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従妹と親密な婚約者に、私は厳しく対処します。  作者: みみぢあん


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16話 話し合い3


 自分の秘密を暴露した私に対抗して、パトリシア嬢は自分のお腹に宿る子どもの父親は、クレマンだと叫んだ。


 ザワザワとしていた食堂は一瞬で静まり返り。

 ハァ、ハァ、ハァ、……と興奮したパトリシア嬢の乱れた息づかいが、やけに大きく聞こえた。



「……っ…」

 クレマンは信じられない言葉を聞いたと、驚愕の表情を浮かべて絶句した。

 パトリシア嬢を支える手を離して後ずさった。



「あなたたちは……っ!」

(……まさか本当に、クレマンとパトリシア嬢は淫らな関係だったの⁉ 何て汚らしい人たち!!)


 心臓が胸から飛び出しそうなほど、ドクッ! ドクッ! ドクッ! と激しく拍動し。二人への嫌悪感で胃の奥から吐き気が込みあげて来た。


 手のひらで口を押えて、私は少しでもパトリシア嬢から距離をとろうと後ろへ下がった。

 青ざめて怯む私を見て、パトリシア嬢は嗜虐的な喜びを感じたらしく、残忍そうな笑顔が浮かぶ。


「そうよ、ミレイユ! 私のお腹の子はクレマンの子よ―――っ!」


 私をもっと傷つけようと、パトリシア嬢は甲高い声で叫び続けた。


「やっぱりクレマンは……浮気をして……っ!」

「ミレイユ、しっかりして!」 


 動揺して足がふらつく私を、隣にいたネリーが友人を支えようと声をかけ肩を抱く。

 激しく暴れる私の心臓はナイフで胸を刺されるような痛みを感じ始めている。 


「……っ」

 ネリーに支えられながら私は自分の胸をおさえ。大騒ぎするパトリシア嬢から、クレマンに視線を移す。




「パトリシア……」


 クレマンは呆然とパトリシア嬢を見つめながら、名前を呼んだ。でも、興奮しきっているパトリシア嬢の方は、クレマンに自分の名前を呼ばれていることに気付かない。


「私とクレマンは、愛しあっているの!!」


「パトリシア……」

「私たちは子供の頃から、ずっと愛しあって来たのよ──っ!」

「パトリシア……!」

「それなのに、あなたが私からクレマンを奪って……っ!」


「パトリシア―――ッ!!!」

 強い怒りに満ちた声でクレマンが怒鳴り、パトリシア嬢の腕を掴んだ。


「……あっ⁉」

 私を傷つけることに夢中になっていたパトリシア嬢は、怒鳴られて初めてクレマンに呼ばれていたことに気づいた。


「……パトリシア。これ以上、恥をさらすのは止めろ!」


 敵を威嚇する猛獣の唸り声に似た低い声で、クレマンはパトリシア嬢に警告する。


 クレマンの怒りを感じたのか、パトリシア嬢から残忍な笑顔が消えた。代わりに媚びるような表情を浮かべ。甘えた声で懇願する。


「ク……クレマン! ねぇ教えてあげて? あの人に……あなたは私を愛していると!」


 パトリシア嬢は私を指差し、クレマンの顔を見あげて訴えた。


 ……恐らくパトリシア嬢は『子供の頃から兄妹のように仲が良かったクレマンなら。ミレイユよりも自分を助けてくれるはずだ』とでも、思っているのだろう。


 ……だが、クレマンは予想外の言葉を口に出した。


「パトリシア、君は……そんな卑劣なことができる人間になれと、本気で僕に言っているのか⁉」

「クレマン……?」


 冷ややかなクレマンの声を聞き。私を攻撃することで熱くなっていたパトリシア嬢の頭が、いっきに冷める。


「僕には婚約者のミレイユがいるのに。君を妊娠させるような……僕はそんな卑劣で不誠実な人間だと。君は僕にそんな屈辱的なことを言えと? 君は僕を侮辱しているのか⁉」


 クレマンの目にパトリシアを軽蔑し嫌悪する暗い影が浮かんでいる。


「……クレマン、私は…っ!」


 パトリシア嬢は私に反撃しようとするあまり、判断を間違えた。


 私を傷つけるのではなく、クレマンの誇りを傷つけてしまったのだ。





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