要人ー神々の戯れ
武闘大会…
これも帝国の時からの名残か…
大会は開会式を無事に終えて今日のイベントは終了した、
まぁ、大会の初日は英気をやすなう為に二日目から本格的に開始される。
この一日置いて二日目から…って言うのはこの世界での古くから有るしきたりみたいな物…
そしておそらく何なかの問題が発生するならば明日…
バルベリトくん達がどうするのか…それが一番ミモノかな?
「“だが私たちの本体がその際復活しないかは謎、厳戒態勢をかえちゃダメ”」
僕と会話しているのは僕と同じくカケラの猫、
シュトリの使い魔だね、
開会式には使い魔を持って行ってはいけない為途中、偶然すれ違ったシュトリに頼まれた物だ。
何故頼まれたのかはピタゴラスの定理を解いた方が簡単そうだから考えないよ。
でもまぁ、こちらとしては好都合かな、
彼らは今は校舎の方でミーティングとかして居るかもだしね、
ダゴンくん達は大丈夫かな?
同室のモノとしては頑張って欲しいところだからね…
「おーい、デカラビア!」
僕が色々と考えて居ると僕の弟にして主である、
バルベリトくんが走って来た。
こら、伯爵家嫡男、
何度自重しろといっても聞かないね。
「はい何でしょうバルベリト様…」
僕は億劫な気持ちをおくびにも出さないで振り返った。
マジキムくんや松ぼっくりくんも居ると思ったけど一人見たいだね?
どうしたんだろう?
「なぁ…お前ベートーヴェンって知ってるか?」
?!ベートーヴェン?
あのルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの事?
もちろん知って居るさ…
音楽史上極めて偉大なる音楽家…
僕が最も敬愛する偉人だよ。
だが…
彼はこの世界には存在しない、
つまり僕はデカラビアとしては知らないんだ。
「いえ…存じ上げません」
まぁ、しってるなどと答え様モノならばえらい事になるのは目に見えてるけどね。
「そうか…じゃあ歓喜の歌って知ってるか?」
そりゃあつい最近フルートで吹いた奴だからね…
ただ、ここまで来たのでは僕も疑問を持って来た…
何故そんな事を聞いてくる?
まさか…いや、そんなはずは…
「なぁ…じゃあさ、お前があの時フルートで吹いて居た曲って何なんだ?」
僕は心臓が止まるかと思った、
まさか、見られて居た⁈
あれを?
そして僕が演奏した歓喜の歌も聴かれたって事?
「質問の意味が判りかねます…申し訳ありませんが私はこれで…」
僕は逃げようと背を向けた、瞬間、
腕を掴まれた。
「まてよ!わかんない分けないだろ?あの時お前吹いていなんだ、お前も…まさか」
バルベリトくんが限りなく正解に近い言葉をした瞬間、
メシア様が現れた。
「おい、少年、おいたはいけないぞ?彼女が嫌がって居るじゃ無いか?」
「シュトリ…様」
でた、年齢詐欺師、
今まで一回しか行っていないから覚えているヒトが居るかどうかはあれだけど、
彼は生まれてから六年しか経って居無いんだよね、
種族的には普通に成長して居るんだけどね?
「え?あんた誰?」
もう少し聞き方ってもんが有るよね?伯爵家次期当主、
「俺は『オルトロス』のシュトリだ、デカラビアには世話になってるからな」
世話をしたのは猫ちゃんだけだけどね!
あ、それと良い言い訳思いついた。
「バルベリト様…あの曲の事ですが…」
思い立ったが吉日、
シュトリくんも居る処だけど、別に問題はあるまいさ。
「アレは…母の故郷に伝わる歌だと聞きました…私と顔も知らぬ母との唯一の思い出なんです…」
八割嘘だけどさ、
顔を知らないって言うのは本当だから良いよね?
それにこう言う言い訳はバルベリトくんの心を抉るには十分過ぎる威力を持って居るしね。
こう言う偽善者にはさ、
嘘でも良いから悲痛な話をしてあげるのが一番だね。
「ご、ごめん…」
いえいえ、別に嘘ですから♪
気にしちゃいませんよ。
「俺も…かってに聞いて良い話しじゃあ無かったな」
決まり悪そうなシュトリくん、
バカじゃ無いの?バッカじゃ無いの?
