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第58話 新しい車窓だよホノカちゃん


「わー! すごっ! 綺麗っ、ねっ! みてみて川が青いっ!」

「ふふっ、そうだね。あんまり顔出すと危ないよ〜?」

「はーい」



 王国屈指の山岳地帯であり、もちろん火山も多いレイノス山脈の東に位置するここはミナセ地方。渓谷を中心とした美しい景観で有名な温泉郷だ。


 なんとも運のいいことに、直前のキャンセルでトロッコ列車のチケットが取れたから、王都ルミナから鉄道を乗り継いできた。出発から大体三時間ほどだろうか?


 列車はミナセ地方でも最も美しいと称される渓谷、アマツ渓谷に出たようだ。

 トンネル続きだったから正直眠くなりかけていたが、一気に目が覚めた。


 川は青く澄んでいる一方、周りの山は岩肌が見えている。



 …………えっと……、コントラストが綺麗だ、うん。ああ、もっと語彙力があればなぁ…………。ホノカといると強制的に自然体にされて(?)頑張ってカッコつけようとした言葉とか全部抜けてっちゃうんだよな……、この精神安定剤が。






 『本日はミナセ地方トロッコ列車、アマガセ号にご乗車いただきまして誠にありがとうございます。当列車は残り三十分ほどで終点、アマツ駅に到着いたします…………が、到着の十分ほど前に、皆様にぜひご覧いただきたい新たな車窓がございますので、これより、その説明をさせていただきます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。——さて、新たな車窓ですが、つい二ヶ月ほど前に王国研————』



 …………新しい車窓? 一体何を言っているんだ? 車窓が新しくできるなんてことがあるのか?



『——ました。地名にちなみまして「ユノカミ神殿」と名付けられました。この遺跡は、神殿と名前が付けられましたとおり、宗教施設——それも、現代に残るアマナ教関連の宗教施設であることが判明しております。ルメア王国民の多くが信仰するアマナ教、そのルーツは古代文明時代であると伝わっておりましたが、はっきりと関連遺産、と呼べるものは確認されていませんでした。そのため、このユノカミ神殿は、初めて見つかったアマナ教関連遺産となります。いずれは巡礼地となることでしょう。本日は特別に、その神殿の見える鉄橋上で五分間停車させていただきます。よろしければぜひ、その姿を拝んでみてはいかがでしょうか————————』



「レオ、つまりどういうこと」

「ホノカ? ちゃんと話聞いてたよね。それでそれは大丈夫か?」

「途中から外の鳥さんみてた」

「なにしてんの。簡単に言うとね、アマナ教関連の初めての遺跡が二ヶ月前に初めて見つかったんだって」

「!? すごいじゃん。てかアマナ教ってあの? ルメア王国民の九割くらいが信仰してるあの? 逆になんで今まで遺跡なかったの」


「……うーん、多分だけど、アマナ教は古代文明時代でも大きな宗教だったと言われてるから、当時の技術をフルで使って結界でも張ったんじゃないかなぁ……。ほら、前に行ったピュルゴス遺跡も似たようなもんじゃん? 多分当時の最高レベルの結界がそろそろ効果切れになる頃なんじゃないのかなぁ……?」

「なるほど」




 それから五分後、列車が鉄橋に差し掛かってきた。


 実は前にもこの路線に乗ったことはあるのだが、この鉄橋の周りはせいぜい川綺麗だなーくらいしか印象にないぞ? そんな神殿なんてスペースあったっけ?





『それでは皆様、進行方向左手、右手側にある……おっと、進行方向左側を向いた時の川の右側ですね—— その山をご覧ください』







「わー、なんかすごい長いね」


 その神殿は、やはりと言うべきか、山の頂上にだけ建っているわけではなかった。


 半地下、なのだろうか。河岸の崖の中から、木々の隙間から、ところどころ地上にその純白の外壁を見せつつ、山の頂上まで階段のようにつながっていた。


 ルメア王国中心にそびえる王城や、アマナ教最大の巡礼地にある神殿といい勝負をする、かなりの大きさではないだろうか?


 いや、地下にも建造物がある可能性を考えると、それよりもでかいかもしれない。



『皆様ご覧になってお分かりいただけたかと思いますが、この神殿は主に地上1階、地下3階建ての神殿となっております。今見えている部分だけで長さは3km, 見えないところも含めますと山一つ越えまして12kmとのことです。非常に巨大な遺跡ですね。今までどのようにして隠れていたのでしょうか? 私、お恥ずかしながらそういった分野は学んでおりませんので、全くわからないのですが…………。まあ、とにかく、拝んでみてくださいっ!』



 なんかすごい案内な気がしたが……まあいい。



 その神殿は、ところどころに彫刻が施されているように見える。河岸の神殿……入口? には大きな紋章のようなものも見える。…………あれどっかで見た気がするんだけどな……、気のせいかな?


 頂上にある建物は、かなり大きくも見える。高さは30mくらいはあるんじゃないだろうか? 遠くからでもかなり目立つはずだ。なんで今まで存在が知らされてなかったんだ? みんな興味ないのか?





『——大変残念ですが、こちらは列車でございますので、終着駅に向かって出発しなければなりません。帰りにもこの路線をご利用の方がいらっしゃいましたら、ぜひもう一度ご覧ください。将来的に、おそらく民間人にも開放されるでしょうから、その際はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。……それでは皆様、発車いたします。揺れますのでご注意ください————』




「レオ、今度行ってみよ」

「そうだね」



あとがき

次話からはついに温泉旅館に!

あと神殿はパルテノン神殿がだんだんになってるようなもんだと思ってください。

それではっ!(作者退場せん)

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