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07【植生の多様性】

ワードのファイルにこの中間の生態系が残ってたんだよな。

懐かしいからこれも授業することにするぜ。ほいじゃあ「植生の多様性と分布」の授業開始。


【地理分布】

生物相による分類。

気候、地形的特徴、地史的特徴が基本となる。


要は、地域ごとに動植物の分布を分けているわけだよ。

その分布は【地理分布】、その分布区域グループは【生物地理区】と呼ばれる。


んでもって、生物地理区は『植物区系』と『動物区系』のふたつに分けられる。


【植物区系】

生物地理区のうち、植物ごとに分けたグループ?資料集224


全北区

ロシアなど、北半球の寒い地域の区域。

日本はここに入るので、お馴染みの植物……サクラやカエデ、クルミが有名だな。


新熱帯区

ブラジルあたり有名。

イメージはソンブレロのおっさんと熱帯雨林。

某学校の生物室にあるリュウゼツランやパイナップルなども、それに分類されるな。


旧熱帯区

アフリカとかインドとかのアラビアンな植物たち。

ココヤシやバナナ、コショウ。

うん、美味しいやつ。


オーストラリア区

オーストラリアは独自の進化を遂げた生物が多いので、動物も植物もオーストラリアで独立してるんだよね。

ユーカリやアカシアが有名だな。


ケープ区 

一番ぱっとしない区域。

この人には注意。アフリカ大陸の一番南の部分。

アロエやエリカが有名…らしいぞ?ちょっと寒いのかもな。


南極区

寒いよな、絶対。

だって名前にナンキョクって入ってるしな?

ナンキョクブナとか、ブナって寒い地域の木だもんね。


と、以上が植物区系。

そんじゃ動物に行こうか!

まあ似たようなイメージだよ。多少地域が違うので資料集225の地図参照に。


【動物区系】


旧北区

植物区系とほぼ同じ。

イノシシやタヌキ、キジなどお馴染み生物たちだな。


新北区

ウェスタンをイメージするとわかりやすいかもな。

ビーバー、シチメンチョウ。

ほら、なんかウェスタンっぽい。


エチオピア区

サバンナだよー。

植物区域の場合は旧熱帯区。

ライオン、シマウマなどなど。


新熱帯区

熱帯雨林の代表格!

ナマケモノやクモザルなど。


東洋区

アラビアン再び。

ニシキヘビやアジアゾウ。

あ、クジャクもだね。なんか派手だ。


オーストラリア区

カンガルーにカモノハシ。

お腹に袋があるのはオーストラリア。

そういえば、カモノハシって猛毒だからちょっかい出しちゃだめだぞ?死ぬから、マジで。


東洋区とオーストラリア区はワレス線とウェーバー線で分けられている。

ウェーバー線は淡水魚の分布を元にしているらしい。


                     

【日本】


日本は気候が温暖で雨量が多い。

四季の存在や、箱根などのフォッサマグナ要素も手伝って、生物種が豊富。

日本の区系はシナー日本区。


土に特徴。鉱物が多いとか。

細長いので亜熱帯から亜寒帯までの環境がある

山の標高が低い。

氷河期が比較的温暖だった。




これらが主な特徴だけど、例外としてヨーロッパ系シベリア区系の生物…たしかライチョウとか…が、高山に生息している。


理由は、氷河期には大陸がつながっていたから。

それと、高山の環境は世界中どこでも似ているので、低地は温暖でも山地には住み着いていられるみたいだな。



【津軽海峡によって地理分布がなされていない理由】


さて、日本の生物は北海道、本州の南北と海、沖縄で大きく分かれているように思えるけど、北海道の南と本州の北の生物には地理分布がなされていない。


なんでかって言うと、これも昔は繋がっていたから。

北海道でブナが生息している石狩付近の石狩低地帯は海だったと考えられている。


【日本海要素と太平洋要素のある理由】


日本海側と太平洋側で分かれている理由?

