エピローグ
「・・・・・・ここはどこだ」
次の瞬間、俺は見知らぬ道の真ん中に突っ立っていた。
後ろを振り向くと、かすかにヴィントクラーデの城門が見える。
周りには人影も無ければ、生物の気配もしない。
彼女は彼女なりに気を使って、この場所に出してくれたらしい、が。
「全くわからん」
見知らぬ道であるところから考えて、行きに通った道ではないだろう。
ヴィントクラーデの方向から辺りをつけて地図で調べようと、懐に手を突っ込み地図を探す。
「・・・・・・あれ?」
魔力結晶。
筆記用具。
コンパス。
応急手当用の絆創膏。
財布。
手帳。
本。
剣を研ぐ為の砥石。
色々と出て来はするのに、肝心の地図が出てこない。
「・・・・・・もしかして」
そういえば、王宮であの設計図を出したとき、何か紙の束のようなものが落っこちた、ような気がする。
今思えばあれが地図だったのかもしれない。
「はぁ・・・・・・」
拾って置けば良かったかな。
大きくため息をつき、がっくりと肩を落とす。
「・・・・・・仕方無い、か」
ヴィントクラーデと逆の方向に歩いていけば、恐らくいつかはどこかにたどり着くだろう。
場所も日時もそこで確認すればいいか。
開き直って、一回伸びをして、歩き出す。
と、その時。
「やっと見つけましたよ、アインさぁーん!」
どこか、遠くから微かに聞こえる声。
ぞわわ、と背中に寒気が走る。
「・・・・・・・っ!」
気づいたら俺は、声にならない声を上げながら走り出していた。