こんな程度の事に悩むだなんてね、一度お祈りをした方が良いよ?南無阿弥陀仏。
☆
昨日から一日…
つまり大会二日目だね…
僕は応援席ではなく『忘れ教室』に居た、
それももちろん理由あっての物だがね?
「“まさかゴーレムがここまでの性能だとは思わなかったよ…これを本体の器の為の予備だけに遊ばせるにはもったいないかな?”」
このゴーレムはポティスちゃんのフラスコ計画が失敗した時の予備としておく予定だったんだけどね。
このゴーレムが覚醒前にこれほどまでに力を持って居事がわかったんではまずいね…
バルベリトくんに知らせるかな?
本体の好みそうな『玩具』だからね、
回答も本体が好みそうな物をだしてくれるかもしれ無いね…
こんな事を考える羽目になったのも本体の力が強くなりすぎた為…
それもものすごい早さでね…
このスピードのままだと大会が終わる頃には何なかの余波がこちらにくる可能性も有る…
だからこそより、こちら側に主導権が有る形に本体の復活の計画を進行させたかったんだけどね…
どうやらそれも難しいかもしれ無い…って感じかな?
でもまだ軌道修正が不可能で有る訳じゃ無い…
僕らの気まぐれな創造主に讃美歌を歌う為にはろうそくには消えてもらわ無いといけない、
限り有る輪廻の僕らカケラ…
ポティスちゃんの中に本体の魂を降霊させる予定だって言うのに…
「“本体の観測最優先、ゴーレムとポティスちゃんの計画は同時に進行させて、失敗し次第その方を破棄…さんな処かな?”」
僕は本体の意思代行体として本体が最も望む選択肢を指定する、
これが…唯一僕らカケラが運命を覆す方法だからね…
だが…
僕らが行おうとして居る事は必ずしも最良であると言う訳ではない…
特に現状維持を願う存在からすればこれは頭を疑いたくなる様な愚行…
目も当てられない様な愚者の集まりなのかもしれ無いけどね…
頭の中に浮かぶのは一人の少年…
ここまで胸が締め付けられるんだもん…
頑張りたくもなるよね…?
「“了解した…我々の創造主がどうアクションを取るかはわから無いけれど…かの少年に相談すれば…”」
かの少年…?
バルベリトくんの事かな?
ダメだよ…
バルベリトくんも確かに運命から外れた故にここに居るけれど彼には運命を塗り替える程の力は有りはしない…
それに…
「“万が一でも本体がやられる様な事があれば僕らカケラも無事じゃ済まないからね”」
まぁ、あり得ない事だろうけどさ、
祈りえばシュトリの方も面倒くさい事になる前にね…
彼の母親の死の直接的では無いにしても僕のせいでも有るからね、
ばれたら困るかな…?
だがカケラの少年の事も有るね…
彼らもおそらく主要人物…
運命に選ばれた存在かな。
だとしたら彼らは何なかの形で
悪を打つ事になるんだろうね…
そしてこの場合での悪とは僕の事…
いや、本体やそれを取り巻く存在と言った方が良いかな?
まぁ、どうせ浅慮な彼らにはそんな事はわかるまいさ…
バルベリトを中心とした正統派
カケラ少年のダークヒーロー、
シュトリはさしずめ謎を解く為の冒険家かな…?
彼ら主要人物は必ず結ばれる、
運命がそう言う形で集結しようとするからね…
だけどね…
僕は…僕らはそれじゃあ面白く無いんだよ…
例え誰もが望まないとしても他成らぬ僕が望む、
創造主の降臨、
世界を一つ犠牲にする事によってね…
「あの子達は必ず阻むだろうね、そしてその通りになるんだよ…運命だからね、だけど…」
本体はそれじゃあ面白がる事は無いさ…
なんたって退屈なだけで運命を壊したヒトなんだから…
だけど…
その本体も運命の申し子の前に敗れ去った…
主要人物…彼の弟の魂にね。
本体が復活しかけて居る今、
神々が何のアクションを行わないのは不自然だろうね…
だとしたら神が動くのは恐らく今夜…
バルベリトくんの夢の中にでも現れるかもしれないね…?
南無阿弥陀仏、全ては神のみぞ知る運命の集結へ。