そりゃ日本海側は豪雪地帯で、山脈があるから半分に分かれるよな。

日本海側は寒いからな。



【フォッサマグナ要素が生じた理由】


糸魚川静岡構造線+富士箱根火山帯あたりの溶岩などで土の鉱物が増え、性質が変化したから。

鉱物が多く、pHが変化した上に、種と土が燃えて一からスタートした土地は、新種が出やすかったようだ。

例として…フジアザミ、ハコネギク、ハコネトリカブト。


◇◇◇


【生態分布】


分布には地理分布と生態分布の二つがあり、さらに生態分布は


垂直分布(高度による分布の違い)

水平分布(横の広がりでの分布の違い)


に分かれる。


環境変化の主な要因は、気温と降水量。


さらにその地域で最も発達した植物群落の生育系によって分類したものを【群系】と言う。


ついでに、植物を中心にした生物の集団を【バイオーム】と言うぞ。


先に水平分布(世界の生態系)の方から片付けますかね。最初は荒原から。

ついでにホイッタカーの植物群系グラフは必ずと言っていいほど出る。


【荒原】

ツンドラ(寒帯)、砂漠(寒帯以外)。植物が30%以下。



ツンドラ(寒荒原)

氷河期の名残で、大地は永久凍土。

まず木が育たない。

コケや草本が地面を覆い、点々とヤナギやコケモモの低木が生えている感じ。

昆虫が多い。


平地のツンドラはちょっと淋しいけど、高山ツンドラは賑やか。

根元が安定しないので傾きまくった針葉樹が比較的低い位置に生え、上は木が少ない。

夏は花が一面に咲くそうで。白夜を狙ってるのかもな。

降水量は100~700mm。年間平均気温は-4℃。


植物の工夫

夏に色が目立ち、丈が大きい花を咲かせる。

毛が深く、枯れた葉をクッションにするか、枯れた葉をそのまま落とさずにコート替わりにする。


動物の工夫

寒いので身体を大きくしている。毛深。

耳を小さくすることによって、逃げる熱を少なくしている。これがアレンの法則だ。

ベルグマンの法則は、寒い地域の動物の身体が大きくなる法則。

覚えておいて損はないぞ。

ジリスやハイイログマ、ヘラジカなど。




砂漠(乾荒原)

年間降水量250mmの地獄エリア。

気温はバラバラだけど、昼の40位の温度が、夜になると25℃程度になる。

砂だらけだから熱を遮るものがいないし、熱を保つことも出来ないようで。

残念ながら砂漠は俺のプリントデータが消滅していたので、記憶だよりで失礼。間違いがあったら誰か教えてくれ。


植物の工夫

根が深く、地下水を頼りに。

暑い時期を種で乗り切る一年生草本と多肉植物が多い。

雨が降ると一気に育つ。

丸い形のサボテンは夜のうちに気孔から二酸化炭素を取り入れてリンゴ酸に変えて蓄えておき、昼の熱いうちは気孔を閉じ、光を吸収してピルビン酸と二酸化炭素を生じる。

所謂CAM植物だな。そうすることによって水分の蒸散を防ぐらしいぞ。



動物の工夫

爬虫類や節足動物が多い。

彼らは日中砂に潜って過ごす。

砂浜と同じで、表面は熱くても中は涼しいから。


ただし

「俺は昼のサンサンと照る太陽を愛しているぜ」

な、野郎は砂を猛ダッシュで走るか、火傷しないように片足ずつあげてひこひこ歩く。

無理すんなって思うけど仕方ないな。


彼らにとって水は滅多に手に入らないレアアイテム。

朝霧で体についた水分を舐めて生活している。

目玉には一番貯まるみたいだ。目玉を舐めて水分を得るようだしな。




                   

【草原】

サバンナ(熱帯、亜熱帯)、ステップ(温帯)。



サバンナ(熱帯草原)

降水量800~1000mm、平均気温24~27℃。

自然草原そのものは非常に少なく、北アメリカなどはただ木を倒しすぎただけ。

自然草原はアフリカくらいのもの。


荒原とは違って多少木がある。

ここで生きていくとなると呑気ではいられない。

まず食う、食われる関係。人間による密猟。

水を求めて歩き回り、足が動かなければドライアップで肉食動物の餌食。なかなか過酷だぞ。


植物の工夫

食べられたくないので毒を持つ、刺を持つ。それでも食われるこの体。

それならばと地下茎でまた生えてくる、なかなかの雑草魂。

でも、草食動物達は群れで移動するので、またすぐ食べられる。残念。


動物の工夫

例えばキリンは首を伸ばして高木の葉を食べるし、その首の長さを活かして肉食動物を見つけて他の動物に警告を与える。

ゾウは足の裏で周囲の環境を調べる。

群れで移動して肉食動物から子供を守る。

肉食動物も群れで弱い個体を襲う。…みたいな?プリントに書いてなかったんで適当だ。



ステップ(温帯草原)

