第十一問合格試験偏6
次回で合格試験偏終わるかな。
試験官のいるところに向かう一陣の風。それの正体は……。
『グオオオオオン!』
甲賀改めみーくんに乗る陸たち。
「時間は残り少ない。ここで試験官に、一発当てないと合格はないな」
「「「……」」」
陸の言葉に全員はじと目で見つめていた。
「おい、俺が悪いのかよ!?」
陸の叫びをスルーして芹香があえて話題を変えるように促す。
「……?(まぁまぁ、それより作戦はどうするの陸君?)」
「ああ。それだが俺たち全員で仕掛ける相手だが筋肉質な試験官だ」
芹香の問いに陸は淡々と答える。
「それで大丈夫なのリッくん?」
ひばりの疑問に
「大丈夫もなにも小細工なしで倒すには現時点では、その試験官以外は無理だ」
陸はため息をつきながらこれからの指示を決める。
「なるほど。つまり、正面から仕掛けるというわけか」
「残り時間は少ない。それ以外に方法はない」
龍星が理解すると陸は頷いてそう告げる。
「で…でもでも!、奇襲っていう手がっ」
「「ない」」
ひばりがそう言うけどすぐ様に否定される。
「どうしてなの、リッくんにお兄ちゃん?」
「「その試験官に隙なんかない。それに合格条件は試験官に一発当てる事だ。
倒すことじゃない。
だが……俺達は、筋肉質の試験官を倒すと一次試験に言ったがな」」
つぐみの問いに二人は真剣な様子で答える。
しばし沈黙が流れてから
「ふう。やれやれ…だな」
「ほんと仕方ないな」
「わふう?」
「……(うんうん。ほんとりゅうくんに陸らしいね)」
どちらもこれからの気苦労を思うとため息が出てしまい、白姫は不思議そうに芹香は笑顔で言う。
そのころ試験官は、と言うと……
筋肉質の試験官のこと高村試験官は学園が管理する草原で腕を組んで待っていた。
時おり腕時計を見ながら試験官は楽しそうにしていた。
いや詳しく言うのなら獰猛な笑顔を浮かべながら待っていた。
「……残り時間は少ないそろそろ仕掛けてきたらどうだ?」
草原の傍にある森の中で隠れている候補生に言っている。
「俺を倒すんだろう?」
否…龍星たちに話しかけているようだ。
その言葉に龍星と陸は森から姿を現した。
「ふん、言われなくても仕掛けるさ」
「そうだぜ。それにあの時の決着ついてないからな」
当然のように挑発は忘れずに。
「面白いかかってこい!」
「行くぜ!武神装甲!」
『コオオーーー』
森から高村試験官に向って走りだすと同時に龍星は、赤い色の鷹メカを投げると同時に鷹メカは変形しだした。
龍星の両腕に足パーツが装備されるとナックルに変化し、
龍星の体に胴体パーツが装備されると赤い着物と青い袴に変化し、
鷹メカの頭のパーツは大剣に変わり右手に装備され背中に翼を装備してそのまま大剣を振り下ろした。
「ふっ!」
ガッキン(大剣を何かで受け止める音)
「……なるほど。式神との融合によるスピードアップか。
確かにそれなら当てる事は、たやすいだろうな。俺以外ならな。だが……甘いわ!!」
「「甘いのはそっちだ(ぜ)!」」
龍星が振り下ろした大剣を風で止め高村試験官は腕に風を纏わせ、
カウンターを放つが陸の風の壁により、相殺されわずかに隙が、そこに龍星は蹴りを放った。
「ふん!甘……む?」
高村試験官は蹴りを掴もうとした手を止め変わりに水を纏って方で蹴りを掴むと、陸の方に向けて投げ飛ばす。
「ぬわぁーっ!」
「……マジかよ」
化け物じみた試験官の行動に陸は、信じられない物を見る目で見ていた。
だがこのまま呆然としててはいけない。
なぜなら試験官に足を掴まれ投げ飛ばされた龍星のことを忘れててはいけない。
このままいけば衝突は避けられない。
しかし、陸は避けようともせず龍星も逃げろとは言ってない。
「避けなくっていいのか?」
「避ける必要はない」
「そうだぜ。試験官。陸が避ける必要はないぜ」
その事に不思議に思ったのか試験官が聞きかえすと陸は笑っていた。
投げられている龍星も焦っている様子はない。
「なら何だと言うんだ?」
「「なぜなら当たらないからだ!」」
不敵の笑みを浮かべる陸に試験官は聞きかえしていた。
聞きかえされた二人は揃って同じ言葉を放った。
陸に当たりそうになった瞬間にくるりと回って着地した龍星。
彼らのいう通り。確かに当たらなかった。
「深い信頼を感じるが……見てるこっちはひやひやするな」
「「だったらするな!!」」
当たらなかったことに安心した試験官は文句を言うが、二人は言い返えした。
閑話休題
「ちっ、そう簡単にはいかないか。俺の見立てでは風属性は苦手の予想は当たっていたのだがな」
「ああっ。ただの蹴りと見せて炎を纏わせていたのにな」
舌打ちをする陸と龍星は苦笑いしながら呟いた。
「それだけでなかろう。あの炎には風の気配を感じたぞ」
「「……」」
試験官の言葉に沈黙する2人。
「読みは良かったがな…」
「ならこれでどうだ!風の牙」
試験官がため息をついているとすぐに行動を起こす。
ドスッ!
