第71ゲーム『1匹と正体』
僕らは散らばり2011号を捜索する。
まず僕単身でが向かったのはあの中庭だ。
流石に夏祭りは出現しなかった。
2011号が人間になっているか、猫になっているかわからないもの。
それならまずは猫がいそうなところから……。
と思ったがさすがに安直すぎたか……。
タクローと座ったベンチにはだれもいないし。
夏祭りの入り口だった場所には壁しかない。
ここ以外でありえそうな所と言えば……7号病室くらいだろうか……。
王達はゲームやこの世界から本当に除外されているとしたら、クリエイターであるマサタさんの願いも叶わない。
王達もマサタさんも浮かばれない……。
そんなことを思いながら7号病室に行くとタクローと刑事さんがいた。
「ナイスタイミングできたな!ナオト!」
「お、ちょうどいいところに……ナオト君。少し君にも聞きたいことがあったんだ。」
「あ……はい?」
刑事さんは王達がいた3つのベッドを指さす。
「ここにいた患者の数は3人。1つはここにいるタクロー君のお兄さんらしい。
だけどもベッドの数は6つ。
1つはゲームのクリエイター、マサタ氏だということはわかった。
後の2つは誰だかしらないか?」
……確か…………。
「1つは緑の初代王とか聞いています……。もう1つは知りません。」
「初代王…………??おいおいまじかよ。豪快だな!」
「本名とかわからないのか?」
「本名はわからないですが、ゲームでのアバターの名前は『レスト』って呼ばれていました。
ゲームでもいつの間にか引退していて、特に目立った功績はないって聞いています。
『真天上英主レスト王』緑の柱国を建国したその人。
性別は恐らく男性、少ない兵を陣形で守り確実に攻めるのが得意だったと聞いています。」
「いや……少し気になってな…………。
こっち我々に任せてくれ。
君はできれば、この階のすぐ下に入院しているというリュフォー君?の部屋周辺でも見て行ってくれ。」
「リュフォーの部屋は面会謝絶だが、周辺を見ちゃダメってわけじゃないはずだから」
刑事さんは少し顎を手に当てた後、タクローとともに7号室に戻っていた。
どうやらリュフォーはこの階のすぐ下にいるらしい。
何とかして合流したい…………。
あれ?そういえばこの間までの僕と同じ植物状態なのに、なんでリュフォーは面会謝絶なんだろう……?
▽ ▽ ▽
喉元に出かかった答えを考えながら、猫あるいはゲームに関係ありそうな人を探している。
廊下を歩いてみるとやはり消滅の影響か、はたまたたまたま看護師さんの非番の日が多いだったのか、理由は不明だが人の数は少なく、聞き込みさえできそうになかった。
人を探しているとたまたまだろうか、『リュウリュウジ』と書かれたネームプレートの書いている病室の前に僕はいた。
▽ ▽ ▽
思考の奥。
何かを整理整頓していく。
まるでアバウトミラクルを使う時に似た感覚が僕の脳を駆け巡る。
ラプラスの悪魔は不自然なものを羅列していく。
ここはゲームと融合し始めている。
2011号は猫から人に変化できる。
2011号はハナビさん達とつながりがある。
僕らに近づくことができた人物は誰?
誰ならゲームから除外できる人物を選別できる?
どうやって学校の成績上位者を知ることができる?
そもそも最も自然に行動できた人物は?
ゲームに対して影響を受けてない人物は?
この状況に巻き込んだ始まりは誰だった?
人を消滅させられるカタストロフィデバイスは懐中電灯型の装置だ。
そういえば爆弾猫の一件は、誰が依頼したものだったんだ?
僕の脳裏によぎっているのはこの扉の奥にいるはずの人物だ。
――違う。
――――こんなのは違うはずだよな。
――――そう考えるといろんな前提がひっくり返ってしまうぞ!
――――彼なはずがない!
そう自分の中にいる『ラプラスの悪魔』を否定しようとする。
じゃあ彼の探している妹は誰なんだよ!
