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お久しぶりです。
そうと決まれば、何から手をつけていくべきかと思案する。
お兄様とお姉様は、まだベッドで大人しくしているようにと言い残し、部屋を退室して行った。
頭がキャパオーバーを起こして寝込んでしまっていただけで、いたって元気な私は、とりあえず、思い出した乙女ゲームの内容をまとめるために、窓際にある机に移動することにした。
誰かにバレると怒られてしまうので、音を立てないようにこっそりと移動する。
ゲームの始まり自体は、ヒロインであるリリアが平民でありながら、15歳の誕生日に無属性の魔法に目覚め、春になってディセントラ魔法学院に入学してくるところから始まる。
一応、この世界に魔法という概念は存在するのたが、魔力を持つ者は少数派で、王族や貴族が主であり、その者たちは生まれた時から魔力を持っている。
よって、15歳で魔力に目覚めるヒロインは特殊なのである。
まぁ、無属性という魔法自体も特殊なのだが…。
魔力を持つものは必ず15歳の春に、ディセントラ魔法学院へ入学しなければならないという、国の決まりごとがあるため、ヒロインも例外ではなく、平民でありながら学院に入学してくるのである。
まぁ、乙女ゲームでよく見る設定ね。
私にも魔力はあるようだけど、極微量。
容姿にステータス全振りしたからね。
容姿以外は、元々の私が基盤となっているようだ。
魔力はフェンネル家のおこぼれだと思われる。
話を戻そう。
リリアが学院へ入学してくるのは15歳。お姉様の年で考えるとあと8年後。
8年経たなければリリアとの物語は動き出さないはず。
この8年で何ができるのか…。
攻略対象たちと仲良くなれればいいのか…?
この時間内で攻略対象たちと信頼関係を築き上げることができれば、断罪イベントを回避できるのでは?と考える。
よく知りもしない奴を庇おうだなんて思わないだろうし、ヒロインの事の方がよく知っているのなら、そちら側の味方になってしまうも仕方のないこと。
お姉様は、婚約者以外の殿方と仲良くするような素ぶりは全く見せなかったから…。
ん?婚約者…???
アインハルト皇子のことを思い浮かべる。
ゲームの中で唯一、カメリアお姉様と交流の深いこのお方。
にもかかわらず、リリアの悪事を見抜くことが出来ず、リリアに絆されてお姉様を断罪する不届き者。
断罪イベントは、こいつが高らかに婚約破棄宣言をして始まる。
こいつを先になんとかするほうがいいか…。
もともと親同士が決めた婚約で、皇子はカメリアのことが好きではなかったとゲームでは描かれていた。
それにしても、婚約が5歳の頃に決まってから婚約破棄宣言をするまでの13年間。お互い寄り添って、高め合って来たはずだ。
そんなパートナーに断罪なんてイベントなんて…酷すぎる。
まずはこのポンコツに、物事の本質を見極めさせる力つけさせることから始めよう。
お姉様に惚れていただければなお良し。