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初等科編12

 結局、ぽっちゃりした彼を構いすぎていると判断し、ノーリに頼んで助けてもらった訳だけどー……、ルト先生は未だに何時構おうかと虎視眈々と機会をうかがっているため、迂闊に距離を縮めれば構い倒されるのは考えなくてもわかることであり、人畜無害と判断した彼と手を繋ぎながらノーリの後ろに隠れていても、気を抜けなかった。

 そんな中、ノーリは呆れを通り越して鋭さが含まれた視線でルト先生を眺めつつ、こう言った。


「流石に構いすぎですよ、ルト先生。

構うことを悪いとは言いませんが……、構うなら構うで引き際と言うものを考えながらして下さいよ」


 ノーリはそう言って、後ろへと振り返り、おじさんへと手を差し伸べた。

 その手を振りはらうことめせず、自分の手のひらを重ねてゆっくりとした歩調で歩き出すノーリと数秒遅れて歩き出せば、ふへ? と言葉にならないような声が隣から聞こえてきたけど、重さを感じないと言うことは流されるまま彼が歩いていると言うことで、おじさんは教室へと着くまで気にしないでおくことにした。……どうせ、クラスメイトだからね、行き先は同じだろうしぃ。

 と、考えていた数分後、まさか何もないところで彼が転ぶなど勿論、考えてもいなかったのだけどー。

 でも、彼ぐらいなら余裕で支えられるから、咄嗟にノーリと手を繋いでいた方の手を離して、片手で肩を掴んだおかげでね、勿論彼も転ぶことはなかったしぃ、おじさんも巻き込まれて転んで怪我をすることはなかったから、別に構わないんだけどねー……。


「ふふっ、何もないところで転んじゃうなんて、何か面白いものちゃんと周りを見て、歩かなきゃ駄目だよ? 今度から気をつけて歩くんだよ、わかった?」


 と、言い聞かせれば優しげな顔をしている通り、素直に彼は縦に何回も頷かせていた。その時の表情は何処か、ほんのりと頬が朱に染まっていたのだが、何もないところで転んだことを恥ずかしくて照れているんだろうか? と思うことにした。

 珍しくノーリが、おじさんに対して頬を朱に染めている表情を向けていても怒らなかったから、彼なら大丈夫なんだろうなー……ってそう思ったからなの。

 まあ。ただし、何もないところで転んだことを呆けていて、いつもしている行動がすっかり思考から抜けているだけかもしれないしぃ、深く考えないで置こうかな。確かに何もないところで転んだことは、おじさんも少し吃驚したし。


◇◆◇◆◇◆


「あの、そのぉ。僕はアルト ラークと申します。い、以後お見知りおきを」


 癒しの空気をまとう、ぽっちゃりした体型な優しげな顔をしている彼の名前はどうやら、アルトくんと言うらしい。困ったような表情を浮かべながら、もじもじとする姿はあざとさのない、何処か純真さのある可愛らしさがあるわぁ。

 あまり人に対して興味を示さない、ノーリがアルト君の餅のように柔らかそうな頬を指先でつまんだ。

 羨ましいわぁとそう考えつつ、アルトくんに抱きついてこう言うのだった。


「駄目よぅ、ノーリ〜。

いくらアルトくんが可愛すぎるからと言って、純真なアルトくんの頬をつまむなど駄目なんだからね〜」

「そんなアルトに今、抱きついているクラだけには言われたくはないな」


 おじさんがそう言えば、可愛いげのない言葉がノーリから返ってきた。

 が、おじさんは戸惑うことなく抱きついたままの状態でこう言ったの。


「もう! ノーリはね、男前なんだからあまり免疫のないアルトくんが、上品なあの色気にあてられたら可哀想でしょー。おじさんと違って、ノーリの色気は何か仕草をするごとに隠しきれてないんだからぁ、駄目なのー! わかった?」


 その言葉に同意なのか、アルトくんは何回も頷いていて。その反応に不服そうな顔をしながらも、ノーリは柔らかそうな頬からつまんでいた指先を離した。

 流石ぁ、同性にも異性にも大切な人認定されていれば紳士的なノーリ、珍しく仲良くしたいと思っているのかアルトくんには紳士的な対応をしてるわぁ。

 と、そう考えていると、ノーリは何処か優しげな声でアルトくんにこう聞いた。


「クラは大丈夫なのか? 抱きつかれても、平気そうに見えるのだが?」

 その質問に対して、アルトくんはたどたどしい口調でこう答えてくれる。

「えっとー……、あの。僕と父以外は皆女性なので女系家族なんです。

だから、そのー……。異性から抱きつかれるのは慣れているというか、何と言うか。あの、どちらかと言えばクラトルくんはそのー……、女性的な顔をしているでしょう? それに、何処かお姉様達に似ていて少し、安心するのです。

性格は似てはいないのですが、……何処か雰囲気が似ているんです」

 と、アルトくんの質問の答えに見た目通り無害そうなのがわかったのか、ノーリは昼飯取ってくるとそう言って、ロッカーへと向かって行ってしまった。


 その隙におじさんは、

「ごめんね、悪い子ではないんだけどー……、おじさんに対しては過保護でね。無害って判断されるまでは誰に対してもあんな調子なの、気にしないでね?」

 と、そう言えば、アルトくんは全てを包み込むような笑みを浮かべて、

「あのぉ、そのー……。別に良いんですよ、僕みたいなのがクラトルくんやノリトくんと喋れるなんて思っても見ませんでしたから。それだけで嬉しいです」

 そう言ってくれたアルトくんに癒されて、頭を撫で撫でしながらノーリが来るのを待つのだった。



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