第68ゲーム『4冊と世界の真実』
ターンカウンター。
ボードゲーム盤でやった時に使ったアイテム。
カードの排出とカードの挿入を行うことで盤面の状況をコントロールできる装置。
国を栄えさせるのも、予言を生み出すのも全部こいつからだ。
それが……なんでこんなものが…………。
「ターンカウンター…………。なんでこいつが…………。」
僕が触れようとすると刑事さんが止める。
「やめとけやめとけ、むやみに触るものじゃあない。
今一番すべきことは、このノートを読むことだ。」
僕らは4冊のノートを広げる。
だが……中にはよくわからない数式と意味不明な数式の羅列が書いてあった。
「何だこれ?」
「くそ!豪快バカな俺様にはわからねー!!」
「…………これはマシン語……だな。
プログラムを作るコンピューター言語の中で最も古い言語だ。
まさか全部ノートに書いたのか……?
……ハナビ達、蒲公英家に頼めば読めるかもしれない。
警察が責任をもってノートを預からせてもらう。」
刑事さんがノートを回収しようとするがナミカが待ったをかける。
「これだけ違う……。」
ナミカが持っていたのは手帳だ。
拡げると妙なことが書いてあった。
「……これ、アイデアノートってやつか?」
書いてあったのは、手の神経がどうとか。
ディスプレイの表示がどうとかばかりだ。
だがページがペラペラ捲るごとに奇妙なことも書いてある。
『巨大な三角形で覆う。』
『空間電子伝達技術。』
『脳の神経細胞上における二重認識作用。』
『共通認識からくる海馬内細胞の改変。』
『共同強感覚による相互認識のずれの補正現象。』
『粒子の空気蔓延89%をキープ可能。1か月もあれば町を覆える。』
『古来の文献における実験記録の再現性、理論上可能。』
『極小空間における実験、成功。精度をあげてみる。』
どのメモも過剰書きなのにやばい内容すぎる。
「何……この気味の悪いメモ……。」
ナミカが箇条書きのページをめくると、そこには異様に細かい文字が書かれている。
筆跡は同じ。だが文字が細かすぎる。
『出資者M、だいぶ助かった。これで患者を助けられる。
だがこれは悪用されれば非常に危険な技術なのでいくつかの注意事項を明記しようと思いメモを取る。
注意事項1、ターンカウンターは破壊してはならない。
これは言わずもがな、患者の脳とリンクしている。
私を含めたすべての患者は大脳に極小の新種のがん細胞のようなものが発生している。
こいつは一定数までしか細胞分裂せず、転移も見られない代わりに、
ここから出る特殊な命令信号により身体が無意識的に骨、血、筋肉など様々な部分の細胞を異常増減し
肉体に異常をきたしている。投薬の治療は効果が全くなく、さらに切除手術を続ければ命にかかわると判断した。
だからこそ、Mから送られてきたこのターンカウンターの高度演算処理能力を使い異常とされている細胞に対して割り込み命令できるよう各患者にチップを埋め込ませてもらった。
最も他の患者には自身の本来の病気のことすらも伝えていないがね。
これは我々の命に直結している破壊してはならない。』
これそんなやばいものなのかよ…………。
僕はターンカウンターのそばから飛び退く。
「続きは……?」
『注意事項2、ゲームは正しく終わらなせなければならない。
ゲームを正しく終わらなせなければ逆転現象が発生し始める。
逆転現象とは、演算に異常がきたすことだ。つまり異常細胞が指数関数的に増えて死に直結する。
規定ターン数内に正しい行動をしなければならない。
間違っても!カタストロフィデバイスを保有した2011号を解き放ったりして、演算に負荷をかけてはならない!
そんなことをしてしまえばシステム上『マーリン』と『白の国』が出現し『ピクシー』と『予言書』が解き放きはなたれて、マーリンパラッドクス現象発生してしまう。
なので、最終の世界樹戦で世界樹へ患者達をセットし参加プレイヤーの脳を空間電子伝達技術を利用し新生癌細胞の置換作業を行った後、停止コマンドを入力し参加プレイヤーへ正常な信号を送り返さなければならない。
これをもって本プロジェクトの終了を意味する。』
んんんんんんんんんんん??
わけわからない言葉が出すぎだぞ~!マサタさ~~ん!
白の国?
空間電子伝達技術?
停止コマンド?
置換作業?
な~~に言ってるんだ??
