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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から強者を叩き潰す  作者: あきお
第二章 オークリッジの街で

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第63話 路地裏の肉撃

※本作にはTS要素があります。

通りへと飛び出した俺とバルフェリアは、そのまま滑り込むように路地裏へと飛び込んだ。

その動きに迷いはない。


襲われるのであれば、被害は極力最小限に留めたい。

しかも通りで乱闘騒ぎとなれば、最悪俺も衛兵のお世話になりかねない上に、

万が一にも被害が出てしまった場合、俺は絶対に後悔してしまうだろう。



「殺気は……追ってきているな」


「油断するなよアレックス。相手は恐らく、街中での戦闘に長けておる」


「わかってるよ!それも含めての路地裏だ!」



俺は細い路地裏を駆け抜けながら、痕跡を目ざとくチェックする。

……やはりだ。


壁に付着した土埃が微かに擦れている。

これは、何者かが手をついた跡だろう。


地面にも人が歩いたであろう、足跡にも満たないうっすらとした痕跡。

間違いなく、最近に誰かがここを通っている証左だ。


このまま進めば、エリスに辿り着くのか――



「上じゃっ!」


「!?」



バルフェリアの声に、俺は咄嗟に上空を見上げる。

視界に広がる、狭い青空を背景に、俺に向かって空から人影が落ちてきた。


その影の右手には、短刀の刃がギラリと光る!



「おっ……とぉ!」



走りながら、反射的に上体を逸らして膝で地面を滑り、凶刃を躱す。

そのまま軸足で地面を踏み締め、その勢いで反転し、人影の背中を思い切り蹴り飛ばした!



ドガッ!!



「ぐっ……!」



人影は低く息の詰まった音を立て、たまらずゴロゴロと地面を転がる。

息ができなくて辛そうだが――



「悪く、思うなよっ!」



俺は伏している人影の喉に、勢いよく手刀を振り落とす。


ドッ


鈍い音に、喉をつぶす鈍い感触。

人影は白目を剥き、ビクンと体を震わせたのち、動かなくなった。

泡を吹き、そのまま意識を手放したようだ。



「これで一人目……!」


「観察にリソースを割き過ぎじゃ、阿呆」


「分かってる!だいぶ奥まった場所まで来たし、一旦ここで迎え討つ……!」



俺は迷いなく、人影が持っていた短刀を奪い左手に。

自分の短剣を右手に持ち、二刀流の構えで腰を低くし、様子を伺う。


――静寂。


通りの喧騒は遠く、うっすらとしか耳に響かない。

風が通り抜けるだけの、細くひんやりとした路地には、狭く遠くに見える青空からの光は届かない。

まるで、ここがそういう別世界のようにさえ思えてしまう。


地面に転がっている人影を見やる。

フードのついた外套で身を包み、隙間から覗くその内側は……無駄のないピタッとした服装。



「こいつ……あの死体と同じ、暗殺者か……!」



俺たちは暗殺者に狙われている……何故だ?

答えは簡単。

“静かなる犬亭”で調査をしたからだ。


つまり……あそこを調べられると都合が悪い、何者かがいる。

その答えが、帳簿に眠っているかも知れない……?



「気を抜くなよ」



深い思考に入ろうとした直前に、バルフェリアの言葉が俺を現実に引き戻した。



「ああ、この先は……ピンチを切り抜けてから考えるとする、よっ!」



大声で宣告すると同時に、自分の背後へ短刀を思い切り投げつける!



ガィィィン!



俺が全力で投げた短刀は、背後に迫る暗殺者の短刀と接触し、甲高い音を路地裏に響かせた。



「……っつ!!」



暗殺者は短刀を防いだものの、その衝撃は右手をビリビリと痺れさせる。

痺れる右手に思わず視線を落とした暗殺者の顔は、苦々しくクシャリと歪む。

――その隙を見逃す俺じゃない!



「そこっ!」



メキョッ!



一瞬の隙を見逃さず、俺の膝が暗殺者の顔面に深々と突き刺さった。

何かがつぶれる不快な感覚が、俺の膝から全身に波打つように広がっていく。

……恐らく、奴の鼻が潰れたのだろう。


暗殺者の血で俺の膝が赤く染まる。

当の暗殺者は、糸が切れた操り人形のようにプツリとその場で崩れ落ちた。



「これで二人目……!」


「まだ来るぞ!」



バルフェリアの声に反応し、顔をあげた俺の視界いっぱいに、ダランと力の抜けた、

手刀でのした暗殺者の姿が広がっている!

誰かが視界を遮るために、俺に向かって放り投げてきたのだ!



――やばい。



こいつを受け止めると、俺の動きが一瞬止まる。

手慣れた暗殺者の集団だ。

その一瞬を見逃してくれるほど甘くはないだろう……!


ならば、バックステップで後退するか?

……駄目だ、背後からも殺気を感じる。


どうする?


この思考の間にも、目隠しに利用された暗殺者の体が俺に迫っている。

受け止めた瞬間、前後から短刀に体を貫かれるであろうことは、想像に難くない。


そうなれば俺は無様に血を吐きながら、無様にここに横たわり、

この身体をバルフェリアに明け渡すことになるだろう……。


冗談じゃない!

まだ冒険者として新たな一歩を踏み出したばかりだ!



「……こっちだ!」



俺は路地裏の壁を足場に、素早く交互に跳躍する。

充分な高さから路地裏を見下ろすと、そこに蠢く暗殺者は……残り三人!

こんなところで苦戦をしているわけにはいかない!



「バルフェリアっ!」


「なんじゃ?」


「魔法を試してみる!」



バルフェリアの顔を見ている暇はない。

だが、それでもわかる。

バルフェリアは、ニヤリと口角を上げているに違いない。



「よかろう、やってみよ!指先に集中するのじゃ!」


「集中……!」



こちらを見上げる暗殺者を尻目に、俺は指先へと神経を集中させる。

すると、俺の右手の中で青白い光がバチバチと踊り出す。

その光の明滅は徐々にテンポを早め、右手全体が青白い光に包まれた!



「今じゃ!イメージを放出せよ!」


「くらええええええぇぇっっっ!!!」



俺は空中で右手を思い切り振るう。

すると――細い路地裏を塗りつぶすように、青白い電光が眼下一面を覆い尽くした!!



バリバリバリバリッ!!!!



雷が目の前に落ちたかのような、激しい破裂音が辺りにこだまする。



「痛っっっっ……たいぃ〜〜〜〜!!」



焼くような痛みが俺の右手に襲いかかる。

右手の指全てから、血が吹き出しているのではないかと感じるほどの激しい痛み。


歯を食いしばりながらその痛みに耐え、地面に着地したその場には――

電光の焦げ臭い匂いと、倒れ伏した五人の暗殺者が転がっていた。

読んでいただきありがとうございます。

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