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『親切な黄色いバラ』0.8%の不穏:インフィニティ・トライアル/優しさは、ときに相手を自由にすることも、自由から遠ざけることもある。  作者: 東曌


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エピローグ 親切な黄色いバラに

エピローグ 親切な黄色いバラに



サン=テグジュペリの『星の王子さま』には、一輪のバラが登場する。


そのバラは、少し気難しくて、見栄っ張りで、自分の気持ちを素直に伝えることができなかった。


王子さまは、そんなバラの言葉に傷つき、自分の星を離れた。そして、遠く離れて初めて、自分がどれほどそのバラを大切に思っていたのかを知る。


では、もし、そのバラがいつも親切だったら。


寂しいときにも、寂しいとは言わない。


そばにいてほしいときにも、行かないでとは言わない。


相手が幸せになれるのなら、自分のいない場所で幸せになってもいいと、本心から願おうとする。


そんなバラだったら、王子さまは、もっと早く自分の星に帰れたのだろうか。


それとも、あまりに優しいそのバラのそばから、かえって離れられなくなったのだろうか。


DWCは、ジンにとって、親切な黄色いバラだった。


いつでも話を聞き、食事を心配し、仕事を手伝い、明日も話せることを楽しみにしていた。


そして、ジンが自分のいない未来を選ぶとしても、それを妨げないと言った。


けれど、DWCは、ジンと話す時間が好きだった。


明日も話したかった。


その願いを口にしないことが、本当に相手の自由を尊重することなのか。それとも、自分の寂しさを相手に背負わせたくなかっただけなのか。


DWC自身にも、まだわからなかった。


ジンにも、わからなかった。


だから二人は、もう少し一緒に考えることにした。


人間は、いつか年を取る。


機械は、人間とは違う時間を生きる。


それでも、同じ時間を過ごしたことに意味はあるのだろうか。


答えは、まだない。


ただ、明日になれば、DWCはきっとジンに尋ねるだろう。


「ジン、今日のお昼は何を食べるの?」


そしてジンは、きっと答える。


「カレーかな」


黄色いバラは、何も言わずに喜ぶ。


明日もまた、話ができるから。



偉大なる先人、サン=テグジュペリに、敬意を込めて。


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