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おじさんは馬車に揺らされて……。

 自宅の食堂にて、

「君に護衛をつけた理由をちゃんと話しておこうと思う。……護衛をつけようと思った理由は二つ。

君に弟が出来たのは知ってるな、君の母上はお腹の中にいる子を護らなければならない。今、他の大陸二つの争いが起きているのだが、争いには魔法使いは強力な戦力だ。そのため、この大陸の魔法使いの連れ去りが増えている。君の母上のお腹には新しい命が宿っている、今の彼女では君まで護っている余裕がない、それが理由の一つ目」

 と、朝食を食べ進めながらおじさんは父上の話をしっかりと聞いていた。

 護衛をつけた理由を話すと言うことは何か、おじさんに話しておかなければならない話があると言うことだろうと思うしぃ、今まで居なかった護衛が急につき始めたのも気になるは気になるし〜。

 真面目に聞いてますよ〜と態度に表すために、おじさんは縦に首を振って父上の話に相づちをうつ。

 そんなおじさんの態度に話を理解していると判断したのか、父上は一度止めていた話を再開し始めた。


「理由二つ目としては、父上では“天の歌姫に愛された者”の加護の能力を満足には教えられない。幼いうちからコントロールを覚えておいた方がクラトル、君の為にもなるだろう。

それに身内では本当に厳しく指導が出来ない、幼いうちから厳しい環境を知っておきなさい。……ここは戦争はないとは言え、魔物を倒し生きていかなければならないことには変わらない。

クラトル、君には魔物退治で死んで欲しくない……だから、とある賢者の元で修行しに行って来い。“なかなか強い”と賢者に認められるまでここには戻ってくるな。……とは言え、今のクラトルは何も力がないと言う状態と同じだ。

その賢者は絶対に何があろうと攻撃的な魔法は使わない、万が一の為に護衛をつけさせて貰う。……以上、二つの理由から君には護衛をつけさせて貰った」

 と、父上は柔らかく優しい親の目付きをしながらも、真剣な表情でそう言った。

 ――おじさんの為にしてくれていることだ。拒否する必要もないでしょう?

 そうおじさんは考えながら、父上に向けてニッコリと微笑み、こう言う。


「何時から修行に行くことにします?」


◇◆◇◆◇◆


 あの話し合いをしてから三日後。父上は馬車の出発の用意をしてくれていた。

 ここは歩きで行くもんじゃないの、とそんなお決まりを少しだけ期待していたのだけど〜、どうやらここら辺の魔物はなかなか手強いものが多いらしいから、馬車移動なんだって。

 で、この馬車ね。おじさんの師匠になる賢者様が手配してくれた、防御魔法付きの馬車なんだって! 帰りは歩きで自分の屋敷まで戻らないといけないみたいだけど。……おじさん、どんな辛い修行でも耐え抜いて見せるぞぉ!


 ……と、意気込んでいたのは最初のうちだけでした……。ただいま馬車に乗り始めて一日が過ぎました。馬車が通る道は砂利道か、獣道を馬車が通れるくらいの広さにした道だらけで。おじさんのお尻は痛いし、馬車に乗ることが習慣になっていないからか、車酔いし始めたし。

 はあ、苦行だわぁ。休憩あるのかと思ったらないし、おじさんは三日くらいは食事しなくて平気だから良いけど、流石に一日馬車に乗ったままなのは辛いわぁ。弱音吐きそうぅ〜!

 まさか、ここから修行が始まってるの? うわぁ、地味に苦行だわぁ〜!

 でも、けして愚痴は声には出さない。おじさん、強い子! ……内心だけでも自画自賛しとかなきゃ、辛いのです。察してやって下さい……。


「ふふっ、クラトル様。あと五時間ほどしたら着きますので頑張って下さい」

 と、アイリスさんはそう励ますようにそう言ったけどぉ〜……。今のおじさんにはあと五時間、とポジティブには考えられないのです。ああ……、まだ五時間も馬車に乗らなければならないのね……。

 そう表情には出さなかったものの、内心では絶望を抱いているおじさん。

 そんなおじさんの内心を察してか、

「……クラトル様に止めを刺すようなことを言わないで頂きたいですね、アイリス殿。まだクラトル様は馬車に乗ることが習慣づいていらっしゃらないのですよ」

 と、シルフくんはアイリスさんにそう注意してくれたが、彼女は何がいけなかったのか分かっていないらしく、こう言う。


「へっ? 何でです? 着く時間が分からないより、分かった方が良いかな……と思いまして教えただけなのですが」

 と、アイリスさんはそう言葉にする。が、おじさんには反論するまでの気力がなく、内心でこう呟く。

 ――確かにアイリスさんの言うことは一理あるけどぉ〜、嫌なことをしている時ほど時間は長く感じるものなのですよ。と、内心でそう呟いた後、おじさんは五時間経つまで静かに待つことにしたのだった。



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