二十八話 桐嶋竜耶―――職業:勇者
・・・・・・・・・・なにも言うことが御座いません。
もともとプロットなしで小説を書こうなんて言う素人同然の考えで挑んだことが間違いだったのですね。
そろそろ学業も忙しくなってくるし、潮時かもしれません・・・・・・
「にゃはははははははは! その驚いた顔、サイッコーにウケるwww」
なにが起こったのか、この場の誰もが理解できていない。
分かっているのは、異様にテンションが高い若い男がリョーカの身体の上に座って手を振っていることだけだ。
皆が口を開けたまま固まっていると、足元から声が聞こえる。
「キミは誰だい?」
「!!!!!?????」
リューシアとミリーが眼を見開く。
そこには怪訝な表情をしながらも、自分の上に座っている人物を見るリョーカの姿が。
しかしそれ以上に驚いたのは、リョーカの口調である。
「お兄ちゃん―――――じゃない!」
「いやだなぁリューシア、正真正銘俺はリョーカだよ」
「お父さんは、そんな、優しくしゃべら、ない」
「どれだけ信用がないんだか……」
確かにふたりの言い分も当たり前のものなのだが、それでも容姿はリョーカのもので間違いない。
最初の一声に関して言っても、前のリョーカなら「誰だ貴様は」くらい言いそうなものだが、だが目の前の人物がリョーカであることは間違いない。
「おおっとごめんねぇ。急にアイツが出てったから光属性の魔力が溢れちゃって。しかし面白いなぁその口調wwwwwもうそのままでいいんじゃなぁい?www」
「ふざけないで」
竜耶のひとりごとに割って入ったのはミリーである。
自分の剣を竜耶の首に突きつけ、脅すような声色で言った。
「ごめんごめんwwwじゃあちょっとは元に戻るようにしよう」
そう言って竜耶がなにをするでもなかったのだが、数秒経つと急にリョーカの顔が不機嫌になり、言い放った。
「………なんださっきの俺は。死にたい…」
「あぁ、お兄ちゃんだー!」
「お父さんだ」
「口調で俺だって認められることになにも思うところが無い訳じゃないけど、まあ良いか」
問題は、とそう続けてリョーカは竜耶を見つめた。
「やだなぁ、そんなに見つめられると……照れるよ///」
「照れんなよ気持ち悪い」
いつもの毒舌も戻ってリューシアとミリーも一安心といった表情を見せた。
だがやはり問題はリョーカの身体から出てきた得体の知れない人物。
「お前の正体はだいたい検討がつく。元勇者さま」
「もうネタバレは済んでるんだけど、この人たちが信じてないんだよ。キミからなんとか言ってくれないか?」
「そこまでしてやる義理は無いな」
「あるよ」
そこでリョーカの眉がピクッと反応した。
まさか、と小さく声を漏らしたあと、竜耶がニヤリと笑う。
「キミが『俺はまだ生きなきゃならねぇんだ! リューシアのためにも……!』とか言うから奪われた心臓の代わりを作―――――」
ここで目を輝かせたのは、もちろんリューシアである。
「お兄ちゃん……!」
「ち、違うしっ! そんなこと言ってねぇ!」
「ツンデレ乙」
「テメェは簀巻きにして川に流されてぇのか、あぁ?」
「にゃははははははは!」
珍しく顔を赤くするリョーカを竜耶は笑いながら、リューシアは感動の眼差しで、ミリーは物珍しそうに見ていた。
そうして一番に冷静さを取り戻したのはミリーである。
「貴方は勇者だった、らしいけど、本当に?」
「ミリーちゃんとやら、年上の言うことは無条件に信じなさいよ~。それとも、証明してほしいとか?」
「止めろ」
リョーカは止めに入った。
「お前が証明とやらをしたら、ここら辺一帯が無くなる。そう、それはまさに
「「ドラゴン〇ールのように」」て俺のセリフ取るんじゃねぇ!」
「にゃはっ、キミはいつからギャグ要員になったんだい? にゃははははははははは!」
「つーかその笑い方、いちいち癇に障るんだよ! そしてなんでド〇ゴンボールをお前が知ってんだ!」
「やだなぁ、キミも仮説を建ててただろぉ? 時間の流れがどうとかって」
リョーカはなるほど、と思った。
(やっぱりこっちの世界と地球じゃ時間の流れが違うのか。しかしこの時間のずれ方は異常だ。何百年単位と十年そこらじゃあまりに違いすぎる)
「時間の流れ?」
ミリーがその単語に首を傾げたが、リョーカが「気にすんな」というと取り敢えずは納得したようだ。
「因みに僕は1996年生まれ―――」
「黙ってろ! 危うい言葉ばっか言いやがって」
(俺が異世界出身だってばれたらどうなると思ってんだ!)
(いやぁ、済まないね。ついwww)
(つい、で済まされる問題じゃ―――――ってなんで俺と会話できてんだよ!)
(ま、それはおいおい)
リョーカは竜耶と話しているとどうもおちょくられている感がするのだが、取り敢えず我慢している。
今の状況では無駄な時間を浪費できる時ではないのだ。
「話は纏まったか?」
魔族三人のリーダー格らしき男、ガンダックが頃合いを見計らって話しかけてきた。
全然纏まっていないんだが、とリョーカは思ったがこのさい仕方のない事である。
「あぁ。でお前らはケイって人からの紹介で来たんだよな」
「そうだ。お前を連れてこい、とな」
「早くしないとぉ、街が無くなっちゃうんじゃないかしらぁ~」
「じゃあ、早速行くか」
リョーカが皆を連れて走り出そうとした時に、また声が聞こえてきた。
【まて、リョーカ】
「ん、だれだ?」
リョーカは周りにいるみんなを見たが、全員が首を横に振る。
しかし確かに聴こえてきた声。
どこかで聞き覚えがある声だったような………
「これはこれは、キミは出て行ったと思ったら、そういえばリョーカに負けたんだったね。道理で最近気配を感じなかった訳だ」
「なんのことだ?」
「リョーカも一度戦っただろ? その時は、僕はコイツに封印されてたから見てただけだけど」
【我だ……魔王、佐藤明人だ…】




