表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
従妹と親密な婚約者に、私は厳しく対処します。  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/14

9話 パトリシアの気持ち3


 クレマンと私の険悪なやり取りを見ていたパトリシア嬢は、今より状況をもっと悪化させようとしているのが、丸見えのタイミングで話に割って入って来た。



「クレマン! 優しいあなたに、ミレイユさんのような薄情な人は相応しくないわ!」


「パトリシア……⁉」

 自分にしがみつくパトリシア嬢を、クレマンは眉をひそめて見下ろした。


 うんざりとした気分で、私はハァ──ッ……と、ため息をついた。


「……本当にあきれた人たちね」

(二人っきりでもないのに、抱き合ったりして。それも婚約者でもない人たちが! もう見ていたくないわ)


 私はこれ以上、この二人といるのが苦痛になり、今すぐにでも帰りたかった。


 そんな私の気持ちなど、パトリシア嬢が気にするはずもなく。

 クレマンに媚びた甘い声で、私を悪者にするための言葉をつらつらと並べた。


「だってクレマン、そうでしょう? さっきからミレイユさんは、ずっとあなたを責めてばかりだもの。婚約者なのにあなたのことを愛してないのよ!」


 うっすらと嘲笑を浮かべ、どことなく勝ちほこった態度のパトリシア嬢に、私も負けずに軽蔑する心を隠さず睨み返した。


「……フンッ」

(パトリシア嬢の言う通り、クレマンは私に相応しくない人かもしれないわ。……だって今は、クレマンが本当に私のことを好きなのか、わからなくなってきたから)


 パトリシア嬢から視線をクレマンに移した。


「……パトリシア!」

 しがみついて来るパトリシア嬢の両肩を掴み、意外にもクレマンは自分の身体から引き離した。 


 ぽろぽろと大粒の涙をこぼしながら、パトリシア嬢は訴える。


「私の方がずっとクレマンを愛しているわ! だって子供の頃からずっと好きだったから!」

「だからそれは、パトリシア…っ! 今ここでする話ではないだろう?」


 クレマンは動揺し慌ててパトリシア嬢の口を手のひらで塞いだ。  

 私は思わずハッと息をのむ。 


「……どういうことなの⁉」

(なぜクレマンはパトリシア嬢に好きだと告白されて、驚きもしないの? 『ここでする話ではない』ですって?)


 これまでクレマンはパトリシア嬢の気持ちを知らずに誘惑され。まんまと術中にはまっているのだと思っていた。


 ──でも、最初からパトリシア嬢の気持ちを知っていたのなら、話が違ってくる。


(クレマンはパトリシア嬢の気持ちを知っていて……婚約者の私よりも、パトリシア嬢を優先しているの?) 


 それはつまり……


「クレマンもパトリシア嬢を……愛しているの?」

 

「待ってくれ! 違う、ミレイユ! 僕たちはけして(やま)しい関係ではないから!」


「もう、やめて。クレマン! ……今は何も聞きたくないわ!」

(顔も見たくない!)


 私は滲みだす涙をこらえて、顔をそむけた。


「待ってくれ、ミレイユ!」

 

「クレマンと別れて下さいミレイユさん! 愛しあう私たちを引き裂こうとしているのは、あなたの方です!」


「パ……パトリシア!」


 私に婚約解消を迫るパトリシア嬢の言葉を、慌てたクレマンは遮ろうとする。

 

 そんな二人の姿を見るうちに。

 私の目にはクレマンよりも、パトリシア嬢の方が真実を語っているように見えた。



「……好きにすれば良いわ!」


 私はクレマンの顔を二度と見ること無く、その場を走り去った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