大剣を地面に刺す音が響いた。
ウィン
ナックルについている爪が展開される音も響く。
「ファイアナックル!」
「展開せよ大地の壁。ふんぬぅぅぅぅぅっ!」
鋭い風と炎の拳を叩きつけるが大地の壁が展開され遮られ届かない。
ドッカッカッカッカカッ!!
ズッズズッ
「「……まだまだ!」」
「今度は、こっちの番だ。炎が得意なのはお前だけじゃない。
火炎爆発!」
「水よ我らを守る盾となれ水の壁!」
ドーン!
炎の攻撃と
バッシャァ!!
水龍の壁がぶつかり合う。
「剣よ敵を焼き尽くせ!爆炎放射、秘剣・轟火剣嵐!」
「何の!トルネード」
試験官と龍星達の戦いは拮抗していた。
ドッカッカッカッカカッ!!
そんな攻防が続き、残り時間はあとわずかになっていた。
「がはっ…」
「くっ…」
龍星と陸が膝を付く。その身体はボロボロだ。無理もない。
いくら拮抗していても経験の差には、抗えず身体に少しずつダメージが蓄積していたのだ。
「どうした、ルーキー!お前らの全力はこんなものなのか!?」
強気の発言だが高村試験官も気を抜けば、崩れ落ちそうな身体に力を込め龍星と陸に呼び掛ける。
「へっ!んな訳ねぇだろ?」
「当然だ! 俺達の勝利は確定したからな」
ニヤリと笑い、立ち上がる龍星。
狙い通りと言い、よろよろながらも立ち上がる陸。
「ふっ、さぁやろうか!これが最後の勝負だ!」
高村試験官も不敵に笑い、拳に砂を集め固めるとそれを握る。
龍星と陸と高村試験官が互いに笑い、そして動きだす。
「「オォォォラアアァァァァァッ!」
「オオオオオォォォォォッ!」
陸の拳に風を纏い龍星は大剣に炎を収束させ刀身が炎で熱され真っ赤に染まる。
「行くぞ!・・・・・ぬ!?」
高村試験官が走りだしたその瞬間に突如大地が勃起し試験官の足を掴んだ。
「くぅ~。何とか捕まえれたよリッくん、龍兄」
「まだまだ続くよ!水よ戒めとなりて拘束せよ水の鞭」
それを実行したのはひばりとつぐみだった。
「……(これで止めだよ。行くよ?しろちゃん)」
「わきゅう♪はい、お姉様。氷と風の舞はそう簡単に破れません」
芹香と白姫は笑顔で頷き合うと
「「ブリザード!」」
吹雪の魔法を起こす。
ビュウゥゥゥ!!
「ぬおぉぉぉぉ!!これが海谷お前の策か?」
「さぁそれはどうかな?」
試験官の問いにあえてとぼける陸。
「悪いが、これで倒させてもらうぜ!」
龍星の声と共に
「「ファイアトルネード!」」
2人の最後の一撃が放たれる。
「おおぉぉぉぉぉぉ!!」
ドッカン!
そして崩れ落ちる人影。
キーンコーンカーンコーン……
試験終了のチャイムが鳴った時、立っていたのは……
「俺たちのっ……勝ちだあぁぁぁぁっ!!」
ボロボロの龍星と陸とふらふらになりながらも笑顔を浮かべている芹香たちだった。
「見事だ、ルーキーどもいや龍星に陸。それに榊芹香、榊白姫、支倉ひばり、雨宮つぐみ。
君達は、合格だ。しかし、まさか本当に約束通り俺を倒すとは、思わなかったぞ」
試験官はヨロヨロと立ち上がりながらも優しい笑顔で誉めていた。
「有言実行が俺達のポリシーだからな。だが、こんな事は、もう、二度と、ご、め、ん……」
「今回は運が、良かった、だけ、だ、か、ら、な……」
ドサッという音と共に倒れる龍星と陸。
「わ、きゅう……」
「…、……(流石に、限界だね)」
「ふみゅう」
「そ、そうだね」
その場に座り込む女性陣。
どうやら限界を越えたようだ。
「やれやれ、無茶をする連中だ」
そう言って、試験官は龍星たちを担ぎ上げ保健室へと向かった。
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