降水量250~1000mm、平均気温2~17℃。

モンゴルやアメリカなど。

モンゴルは放牧のせいの気がしなくもないが。

水が少ないので、モンゴルのひと達は家畜の乳や乳酒を水がわりに飲んで過ごすらしい。…なんか温帯草原って書く事がない。


植物の工夫

種だと凍ってしまうので地下茎で育つ。イネ科、多年生草本が多い。


動物の工夫

は、「動物は少ない」。以上。



針葉樹林(亜寒帯)

ユーラシア大陸北部、アメリカ大陸北部。

永久凍土の針葉樹林。

先端が尖った形により雪が落ちやすく、散乱光を吸収しやすい。

北に多いのは、北半球は地面が多く、熱が逃げやすいから。つまりは寒い。

南は海が多いので冷えにくい。

動物は肉食が多い。

針葉樹はフィトンチッド作用が強いので、土が枯れていて養分状態が悪いポドソル土壌。

常緑樹なので一年中暗く、短調な森。林床も貧弱。



夏緑樹林(冷温帯)

ヨーロッパ、東アジア、東アメリカ。

実際に見たからイメージつくと思うけど、明るい森林で、地衣類が多い。

指標植物なので、覚えておくと得。

ついでに言っとくと、地衣類はコケでは無いので注意。

秋になって紅葉し、冬に葉を落とすブナやカエデ類は、冬には地中の水が凍って使えないので、蒸散を防ぐためにそうやっている。

白神山地が世界最大。

林床は箱根でお馴染みのスズタケやチシマザサで覆われた草本層。

何故かというと、林床が一年中明るくて、イネ科が生育しやすい状態が保たれているから。日本海側はチシマザサ、太平洋側はスズタケが多い…そういやタケとササの違い、わかっているか?

                     

硬葉樹林(暖温帯)

地中海などの夏高温少雨、冬低温多雨の微妙な環境。

蒸散を防ぐために小型で分厚いクチクラ層を持つ葉のオリーブ、コルクガシなどが特徴的。常緑樹が多い。低木多し。


照葉樹林(熱帯、亜熱帯)

常緑広葉樹林。

クチクラ層が発達している。

雨緑樹林の小型版だな。小型多雨林。乾季がほぼない。沖縄なんかがそうみたいで。あ、ついでにマングローブも。


マングローブ

海水と真水の混ざった汽水域の森林。

川に栄養が流れる上、木が大きく多いので養分が必要になる。

泥の上に育つわけだからそれなりの工夫をしていらっしゃる。

支柱根、気根、散布体などが主ですな。

気根は空気を吸うために泥から突き出たアレ。


散布体

木の上で種を付け、刺さるような形にして落とすと、地面に突き刺さり、育ちやすくなる…てなわけだ。

ついでにマングローブの植物たちは吸い込んだ塩分を葉っぱにためて、その葉を落とすことで海水に対応しているそうだ。

なかなかの知恵者。




雨緑林(熱帯、亜熱帯)

乾季、雨季がある。

一年中高温で、チークやコクタンが有名…ってこれも沖縄にちょいあるかな。



熱帯、亜熱帯多雨林(熱帯、亜熱帯)

樹冠に生物が多い。

雨が多いため、植物は大半クチクラ層を多く持ち、滴下先端の形をとって腐らないように工夫している。

イチジク科の植物が多く、生物の色がド派手。

素晴らしきカオスっぷりで、優先種がない。あとは、カカオなんかがそうだけど…幹生花で、低い位置の動物たちに種を運んで貰おうという種、優先種が無いためか、森中示し合わせたかのように一斉に花を咲かせる植物もいる。

そしてその上にはちゃっかり栄養を頂いてとり憑いて殺したる、って締め殺し植物がいらっしゃる。

おそるべしかな締め殺し植物。

中身をすっからかんにしてしまうとか。



あと確認。

木が生えないのは


火山(土が硬い、酸性や地熱)

砂漠(水分がなく、乾燥している)

ツンドラ(寒い。)

海(塩分が多い。例外はマングローブ)

