第50話 やっぱりホノカちゃんは天才可愛い幼馴染なのです
「ねー、もう二時間くらい探してるのに何にも出てこない」
支援メンバーが誰もついてこず、余ってなぜか俺の隣にいるホノカがついにぼやき始めた。
確かに支援メンバーは俺を除くと三人。攻撃メンバーが一人余るのはわかるんだが…………、できる限り散開していた方がいいんじゃないか?
でもそんなことを言ったらご機嫌ななめになりそうなので黙っておく。
「まあ、しょうがないよ」
「でもつまんない」
「……つまんないか」
「つまんない」
このまま放置するとご機嫌ななめになる予感がする。
「……そうだね、ちょっと待ってて」
「レオンさん、そろそろ交代で昼休憩を取り始めませんか」
「おや、アレオ殿が休憩を言い出すなんて珍しいな」
「いやー、ホノカが飽きてきてしまったっぽくて。ご機嫌とらないとなと」
「ははっ、アレオ殿も大変であるな。わかった。じゃあアレオ殿とホノカ殿から休憩に入ってくれ」
「すみません、ありがとうございます」
「ほのかー、休憩入っていいって。ほら、指揮車行くよ」
「やった! こっそりケーキ摘んできた! 食べよ!」
「はいはい(……こっそりって言ってたけど全然バレてるんだよな。出発前に確認するから。可愛い)」
「ねえユリウス、ホノカちゃんとアレオさん相変わらず仲良いね」
「そうだな。……シズネも甘えてきてもいいんだぞ?」
「ここはダンジョンだから、自制してね?」
「あはい、ごめんなさい」
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「ごちそうさまでしたっ!」
ホノカは(こっそり持ってきたつもりの)ケーキを食べてご満悦のようだ。
……この子やっぱ感情表現が豊かで…………、ちょっと子供っぽいよな。
こんなんでも一応、王国でもっとも強い魔法の一角を使えるんだから怖い。
「今ならボス出てきても一撃で倒せる自信ある」
「いやさすがに無理だろ。あと本当に出てきた時に洒落にならないからそういうことは言わないの」
「えー。…………そうだ、ちょっと魔法の訓練しててもいいかな?」
「魔法の訓練? なんで」
「今なら上手くなれる気がする」
「そうだね、あんまり外に魔力を放出されると調査機器のデータが乱れちゃうから、放出しなければいいt……………………、魔力を放出? 周辺の魔力を変えられる……?」
「? レオ?」
「そうか、それなら…………それだ! さすがは俺の天才可愛い幼馴染! よくやった!!」
「ふぇ? あ、頭撫でてくれてもいいんだよ?」
「えらいよホノカ、よしよしよしよし」
「ぅあ、ぁ、ほら、なんか思いついたことあるんでしょ?」
「ああ、ちょっとレオンさんに許可取ってくるから待ってろ」
「レオンさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! 思いつきました! 思いつきましたよ!」
「どうしたアレオ殿、ついに気でも狂ったか」
「いや違くて。思いついたんですよ。ボスを出現させられるかもしれない方法を」
「なんだ、気は確かだったのか。一旦指揮車で話を聞こう。あっちは地図が出せる」
「あ、レオ。さっきの奇声この中まで聞こえてきたよ」
「奇声じゃない。ちょっとレオンさん入ってくるから椅子出してくれる? データ用意するから」
「はぁい」
「さて、聞こうか」
「まだできるかどうか確かではないのですが……もしかしたらボスを出現させられるのではないかと」
「ほう」
「まずはこのデータを見てください。これまでの階層のボス部屋入室時の魔力変化をまとめたグラフです。……いずれの階層も入室直後、ボスが出現する直前に周辺の魔力が大きく変化しています」
「そうだな」
「そして、この部屋の初回入室時がこれです。ほぼ変化していません」
「ボスが出現していないから、変わる要素がどこにもないのでは?」
「ええ、確かに。ボスが出現する時は魔力変化があり、出現しないときはありません。そのため、この魔力の変化はボスが引き起こしたものと考るでしょう。しかし、こちらのデータを見てください。第97層ボス部屋における魔力に含まれるマナの性質を、時間ごとにまとめたものになります」
「……」
「ここ、ボスが出現した瞬間にマナの性質が大きく変わっていますよね?」
「確かに、言われてみればそうだな」
「通常はこのようなデータは取得しないので、全く気づかなかったのですが、ここで一つの仮説を立てることができます。『ボス部屋入室直後に|ダンジョンが魔力の変化を起こし《・・・・・・・・・・・・・・》、ボスが呼ばれる』という説です。ややこじつけですが、このように考えてもおかしな点はありません」
「なるほど。それで?」
「この魔力の変化を起こすことができれば、|強制的にボスを出現させられるかも《・・・・・・・・・・・・・・・・》しれません」
「……なるほど。それをやろうとしているのか。具体的に方法は何かあるのか」
「ええ。このダンジョンは深くなればなるほど、出現時の魔力の変化量も増えています。通常の人では魔力が足りないと思うのですが、ホノカなら、行けるのではないかと思います。ね、ホノカ?」
「レオがいるならやれる」
「なるほど。わかった。ちょうど何も見つからなくて行き詰まっていたところだ。やってみよう。今からボス戦はできるか」
「「はい」」
「ならば、皆に周知をして攻撃準備をする。少し待っていてくれ」
「レオ、魔力切れで倒れちゃうかもだし〜? 魔力、繋いでくれるよね?」
「ふふっ、もちろんだよ。ほら、手貸して」




