おじさんの修行な日常〜森編〜
森生活七日目。ハンモックの寝心地はいい感じなの。湖で生活していた時にはボートで眠っていた時よりも首を痛みを感じなくて、良い睡眠をしたなぁ〜とそう思える。おじさん、二ヶ月も森で過ごしていたら野生化しそうで、自分でも怖くなってきたわぁ。
そうそう、今ね。おじさん、欲しい物があるからジークさんの家の前にいるのだけど……、怒られちゃうかなぁ?
ま、怒られたら怒られたでその時だよねぇ。言ってみるだけしてみよう!
と、そう決意したと同時にドアは開かれ、ドアとおじさんの額は直撃した。
――ドアと額がぶつかった瞬間、凄い音がしたよぉとそう考えながらおじさんは地味な痛さを感じ、思わず涙目になってしまう。
「……何か用か?」
あまりの痛さに額を撫でるおじさんを気にせず、家から出てきたジークさんはそう言った。が、地味に痛いので少しだけ睨み付けながら見つめれば、若干申し訳なさそうな顔をしながらこう言う。
「……すまなかった、見えなかったんだ。申し訳ないとは思ってる」
と、そう言葉にした後、ジークさんはおじさんの額に手を当て、何か呪文を唱えればジンジンと頭に響くような痛みは、その痛みが最初からなかったかのように思えてしまうくらいに一瞬で消えた。
――これが回復魔法かぁ。と、呆然と考えていれば再び、ジークさんは淡々とした口調でこう言った。
「……何か用があって来たんだろう?」
そう言った声は今までで聞いた中でも、……一番優しい声だった。
見た目が強面だからって、表情が無表情だからってその人が優しくないとは限らないことを、おじさんは良く知っている。
ジークさんは間違えなく、見た目だけで子供を泣かしてしまう容姿をしているし、体格だってなかなか良い。……ま、整いすぎて怖いと感じてしまうくらいに彼は凄く美形だ。確かに彼は無表情で、淡々としているけど〜……おじさんに向けられた視線は優しいものだったの。
どうしておじさんの周りの大人は、無表情な人ばかりなんだろうか。
まぁ、恐らくは表情から情報を読まれないようにするためだろうけど。
それにしては徹底しすきだよねぇ、怪しまれない程度に愛想笑いはしなくちゃ。一般人、他国の騎士として潜入するなら……怪しまれないように演じるのも大事だからねぇ〜。
もう一つ可能性のある考察もあるんだけど、こちらの方が真実に近いかもねぇ。
恐らく騎士とか、賢者などなどの重要な立場にいる人は守秘義務なんだろうなぁ〜……。守秘義務の情報を持っていることを表情から、誰であろうが悟られちゃいけないからねぇ〜。
おじさんもほわほわすることで隠す癖が直らないし。まあ、元々からマイペースだったし……、この癖を直す必要性を感じないからねぇ。自分の個性として開き直るのが一番だよぉ!
ま、深く考えても答えが出る訳じゃないしねぇ。さっさと用件について、話すことにしますか〜!
「スコップとバケツ、貸して欲しいのです〜。森の中だったら好きに過ごしていて良いのでしょう?」
「ああ、良いぞ。待ってろ。持ってくる」
と、おじさんの頼みに、ジークさんはあっさりと了承した後、頼んだ物を取りに行ったのか家の奥の方へと消えていった。




