第三章「俺と奏の入会」
はい、水曜日更新っていうことで更新しまーす。
今回は少し短いかも
その後は会長は入部届けを取ってくると言って部屋を出て行く。
「なんかすごい部活だな………」
そう呟くと、奏もその言葉に返す。
「そうだねー、なんかつかれた………」
ぐてーと奏では机に体を寄りかからせる。
「まあ女性恐怖症のお前じゃあこの空間に入れただけでもすごいよ、俺じゃあすぐ逃げ出してたわ」
「さすがにひなたがいないと私も無理だよー」
さすがの奏だ、あざとすぎる。
だが俺にはそんな言葉はもう効かないようになっている。
多分。
「そうかよ、で、一階にこんな場所があったんだな」
「そうだね、私も知らなかったよ、でも仕方ないんじゃない? 校舎の端の端だし、用がなければ来ない場所だからね」
そうこのフォビア部の部室というのは、とても見つかりにくい場所にある。
この場所付近にはHR教室があるわけでも、家庭科室などの教科で使う教室があるわけでもない。
トイレも付近にはないし、あるとするならば、生徒会室が隣の空き教室の隣にあるぐらいだ。
ここらへんに生徒会室があるのはさすがにわかっていたが、行く用事があるわけでもないし、ここら一帯に空き教室が多いのもいま知ったことだ。
その様子からこの部室も空き教室を使って部室にしているようだが、部室の場所について不思議な点がある。
「なんで部室棟を使わないのだろう………?」
この学校には部室棟として、校舎とは別に部室が並んだ棟がある。
一階が体育会系の部室が立ち並び、二階は文化系が並ぶ。
三階もあるが、三階には同好会が占拠しているわけだ。
部室が空いてるところがないからと言ってここを使っているならわかるが、この学校は体育会系が多いみたいで、文化系の部活は体育会系の部活と比べると半分くらいしかないため部室は余っている。
そのため使わない理由がないのだ。
それに生徒会長とあろうお方だ、その存在を知らないというわけじゃないし、部室として存在しているあの建物を使わないというのはおかしい。
そうやって悩んでいると、ドアが開かれ、会長が入ってきて、僕達の前に白い紙を二枚机の上に置く。
「入部届だ、それを記入してくれ」
「会長、書く前に質問です」
「質問好きだな、君は、でなんだ?」
「なんでこの部室は部室棟のを使わないんですか?」
「考えてみろ、少し推測したらわかるぞ」
少し推測………?
それならさっきやって答えは出なかったんだが………
「あ、わかったかも」
小さく俺に聞こえるか聞こえないぐらいの声で奏は呟いた。
「おまっ、わかったのかよっ!」
「うん」
奏は本当にこの恐怖症を除けば完璧だから困る。
「ヒントくれ」
「フォビア部の入部条件、一階という立地条件、そして文化系の地理的条件を含めるとでてくるよ」
入部条件といえば恐怖症持ちだったよな………。
立地条件、去年の生徒会室の場所は三階だったのに一階に移された、それと同じ一階に部室がある………。
地理的条件、確か二階が文化系だ。
まとめると、なぜか三階から一階に移動させ、二階にある部室を避け、それをしてしまう原因の恐怖症といえば………。
「まさか………高所恐怖症持ちがいる………?」
「そうだ、高所恐怖症だ。 その恐怖症持ち、私がそれなんだ、私は高いところが怖くてな、朝会の時に舞台に行くときは怖くてたまらない」
「でも三年の教室は三階ですよね?」
裾山高校の校舎は一階が一年、二階が二年、三階が三年とされている。
「櫻井日向君」
「日向でいいですよ」
「ごほん、じゃあ日向君と呼ばさせてもらおう、改めて、日向君は教室に男性がいただけで吐き気などが起こるか?」
「それはもう慣れて………そっか」
「そうだ、慣れだ、私の場合は君とは違い毎回毎回高くなるために慣れるまで時間がかかり、まだきついが、とりあえずいちいち頭痛が起こったりするなどはなくなっている」
三階でも平気とはいえないが勉強出来ている理由はそれか。
「もう疑問も解けただろ、それ記入してくれ」
俺と奏は鞄から筆記用具を持ち出すと入部届に自分の名前とここの部活名を記入すると会長に手渡す。
「確かに受け取った、私はもう出るけど、鍵は閉めなくていいぞ」
そのまま会長は入部届を鞄に仕舞うと部屋を出るために扉の前までいく。
「会長、いや今は部長と呼んだほうがいいか、部長、最後に一つだけ」
「またか」
「すいません、今気づいたもので、えっとですね、部活の目的と大まかにどうすればいいのか分かりましたが、具体的にはどんな活動するんですか?」
「………」
「………」
部長はドアに手をかけて、開けながら言い放つ。
「君のような勘のいい人は嫌いだよ」
そしてバタンと閉めると、タッタッタッと素早い足音が外から聞こえる。
「にげやがったぁあああああああああああああ」
素早く扉に駆け寄って勢い良く扉を開け放ち廊下を見渡すが人一人見当たらない。
こんな入部初日からこんなんじゃあ先が思いやられる。
「ひなたそうやって棒立ちしててもしょうがないから私達も帰ろうか」
「そうだな、かい………部長には明日問い詰めるとして帰るか」
5月15日。
『櫻井日向』『佐倉奏』両名、フォビア部への入部を認める。
部長:『双島真那』承認。
フォビア部、部員数現在四人。
これまで書いてきて、少し力が足りないと感じるこのごろ。
みんなに見て欲しい気持ちはあるものの内容的には万人受けはしそうにないから
しょうがないと感じてます。
見てくれてる人がいるからがんばりますけどね!