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第78ゲーム『0.69秒後とトリック』



 ▽ ▽ ▽ 

 トレースの視点

 ▽ ▽ ▽ 



 大丈夫だ。

 校長室の窓という退路はある。

 だがここでこいつらを殺さなければゲーム化が終わってしまう!

 ならテロ事件の際に入手したアレを使う時が来た!

「動くなよ。これが何かわかるか?ナオトォ!」

「まさか……爆弾か!?」

「そうだ!テロ事件の際に入手したプラスチック爆弾だ。」

 吾輩様の手にある円筒状のこのプラスチック爆弾。

 校舎をぶっ潰すほどの威力があるらしいが、今は脅すことができたらいい。



 本命は懐にあるこのハンドガンだ。

 総弾数6発、オートマチック式。

 ナオトはテロの時、遠めに見ていたが妙な能力があるらしい。

 だが教室で使えなかったことから考えると無差別に巻き込む感じの能力だった。

 つまりタクローがすぐそばにいる今、あの能力は使えない。

 そしてこの吾輩との位置関係上、直線で遮蔽物もない!

 こっちに向かって爆弾を奪おうとしてきた瞬間、弾丸がお前を貫く!

 あとは爆弾を置いて窓から逃走し、激情してきたタクローを隙を見て暗殺する。







 ――――さぁ、かかってこい!!





「先に行く!!援護、頼んだよ!タクロー!!」

「おう!」

 そうだ!向かってこい!!お前らを確実にぶっ倒す!!

 吾輩様は銃を構えしっかりと照準を構え引き金を引く!!









 ――――勝った!!












 あれ?なぜ弾丸が発射されない?






「――0.31秒前。お前の銃はジャムって使えなくなる。」

「え?」

 ナオトの声だ……。



 そして銃が弾詰まりを起こしていることに気が付く。

 まずい!逃げなければ!!

 なぜ仲間がいる中であの珍妙な能力が使えているのかはわからないが!逃げなければ!!

「0.69秒後!これがチェックメイトだ!!」

 吾輩様が窓から逃げようとすると……。

 窓のにいたナオト(・・・)が吾輩様に向けてドロップキックをすでに構えていた!!



「なァ……!?」





 ――自重がのった強烈な蹴りが顔面にめり込み視界がブラックアウトをする………………!












 ▽ ▽ ▽ 



「何が……どーなって…………。」



 気絶していたらしい……窓の外が赤く日が暮れ始めている……?

 口の中に鉄の味が広がっている。

 手を動かそうとすると動けないことに気が付く。

「な、なんだこれは!?」

 これは手錠か!?

 よく見ると校長室の入り口には警察が待機している。

 タクローがガッチリ暴れださないように吾輩様の肩を抑えている。

「「ようやく起きたか。トレース。」」

「ナオト貴様!!」

 してやられた!?何がどうなっている!?

 頭が混乱している……。

 しかも頭をひどくぶつけたせいか。

 ナオトが2人に見える…………。





 いや、本当に2人だぞ!?どうなって…………。





「いや、まさかこれは!?」

「「ようやく気が付いたみたいだね。」」

「お前ら!入れ替わっていたな!!さっきまで話していたのはナオトではない!!」

「そうだよーーん!私、ナミカちゃんだよ!」

 左のナオトが悪戯っぽく舌を出して笑う。

 よく見れば髪の毛がわずかに明るい。

「推理小説よくある双子のトリックさ。

ナミカと僕は初めから入れ替わっていた。

僕は外にいたから反撃できたんだ。」

 そうか!射程圏内!!

 窓の外にいれば中にいるナミカとタクローを巻き込まず射程圏内を調節し、吾輩様だけをあの妙な能力の術中にはめたのか!



 吾輩様は怒りのあまり暴れようとするがタクローが体を押さえつけて動けん!!

「ずっと一緒に暮らしてきたナオトの言いそうなことなんて大体わかるもん。

あとは少し声を低くしてしゃべれば。」

「どちらが」

「どちらだか」

「「わからなくなるだろ?」」

 クソカスの双子共が!!

 この吾輩様をコケにしやがって!!

「言っておくけど、お前の爆弾も。」

「アカウントも。」

「「停止しておいた。」」

「アカウントにあった緑の予言書は今、タクローのアバターが持っているよ。」



 憎たらしい笑みを浮かべて双子は笑う。

「意表を突くってのは昔から得意なんだ。」

「特にお前の様にすでに勝った気でいる。」

「「お馬鹿さんにはねwww」」





「クソカス双子のデバッカー風情がアアアアアアアアアアアア!!」

「悪いがお前の負けだ。」

「弱い犬程よく吠えるね。」

 くそくそくそくそくそのくそがよおおおおおおお!!

