3話:選択
「帰る、といっても簡単なことではありません」
そりゃ、世界を行き来するんだもんね
「1度だけ...200年前の儀式でこられた適性のない方が、元の世界に帰った、と記された書物がありました」
に、200年前か、
「ですが、帰った方法が曖昧なのです
きっと、適性のある方に帰れると思われたら不都合だったのでしょう、
帰った方法についての記述があまりにも少ない」
...帰る方法はあるけど、わからないってこと、?
「私は櫻井さんがどちらの選択をしても、全力でサポートすると約束します
すぐに決めるのは難しいでしょう、1度部屋でゆっくりと考えてみてください」
「はい、わかりました」
わからないものを探すのは、すごく難しい
でも...
「莉音様、行きましょう」
「はい」
~5分後~
「莉音様、なにか飲み物でも持ってきましょうか?」
飲み物、
「いえ、大丈夫です」
「わかりました」
「でも、ありがとうございます」
「いえ、私でよければ話し相手になりましょうか?」
優しい、これも命令なのかな...それでもいっか
「じゃあ、お願いします」
「はい」
「...私、元の世界で、すごくやりたいことがあったわけじゃ、ないんです」
毎日当たり前に生きて、ご飯を食べて、学校に行っただけ、だけど
「はい」
「でも、このままここにいるのは、嫌だって、思ったんです」
「はい」
「帰る方法...わかんないじゃないですか」
「はい」
その方法を探すのは、とても、難しい
まだここにきてすぐだけど、それくらいは私にだってわかる
「わかんないんです、自分がどうしたいのか」
私は、帰りたいって、ほんとに思ってるのかな
ただ、それが、正しい気がするだけで、本当はここにいたいのかな、
「莉音様」
「はい」
「私は、別に今決めなくてもいいと思います
旦那様も、ゆっくり考えるようにと仰っていました」
今、決めなくてもいい...そっか、そうだよね
「ありがとう、ございます」
「いえ」
コンコン
え、誰...?