僕らのクラスの中には彼と一緒の中学校に通っていた人だっているんだぞ!
だけど、僕の悪魔はゆっくりと指さしていく。
数々の不審な直感を微細でつじつまが合わない出来事を。
――なぜか一番怪しいのは彼なんだよな……。
彼なら僕らに近づけられる!
彼はあの時、蒲公英七姉妹とゲーム盤で遊んだ時、七姉妹以外でたった一人だけ体調不良を起こしていなかったんだ。
彼は僕が予言書を受け取ったその次の日に話しかけてきたあれは偶然なのか!?
懐中電灯型のツールなら昼間僕らと一緒に行動しているときに、当ててきて時間差で発動するっていうなら!?
メルカと最後に一緒にいた人物。
――――僕らの中に裏切り者がいる。
――――………………僕の中で『ラプラスの悪魔』が暴れまわっているのを感じる。
この病室の奥が答えだと。
悪魔が指し示しているのを感じる。
念には念を備えてみんなを呼ばなきゃ……。
▽ ▽ ▽
「…………なぁナオト……その推理は豪快な間違いなはずだよな……。
間違いであるはず……だよな…………。」
「僕は……いや僕も……否定したいから入るんだ……。
面会謝絶なんて知ったことじゃない。」
僕は全員を呼び出しまたこの部屋の前にいる。
「どんな結末ゥであれ覚悟は必要だぞ、生徒たちよォ。
推理どうりなかった場合でも、植物状態の同級生を見るゥという覚悟がな。
人前で取り乱さず、冷静になァそれが社会に出た時に余計な不安に流されんコツゥだ。」
……ホーリーの言葉に気を引き締めて僕は部屋をノックして扉をスライドさせる。
白い部屋、白いベッドがぽつんとありそこにリュフォーが横たわっていた。
目を閉じ病院着を着ていた僕らのクラスメイトで友達だ。
「ナオト君の話が正しければリュフォー君が2011号かもしれないかもってことだよね?」
「…………はい。違うと言いたいです…………。」
ハナビさんがリュフォーに近づき、髪をかき分ける。
「…………ケムリお姉ちゃんより古い身体って考えると……。
あの端子か……コードA-6起動。」
ハナビさんの腰から大量の電気のコードが生えてくる。
「ケムリお姉ちゃんの緊急時用は確か右耳の後ろだったから…………。」
ゆっくりと手を右耳の後ろに伸ばすとハナビさんは目を見開く。
「………………ヒバナ。今日晴れてるでしょ?」
「………………………ええ。」
「エネルギーを少し私に頂戴。」
まさか…………ハナビさん。
この感じ……。
一番当たってほしくない願いが当たってしまったのか……?
2011号は……。
裏切り者はリュフォーなのか……?
ハナビさんはリュフォーの耳の裏にコードを伸ばし、別のコードをヒバナさんのうなじのあたりに差し込む。
「…………はー……私を仲介してリュフォー君にヒバナのエネルギーを分け与えます。
破損したデータの修復作業もやる。
レンガお姉ちゃんじゃないから時間がかかるけど彼本来の役割を聞き出します。
少し集中するから静かにね……。」
数分間の緊張と不安。
ハナビさんが眉間にしわを寄せて、うなる。
ヒバナさんは僕と距離があるにもかかわらずすごい高熱がする。
リュフォーに変化はない。
泥のような数分間が過ぎ去り。
僕が生唾を飲んで見守る中。
ハナビさんが目を開く。
「……はぁ……起動するわ。
(小声で)なんでリュフォー君の中にもいんのよ…………。」
僕らが見守る中。
眠そうにリュフォーはゆっくりと体を起こす。
「…………………………………………ん、うぅん……。
みんな……?
ここで、何しているの………………?」
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~FrG豆知識のコーナー~
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ナオト(能力が覚醒してきている感じがする……。
これも夏祭りにいた彼らのおかげなのか……?)