 ゲーム空間さえ広げれば癌を治すなんていうこと以上にすごいことができるのに!!

 たかが医療目的にしか使おうと思わなかった愚かなマサタと吾輩様は違う!!

 世界をゲーム同様に思いのままにできるのによおお!!

 この空間同様にゲーム化が世界中で広がれば、一生を文字通り遊んで暮らせるっていうのに!!

 こんな!!こんな!!デバッカー気取りごときに!!

 吾輩様たちがゲーム内で国を作ったから盛り上がったというのに!!

 吾輩様たちが最初のテスターだというのに!!

 こんな後から来て、我が物顔で敷いたレールを渡って生きてきた、健康で何気ない平穏な日常を生きてきた青二才ごときに!!

 なぜ我が策謀が負けなければならんのだ!!





「ふざけるなァ!!」





 吾輩様が吠えていく中、あの妙に顔の堀が深い刑事がやってくる。

「さてまだ悔しがり足りないだろうが……森亜亭モリアテイ 取錬須トレス、お前を署へ連行する。

暴れるのはやめとけやめとけ。

あと一応いっておくが、自分にも癌があるから治療のためとか言って、可哀そうなムーブをしてこの下にある世界樹を進めれると思うなよ。

お前はせいぜいコールドスリープで別の治療を受け刑務所へ行くか、より残酷な結末の二択しか選ばせるつもりはない。

世界を陥れようとしたお前にそんな慈悲を与えるつもりはない。」

 くっ……。





 どうせ、この命は癌で尽きる。







 なら最後に、奴ら(・・)に少し嫌がらせをしてやる。





 吾輩様は立たされ。宿敵であるナオトたちを見る。

「ナオトどもよ。信じるか信じないかはお前次第だがよく聞け。

敵は黒幕を含めてあと二人(・・)いる。

それもこの事件にかかわってきたリュフォー、吾輩様以外にももう一人『裏切り者』がいる。」

「……何!?」

「第3の『裏切り者』、それはお前らもよく知る人物。

慎重で吾輩様よりも姿を見せない人物だ。

そして黒幕は……最後予言者、2011号リュフォーを起動した要因となった人物。

そいつは全知全能の『白の予言書』を持っている4人目のプレイヤー、全ての黒幕『M』。

奴らはこの先の世界樹で待っている。」



「白の予言書……。だって……!?」

「ああ。

吾輩様が持っていたゲーム外を示す『緑』の予言書、輪廻の書『オプスの予言書』

イトが持っていたゲーム内を示す『赤』の予言書、薄明の書『アストレアの予言書』

そして貴様が持っている現実とゲームが混ざり合ったこの世界を示す『青』の予言書、奇跡の書『ビクトリアの予言書』。

…………白の予言書はそれらを上回る『史上最大予言』が示されたもの。

それが真理フロントに到達せし、運命の書『フォルトゥーナの予言書』!!

貴様の持つその能力(ちから)でも敵わないだろう!すでに我々は『M』の手のひらの上だ!!」

「……ッ!?」

 これ以上の情報はもうない。

 おそらく吾輩様は死ぬのだから。

 これ以上は情報はやらない。

 やつらがラストフロントに到達できずに、あるいは到達したとしても『M』の奴にはかなわない。

 あの予言書がある限り『M』は叶わない。

 概念を覆すことでも起きなければ勝てるわけがない。



 そうしたら奴らの敗北した様を考えて逝けるだろう。



 だがもし『M』を止めることができたら、『M』の敗北した様を考えて逝ける。





 だからこの情報の加減がちょうどいい。

 どっちにしろ『役得』は吾輩様にあるのだから。





 ――――ざまぁみろクソカス共め。

 勝負には負けたが誰よりも気持ちで勝った。

 吾輩様は心地よく負けてやる。

 なぁこれこそ最先端(トレンディ)だろ?

 今を全力で生きた、吾輩様のくそったれに嘲笑える素晴らしい敗北だ。

 裏切り者として命の限りを尽くせて楽しかったぜ。





 ――勝てよ、ナオト。











 ――――いや。



 …………どっちでもいいから徹底的にみじめに、負けちまえ………………………………。



※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

ナオト「最後まで底意地の悪い奴だったな。」

ナミカ「でも少し可哀そうな人だったね。」

タクロー「だが、俺様は卑劣でやったことは許しては置けない。」

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