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16話 口裂け女

口裂け女とは、

マスクをした女性が現れ、

「私、キレイ?」と問いかけてくる都市伝説である。


問いに対する返答によって行動が変化し、

場合によっては危害を加えるとされている。


この存在には明確な個体はなく、

語られる内容によって形や性質が補強されていく。


※本作では、口裂け女という概念を、

観測された現象として再解釈しています。

「はぁはぁ、……なんでついてくるんだよ!」


暗い小道に、悠真の荒い息だけが響く。


その後ろから


ガッ


ガッ


ガッ


金属が地面に当たる音が近づいてきていた。


どれだけ走って距離を離しても、音は何度も近づいてきた。


「はぁはぁ、そうだ!

警察、警察呼ばないと、」

スマホを取り出し、110番をかける。


「はい、事件ですか、事故ですか」


「助けて!追われている!」


「わかりました。今どちらにいますか?」


「わからない、今逃げてて」


ガッ


ガッ


「うわっ!」


「もしもし、もしもし、大丈夫ですか!?」


「はぁはぁ、クソッ!」

咄嗟にスマホを投げちまった。

馬鹿野郎……



ーー大通り


「修二くん?」


「いや、なんかパトカー多くないですか?」


「目撃情報あるなら、近くいるかもだし、

警察が捜査に来てるだけじゃないの?」


「そうなんですけど、なんか嫌な予感がします。

由美子さん、俺は小道に入ってみます。

由美子さんはどうしますか?」


「修二くんが行くなら、私も行こうかな。

ここに1人で犯人に遭遇したら怖いしね。」


ーー小道


「はぁはぁ、もう走れない。

うっ」


ガッ


ガッ


「頼むからいい加減、諦めろよ……」



悠真は走り続けた。



「おい、嘘だろ……」

走り続けた先は完全に行き止まりだった。


目の前にはゆっくりと近づいてくる

白いワンピースの女がいた。


ガッ


ガッ


「ねぇ」


悠真の前に立つと、女は語りかける。


「私、キレイ……」



「はぁはぁ、うわー‼︎」

呼吸が荒れる中、悠真は答えず

そのまま体当たりをした。


ぶつかった瞬間


ー冷たい。


人の体なのに、氷のように感じた。


カラン


女は転んだ。


悠真はその横を抜けて、

全力で走った。


ーー


「ねぇ修二くん、なんか音しない?」


「確かに、しますね

金属音かな?」


「はぁはぁ、修二!由美子さん!

逃げて!」


「どうしたんだよ、悠真お前、帰ったんじゃ…」


「どうしたの。そんなに慌てて、」


「やばい、見つかった。

遭ってしまったんだ。」


「急に何言ってんだ、落ち着いて……」


ガッ


ガッ


「なぁ、悠真もしかしてあれか?」


「ああ、だから早く、あれ?

ヤバい、お前らに会ったら安心したのか腰が……」


「…………マジか……」


ガッ


ガッ


「修二くん、逃げよう」


どうする……逃げながらでも口裂け女を観察できるチャンスなんじゃないか?


「いや、腰の抜けた悠真がいると、すぐに追いつかれます。

だから……俺が時間を稼ぎます。

由美子さんは悠真を連れて、近くの警察に」


「ダメよ!そんなの!

みんなで逃げよう修二くん。」


「大丈夫ですよ、危なくなったらすぐに逃げますから」

振り返って修二は2人を見る


「………修二くん絶対に無事でいてね」


「ちょ、由美子さん!?」


「……はい」


「今は行こう、悠真くん

きっと私たちがいる限り、修二くんは逃げられないから……」


「……ごめん、」


「そういう時はありがとうでしょ?

それに、みんな無事だった時に言いましょう」


ーー大通り


「警察の人!おーい!」


「警察の人!修二を早く!」


「ん?お前もしかして由美子か!?」


「え?叔父さん?

叔父さん早くこっち来て、早く」


「おい、ひさびさに会ったらなんだ!」


「犯人がいるの!早く」


「そうだよ、おじさん早く来てくれ」


由美子が叔父の手を引く。


「あーわかった。」


ーー小道


ガッ


ガッ


由美子さんと、悠真は逃れただろうか?

そう思いながら身構えていると修二はあり得ない光景を目にした。


白いワンピースにマスク、手には鎌を持っているが、そんなことよりも


「あれは……"影"か?」

まるで姉さんの時みたいに人に影が纏わりついている。

けど、姉さんとは決定的に何かが違う…


気がつくと、女は息がかかるほどの距離まで来ていた。


「……ねぇ、私キレイ?」


「………ああ、普通だ。」


「これでも?」

そう言って女はマスクを外した。


その口元を見て、背筋に寒気が走った。

その口元はまるで裂けた口を縫うようにホッチキスの芯で止められていたからだ………


「ねぇ、キレイ?」


「………」

そう聞いてきた女に俺はどう返せば良いかわからなかった。

見たことないタイプの影に目の前の異様としか言えない光景に思考が……まとまらなかった……


「ねぇ、キレイ?」


「………」


「ねぇ、キレイ?」


ガッ


ガッ


まるで返事を急かすように鎌を壁に当てる。


「はぁ、普通……だ。」


「……キレイって、キレイじゃない?」

そう言って鎌を振り上げた瞬間


バン!


後ろから鳴り響く発砲音と共に、修二へ振り下ろされる鎌が女の後方を飛んだ。


「手を挙げろ、

さもなくば、次は当てる……」


「あの、ありがとうございます。

危ないところでした…」


「君が修二くんだね。

話は聞かせてもらったよ。

危ないから下がってなさい。」


「はい」


「こちら真鍋警部補、

犯人見つけた。

これから取り押さえる。応援を要請する。」


「おい、もう一度言うぞ、

大人しく手を上げて、膝をつけ」


「私、キレイ?」


「……会話が成立しないな。

イカれてるのか?」


「刑事さん、あの人は何言っても反応しません。取り押さえた方が良いです。」


「どうやら、そのようだ

女に手を挙げる趣味はないが、しょうがない。

ふっ!」


警官はあっという間に女を制圧してしまった。

「15:39分犯人確保!」


ーー数分後

女はパトカーで連行されていった。


「修二くん、この後事情聴取があるのだが、

話せそうかい?

君には個人的に聞きたいこともあるしね。」


「はい、今日はありがとうございます。」


「修二!おいお前大丈夫だったのか‼︎

何もされてないか!」


「修二くん」

パシッ!


「ちょ、いきなり何するんだよ、由美子さん。」


「本当に今回は何もなかったから、良かったけど……

少しは自分を大事にして!」

そう彼女は瞼に涙を溜めながら言った。


「はい、すみません……」

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