川原(流れで流される)など。


◇◇◇


【遷移について】


遷移

植物の群落(植生)が一定の方向に変化していくこと。


まあ、料理みたいなもんと思えばいい。

そういや料理といえば、この前シオンのやつがスープにゴキb…なんでもねえや。次行くぞ。


乾性遷移

火山の噴火物などにより一時的に生物が死滅した乾燥地で始まる遷移。

溶岩の300年クッキング始動


1 

まず溶岩が土壌と植物の種を燃やす。


2 

雨が降ってきて溶岩を削る。

20年ほどその状態で寝かせておくと、隙間にコケや地衣類が生えてくる。すると節足動物達が種や花粉を保持した状態でやってくる事が多くなる。


3 

20年~50年もすれば、草本層が出てくる。

コケや地衣類が積もって、層や栄養分が出来てくるから。

最初は変化に強いAo層の一年生草本。

次に二年生草本、最後にA層の多年生草本。

仙石原がA層のススキのまま遷移が進まないのは、あそこをカヤ採り場所にして燃やすからだ。今は観光目的だけどな…


4 

50年~100年もすれば、低木が侵入。

箱根の大涌谷をイメージすると丁度良いな。

まずは日当たりがいいから陽樹からだ。


5 

100年~200年もすれば、陽性の高木林ができる。

箱根は中間温帯だから、ヒメシャラ(デート時にオススメの木と担任が言っていたが、俺は非リアだ)やイヌシデが多かったな。

照葉樹林から夏緑樹林まで変化するのは温度の変化。箱根で遷移が変化していく理由は、大涌谷付近は地熱が高く、酸性が強いので通常の植物が生えてこられないから。

下の方は土壌が安定しているから…かも。


6 

300年もすると、極相を迎え、息を潜めていた陰性の高木達が繁栄。

条件的陰性のブナやミズナラが多かったかな。トトr…の森っぽい感じ。


箱根は…仙谷原はともかく…自然な状態から進んだ一次遷移だが、あの有名な国立公園イエローストーンでは山火事が起こり(向こうは飽くまで自然公園内の自然現象には介入しないので燃やしたままにする)、燃えた森林に新たな遷移が始まったそうで。

これが二次遷移。

土壌がすでにあるので進みが早いぞ。少なくとも20年は省略できる。


さあお次は湿性遷移=湖が埋まるところからスタートだ。


湖は富栄養型と貧栄養型に別れるぞ。


富栄養型

有機物が多く、腐りやすい。

生物の生産量が多い。

排出物なんかですぐ埋まる。要は泥臭い沼。


貧栄養型

有機物が少なく、腐りにくい。

基本寒い所だな。

で、分解が進まないから水の透明度が高い。

高層湿原は基本このタイプだ。


植物の紹介


沈水植物

完全に水中。カナダモなど。


浮水植物

根が浮かんでいる。浮草。


浮葉植物

いわゆる睡蓮型。葉は水面で、根は泥の中。


抽水植物

根は泥の中、葉や茎の一部は水面からでて生育。


湿原は、


低層湿原

中間湿原

高層湿原


の三つに分けられる。


低層湿原(箱根など)

ヨシなどの抽水植物が多い。暖かい。

湿原は水が多く、泥の中に酸素が少ないので細菌が繁殖しにくく、腐敗せずに倒れたヨシがそのまま残る。(=ヨシ泥炭)

遷移が進むと乾燥し、ススキ草原になる。

泥炭層が薄いので、植物は雨水と地下水の両方を使用できる。


高層湿原(苗場など)

ミズゴケが多く生える。寒い。

ミズゴケ酸なるものを分泌するので、低層湿原よりも細菌が繁殖しにくい。(=ミズゴケ泥炭の発達)

レンズ上に地面が盛り上がる。

下からヨシ泥炭、スゲ泥炭、ミズゴケ泥炭。

中心の盛り上がりは植物の根が地面に安定できないので雨水でしか生育出来ない。


あと、実際のテストの時には


「○○(夏緑樹林帯)ではこの遷移の課程の時にブナが生えたが、××(照葉樹林帯)では何が生えるか」


とか植物名を聞くものも出たが、まあそれはうちの学校ぐらいだろうな。

いや、懐かしい掘り出しもんだった。

じゃ、これで「植生の多様性と分布」の授業は終わりだ。多分。


参考文献

文部科学省検定済教科書 高等学校理科用 生物基礎 (本川達雄 谷本英一 編)

生物Ⅰ.Ⅱ、理科総合B対応 四訂版スクエア 最新図説生物 (吉里 勝利 監修)

2012 必修アクセス 生物基礎(浜島書店)


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