ルンルン、お友達が遊びに来る
里山に暮らす夫婦の物語。
人里離れた山の麓にひっそりと佇む藁ぶき屋根の古い家。
そこには仲のいい夫婦が暮らしていた。アヒルのルンルンとカッパのパッパだ。
二人(2匹?)とも自分を人間だと思っている。
つつましやかでありふれた日常は、奇想天外な出来事に彩られていた。
ルンルンは朝から庭に出て、あっち行ったりこっち行ったりと、落ち着きなく空ばかり眺めている。
「どうしたんだい、ルンルン。そんなにそわそわして」
パッパはアーチェリーの練習をしながらルンルンが気になって仕方がない。
「うーん。来るかなー? 昨日の今日だしなー。川の向こうってだけ言ってあるけど、わかるかなー?」
空を見上げてはペタペタとせわしなく動き回るルンルン。
どうやら、昨日友達になったカモ達が来るのを待っている様子だ。
「ははーん。昨日知り合った鳥たちか。仲良く遊んでいたみたいだね」
「そう。うちに遊びに来てって言ったんだけど、場所が分かったかどうか心配なの。川の方を指さしたら、分かったような顔をしていたから大丈夫だと思うんだけど」
「そうだね。ここの川は枝分かれしてないし、家と言ったら僕らの所だけだから、間違えないと思うけど」
しばらくすると、遠くから何やら鳴き声が聞こえてきた。
ルンルンが叫ぶ。
「あぁーっ! 来たー」
三羽のカモが川沿いを飛んでいるのが見える。
カモも、ルンルンに気がついたようだ。
三羽のカモはルンルンの家の上空へとたどり着くと、一周旋回して庭に舞い降りた。
カモたちがルンルンとパッパのそばに駆け寄る。
ルンルンが話しかける。
「こんにちはー! よく来てくれたわね。待ってたわよ」
「クワァー、クワァー、クワァー」
三羽のカモ達は翼を大きく広げてパタパタと忙しそうにはばたきながら喜んでいる。
ルンルンも大喜びだ。しかし、パッパはどことなくよそよそしい雰囲気でいる。
パッパが遠慮がちに話しかける。
「やあ、カモさんたち、こんにちは。気兼ねなく遊んで行ってくれよ。ルンルン、僕は先に家に帰っているね」
「クワァー、クワァー」
パッパは伏し目がちな表情をしながら家の中に入っていった。
ルンルンとカモ達は庭でしばらく遊んだ後、すぐ近くの川まで行って魚取りをすることになった。
新しいお友達ができたルンルンは上機嫌だ。
しばらく遊んだ後、カモは元来た川沿いを飛んで湖の方へ戻っていった。
楽しく遊んで気分がよくなったルンルンが家の中に入ると、パッパが少し寂しそうな顔をしている。
ルンルンは心配になって話しかけた。
「パッパ、どうしたの? 浮かない顔をして」
「うーん。ルンルン、あのカモ達とお話していたね」
「そうだけど、それがどうしたの?」
「ぼくは、カモたちの言葉がわからなかったんだよ」
ルンルンの表情が変わった。
のんびりとした気持ちで読んで頂ければ幸いです。
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