれほど高くない上にこれまでずっと同じ剣を使用していた。
短時間であるがスライムに捕食された事で刃がボロボロになってしまっていた。
「もう手入れしても使えないや」
「まぁそう落ち込むな」
「帰ったら俺のお古だがやるよ」
「俺から一本取れたらだけどな」
「ホントに!?」
「よーし、頑張ろう」
この後村までは魔物に遭遇すること無く無事に帰り着くのであった。
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