10話:幻想郷の人々は宴会が大好き
紫が続けようとしたところで、誰かが外から障子を開けてそのまま居間に入ってきた。
諏訪子「ヨッ! 呼ばれたから来たよ」
魔理沙「お前がわざわざ来るなんて珍しいな、ここ座れよ」
諏訪子は軽く感謝して魔理沙の隣に座った
諏訪子「よういちまる。元気してたか?」
D-1104「ああ、おかげさまで」
紫 「チルノとにとりも呼んでるはずなんだけど、一緒じゃなかった?」
霊 夢「河童と妖精は気ままだから、来なくてもしょうがないわ」
D-1104は不可解なことに気が付いた
D-1104「なあ紫、なんで俺が知ってる連中だけ呼んであるんだ?」
紫 「貴方が幻想郷に着いた後、私の式神に監視させてたのよ。私はあなたを幻想郷に招いた後、疲労で動けなかったの。ちなみに貴方を連れてくる対象に選んだ理由は、知りたいかしら?」
D-1104「おおよそ予想はついているけど、答え合わせをお願いしようかな」
紫 「簡単に言うと、貴方があちらの世界の中で特に存在を忘れられている存在だったからよ」
D-1104「なんかそんな気がしてた」
◆◇◆◇
あれから30分ぐらい待っているが、いまだにチルノとにとりが来る気配はない。
霊 夢「いい加減待ちくたびれたわね。そろそろ始めてもいいかしら?」
霊夢がそう言ったところで、誰かが飛んで居間に直行してきた。
???「よう、呼んだかい?」
霊 夢「別にあんたは呼んでないわよ」
紫は俺に対して説明を挟んだ。
紫 「彼女は伊吹萃香よ。鬼の中で四天王と呼ばれるぐらいの強さがあるわ」
萃 香「それはそうと、見ない顔のやつが2人もいるじゃないか、今日は何の用だ?」
紫 「片方は別世界から来た人よ。ところで、あなたの力でにとりとチルノを呼び寄せることはできないかしら?」
萃香はお安い御用と返し、右手を肩のところに上げて手を閉じる動作をした。その瞬間、外で何かが落ちる音がした。そこにはスパナを手にしたにとりと凍らせたカエルを抱えたチルノがいた。
にとり「あいててて……急になんだ?」
チルノ「あっ、お前は萃香! 急になにすんだ!」
魔理沙「いやお前らこそ何としてたんだよ? 霊夢に呼ばれてたのを忘れてたのか?」
チルノ・にとり「あ、しまった」
それから診察のような形で、集まった人達に霊夢と紫の二人がかりで作業が行われていたが、こちらからは何をしているのかはよく分からなかった。しばらく待っているとその作業が終わり、今は居間でお茶を飲んでいる。俺だったらこのまま帰るが、何故か誰も帰る気配がない。そればかりか、何かそわそわした雰囲気すら感じられる。ついに一人がしびれを切らしたように話し出した。
萃 香「やっぱりこんだけ人が集まってたら、やることは一つだよね…!?」
何人かが萃香の方に振り向き、何人かは頷く。ブライト博士も資料かなんかを既に読んでるのか、特に困惑している様子もなかった。置いていかれてるのは俺だけのようだ。それはともかく、何かを忘れてるような……
魔理沙「やるぞー! 宴会!」
おー! という掛け声とともにここにいたほとんどの人が散らばっていった。
霊 夢「まったく、レミリア問題についてなんも進んでないし、誰が片付けると思ってんのよ」
そうだ、レミリア問題というものについて話し合うといった話だった。霊夢は愚痴をこぼしているが、顔はとても楽しそうである。
ブライト「幻想郷の連中は、宴会が大好きらしいな」
間もなくして、大量の料理と酒、そして人や妖怪が集まってきた。
一 同「せーのっ、乾杯~!」
そしてあっという間に宴会が始まった。もはやどれが人か神か妖怪かもはや分からないが、あちらでは変な傘を持った人が人の頭蓋骨を回し、こちらでは赤い頭が浮きながら酒を飲んでいる。とても楽しそうな雰囲気である。とりあえず知っている人の近くにいようと動き出そうとしたところを、例の穴から顔を出す紫に呼び止められた。
紫 「貴方も一杯どうかしら?」
いちまる「ありがとう」
紫は穴に潜った。彼女は帰ったのかと一瞬思ったが、先の方に猫又や九尾みたいな見た目の少女といるところが見えた。まあいいかと思いつつ、俺は宴会の雰囲気に飲まれていった。