「ナミカ!いったん白の国?とかわけわからない言葉がどこ載ってるのか調べて!」
「あいよーー!!」
ナミカは、ページを戻したりしてペラペラ捲る。
「空間電子伝達技術はあった!まずこれから見てみるね~!何々~?」
『空間電子伝達技術、ヤシノキカンパニーによってつくられた特殊な繊維状の有機物質で大きさはマイクロより小さい『ナノ』ほどの大きさ。肉眼での確認はできない。
電気伝達効率が極めて高く、空中で散布し体温ほどの高さで24時間物質に触れると融解してしまう。
これに一定の量を敷き詰めた空間にある種の電気信号を流すと、電波や物質に阻害されることなく大気中を伝ってより高度な信号を伝えられることができる。
ある種の電気信号とは脳の神経細胞がシナプスを伝わって作り出す微細な電気信号である。
この『ナノサイズ』の有機繊維を大気中にばらまくことで人間の脳と脳が空気中を伝わり人と人とが神経細胞の役割を果たし、空間全体が『高度な演算能力を持った巨大な脳』の様に変異する。
かつて三つ柱と呼ばれていたころにも似たような物質で空間を埋め尽くしたという記述があり、本ゲームも同じ要領で行いゲームの高速演算化を行う。
なお正常に稼働さえすれば人体に影響はない。
あるとしたら夢の内容が過去の印象に残った光景の繰り返しや過度の共感覚など微細なもののはずだ。
記憶などには影響はなく、デジャブの様に五感が微細に違うように感じる程度だ。』
巨大な脳……だと…………何に利用するつもりだ?
『この技術を利用し患者のがん細胞の沈下へと利用する。
我々の目的はこうだ。
一時的に患者を仮死状態にする。
人間の正常な感覚、運動、生命維持機能を空間電子伝達技術で、従来だと再現不可能な脳の電気信号を完全にコピーが可能だ。
その後万能細胞を使いがん細胞を正常な細胞へと上書きしていく。
計画終了後、被験者に過負荷を強いらないために、世界樹にあるコントロールパネルを操作し停止コマンドを入力しゲームを終了する必要性がある。』
……がん細胞を治すとか……まるでSFだ……。
だがどうやら科学はそこまで進んでいるらしい……。
つまりゲームの空間で人間のがん細胞を治療していく夢のような技術ってことか……?
「問題は……だ。
『間違っても!カタストロフィデバイスを保有した2011号を解き放ったりして、演算に負荷をかけてはならない!』
というのがすでに起こってしまっていること。だ。」
「ナオト、ここ対処法載ってる。」
「え?どこ……?」
ナミカが指さす部分を見てみるとこう書いていた。
『2011号はゲームにおいて危険なバグを取り除くためMから手渡されたデバイスだ。
だが、このデバイスはいささか危険性が大きく封印することにした。
2011号は本来エリア外、ようは『この町の外』に送るためのデバイスで、本プロジェクトの疎外となる人物をゲーム外に送り安全に作業をするためにくれたのだが、人が減れば減るほど置換を行うための演算能力が欠如していく。
このプロジェクトでは空間そのものを隔絶した二重空間上で作業を行う。
本来、ゲーム上でここは『白の国』と呼称しているのだが、人が減っていくにあたり、この場所とのシンクロ率が高まり『ゲームと融合』が始まる。
もしも規定ターン以内にプログラム通りに癌を手術できず『患者が死んでしまった場合』は、この二重空間は患者と演算用の脳を求めプログラムで言うところの『無限ループ』が発生し、繊維の増殖が加速。
空間は拡大していき世界を包むだろう。』
はぁあ?
『つまり、世界全土が永遠に終わらないゲームになってしまうのだ。』
へ?
待て待て待て!!
「二重空間!?」
「どういうこと?」
「拡張現実ARみたいなものか……?」
また検証すべきことが増えた。この現実が拡張現実……?
信用ができないが……。
ナミカは探せどその項目は見つからない。
どういうことだと困惑している僕らの耳元にタクローが大きく息を吸い込む音が聞こえる。
「待て!みんな!!豪快にちょっと待つんだ!!そこに注目し困惑するのは俺様でもわかるが!!
一番重要なところを見て欲しいんだぜ!!」
「「「??」」」
「『この町の外』に送るためのデバイスってことは、失踪者は、メルカたちは今……どうなってるんだ?
…………いや、違う。
俺様達は今どうなっているんだ?」
それは希望であり、同時に納得をしてしまう一言だった。
僕らが王の前で初めて戦った後。
あの時を思い出す。
「そうか……わかったぞ。わかった……改造したんだ………!」
ルビは消える前に言った。
『全部、逆だったんだよ。』
「この町全体の空間をッ!」
思い出す。
「おかしいのは僕らだッ!」
師匠の手紙を。
「ここはバーチャルが融合したリアルであっても、リアルではない空間!」
『ナオト少年、最後にこの町を出たのはいつだ?』
「ここはすでにフロントライゲームの中、僕らは文字通りゲーム盤の『コマ』なんだ……。
僕らは世界ごとすり替えられていたんだよ!」
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この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
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~FrG豆知識のコーナー~
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タクロー「何が何だかわからないがヨシ!!」
ナミカ「とりあえず難しい話だろうとやることが分かっていればいいのよ!!」
ナオト「お前ら……。」




